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高血圧

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

高血圧についての基本知識

「高血圧」とは?

高血圧とは、血圧が平均的な数値よりも高い状態のことを言います。
継続的に血圧が高い場合は「高血圧症」とも言われ、合併症を引き起こしやすい状態です。
精神状態や時間帯で血圧が大きく変化する人もみられ、症状もめまいや動機など多岐にわたるため、すぐには「高血圧」と判別しにくい病気です。

高血圧の種類は要因によって異なる

高血圧は大きく2種類に分類されます。1つはホルモン分泌の異常や腎臓疾患、薬の副作用が原因とされる「二次性高血圧」というものです。他の病気や治療するときの薬によって血圧が高まっているため、その要因を取り除けば高血圧も自然と治っていきます。

もう1つは遺伝が要因であったり、生活習慣が影響したりして血圧が高くなっている「本態性高血圧」です。日本における高血圧は、この本態性高血圧が9割を占めています。

血圧は精神的にも変化するもので、病院に来たら血圧が上昇する「白衣高血圧」や、反対に病院では問題ないが、家庭で計測すると血圧が高い「仮面高血圧」といった高血圧もあります。

他にも早朝に血圧が上がる「早朝高血圧」、夜間の血圧が高い「夜間高血圧」といった、時間帯で現れる高血圧も注目され始めています。

ここでは、「本態性高血圧」について詳しく解説していきます。

「血圧」についての説明と数値基準

血圧とは血管内の血流による圧力です。
心臓が血を送り出すときの高い血圧を収縮期血圧といい、俗に「上の血圧」と言います。
反対に血液の流れが緩やかで低い血圧を拡張期血圧といい、「下の血圧」と表現されます。

落ち着いている状態のときに、上の血圧が139mmHg以下、下の血圧が89mmHg以下というのが年齢問わず「正常域血圧」とされています。
一方、上の血圧が140mmHg、下の血圧が90mmHgより高い状態なら、「高血圧」といえます。

年齢や合併症によって変わる血圧の「目標値」

高齢の方と若い方では、血圧の「目標値」が変わってきます。人間は歳を取ると臓器の働きが弱くなり、自然と血圧も高くなるためです。目標値は高血圧と診断される数値で、上回っている場合は「ここまで下げましょう」という数値のことです。

75歳以下の方の目標値は前述のとおり、上の血圧が135~139mmHg以下、下の血圧が89mmHg以下となっています。
それに対して75歳以上のかたの目標値は、上の血圧が145mmHg、下の血圧が85mmHgと上の血圧は高めに、下の血圧は低めに設定されています。
糖尿病や慢性腎臓病などの合併症を発症している方の血圧目標値も、それぞれ設定されています。

血圧の基準値

分類収縮期血圧(最高血圧)  拡張期血圧(最低血圧)
至適血圧<120 かつ <80
正常血圧120~129 かつ/または 80~84
正常高値血圧130~139 かつ/または 85~89
I度高血圧140~159 かつ/または 90~99
II度高血圧160~179 かつ/または 100~109
III度高血圧≧180 かつ/または ≧110
(孤立性)収縮期高血圧≧140 かつ <90

※赤字部分が一般的にいう高血圧
【参考】 
日本高血圧学会ホームページより高血圧治療ガイドライン2014電子版

至適血圧・・・脳卒中や心筋梗塞など、血圧が関係する病気のリスクが低いとされる最適な血圧正常血圧・・・至適血圧よりリスクは上がるが、正常な血圧

正常値高血圧・・・高血圧の注意が必要

I度高血圧・・・高血圧の程度が比較的低い

II度高血圧・・・高血圧の程度が中程度

III度高血圧・・・高血圧の程度が高い

「至適血圧」~「正常値高血圧」の数値に納まっていれば、いますぐに高血圧の治療を始める必要はありません。
ただし、血圧は日頃の生活習慣に大きく影響されるため、油断せず運動と食事のバランスに気をつけましょう。

計測環境ごとの基準値

計測環境ごとの高血圧基準収縮期血圧(上)拡張期血圧(下)
家庭血圧135以上または85以上
診察室血圧140以上または90以上
自由行動下血圧(24時間)130以上または80以上
自由行動下血圧(昼間)135以上または85以上
自由行動下血圧(夜間)120以上または70以上
(単位 : mmHg)

家庭血圧・・・自宅で計測したときの血圧

診察室血圧・・・病院で計測したときの血圧

自由行動血圧・・・計測器具を身につけた状態で、一定間隔おきに計測したときの血圧

【参考】 日本高血圧学会ホームページより高血圧治療ガイドライン2014電子版

血圧は測定する環境によって数値が変わりやすいため、環境ごとに基準が定められています。
診察室血圧では、緊張で数値が高めに出る場合があります。診察室血圧が家庭血圧よりも低く出る方もいます。
家庭血圧では計測ミスを防ぐため、原則2回計測し、平均値を出します。家庭血圧と診察室血圧に差がある場合、診断の際には家庭血圧が重要視されます。
診察室血圧のみ高血圧の数値になる場合、白衣高血圧と呼ばれ、家庭血圧のみ高血圧の数値になる場合、仮面高血圧と呼ばれます。
白衣高血圧は病院での緊張が原因で血圧が上がっているものと考えられ、あまり治療の対象となりません。仮面高血圧の原因には、職場や家庭のストレスが考えられます。

年代、性別の血圧平均値

血圧が正常値の割合 年代別 一覧表

血圧正常値30代40代50代60代70代
女性85%65%43%26%19%
男性62%41%31%22%18%

【参考】 日本高血圧学会ホームページより高血圧治療ガイドライン2014電子版

40代までに高血圧になっている人の男女比は、男性の方が多い傾向にあります。これは男性が食生活や生活習慣を乱しがちなためだといわれています。
50代になると女性が高血圧になる比率が高まっています。女性は更年期に入ると女性ホルモンが減少し、血圧の調整機能が低下するためです。

板東浩先生
 【監修医】医学博士 / 内科医: 板東浩 先生
 1957年生まれ。
 1981年 徳島大学を卒業。
 ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
 抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。

脂質異常症

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

自覚症状がないから危険!着実に寿命を縮める脂質異常症

脂質異常症の最大の問題は、症状が何もないという点です。

気づかないうちに、血管の壁にコレステロールが蓄積してプラーク(こぶ)となり、血液の通り道がふさがれる動脈硬化におちいります。
脳の血管が詰まれば脳梗塞に、心臓の血管なら心筋梗塞になるリスクがあります。

数値に異常があり、再検査と言われても症状がないために放置する人が多いですが、それは自分の寿命を縮めているに過ぎません。
脂質異常症は10年20年先を見据えて治療すべき病気です。無視せずこつこつとケアに励みましょう。

脂質異常症は動脈硬化から突然死を招く怖い病気

最近の自分のコレステロールや中性脂肪の把握は、職場や自治体の健康診断や定期的に医療機関にかかっているという方であれば血液検査でチェックできているでしょう。

一方、何年も検査をしておらず、わからないという方もいるはずです。

脂質異常症の診断基準とは?

血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)や中性脂肪(トリグリセライド)が過剰に多いことや、善玉コレステロール(HDLコレステロール)が不足している状態になっていると脂質異常症と診断されます。
具体的な数値は下記の通りです。

■悪玉コレステロール(LDLコレステロール):140mg/dL以上
■善玉コレステロール(HDLコレステロール):40mg/dL未満
■中性脂肪(トリグリセライド):150mg/dL以上

定期的な血液検査が健康度を知るチャンス

突然の脳梗塞などのリスクを減少させたいとお考えであれば、何よりまず自分のコレステロールや中性脂肪の数値を認識することが肝心です。
血液検査を受けてください。

検査の頻度は年1回の健診が目安です。35歳ぐらいから気にした方がいいでしょう。
職場の定期健診などの機会がない方は自治体の健診に申し込んだり、医療機関で検査を受けたりすることをおすすめします。

また、一度でも健診で引っかかったという方は医療機関を受診し、医師の指導通りに対策をして数値をコントロールするように心がけましょう。

注意すべきは脂っこい食べ物が好きな人と更年期以降の女性

夜遅くご飯を食べたり、丼物などの脂っこい食事をとりすぎたり、運動不足で肥満になっている人は危険です。
また、親が脂質異常症だとなりやすいとも言われています。

さらに、60歳以上の女性にも多く見られます。女性ホルモンには善玉コレステロールを上げる作用があるために女性は脂質異常症になりにくいものの、閉経すると女性ホルモンが減少するため、悪玉コレステロールが高くなるのです。
更年期以降の女性は、問題がないかチェックしましょう。

注意すべきは脂っこい食べ物が好きな人と更年期以降の女性

体調変化は感じないが続けてほしい「薬物治療」

症状がないのに薬を飲むのは億劫かもしれませんが、薬は1日1回服用すればよいものがほとんどです。
1か月に1回程度通院し、経過を診ていきます。個人差もありますが、服用後1か月程度で結果が出ます。

基本的に服用は一生ですが、高齢になったら薬が要らなくなるケースもあります。
体質や生活リズムが変わって食事量が減って痩せたことで数値が安定するからです。

脂質異常症の治療と予防のための「食事管理」

脂質異常症の大きな原因は食べ過ぎなどの食生活の乱れにあります。そのため、治療や予防のためには、1日3食、規則正しく食べることが重要です。

もともと規則正しい生活ができていたり、食事管理をきちんとしてくれる家族がいたりすればさほど問題ありません。
しかし、比較的深刻なのが一人暮らしの若い男性です。

20~30代の若い方で、朝・昼は食べず夕食だけという人や、昼間は缶コーヒーだけ、毎晩コンビニ弁当で野菜もあまり食べていない、というような食生活をしていれば若いうちからコレステロール値が高くなってしまいます。

そのままの生活を続けると、一生の間のコレステロールの平均値も上がってしまい、寿命も縮まってしまうでしょう。

そこで、おすすめしたいのが食物繊維をたくさん摂ることです。
お野菜、大豆、海藻類に含まれる食物繊維はコレステロールや脂質を身体が吸収するのを抑えてくれるので、食事をする際は先に食べるのがいいでしょう。

脂質異常症ケアに役立つ食生活は糖尿病などの他の生活習慣病ケアにも役立ちます。ぜひ実践していきましょう。

コレステロール・中性脂肪を減らす「有酸素運動」

脂質異常症のケアに不可欠なのが運動療法です。おすすめは、有酸素運動をすることです。

ダンベルを持ち上げるような、いわゆる筋トレというよりは、お話を笑顔でできる程度のペースでするウォーキングや、遅めのランニング、水中ウォーキングがおすすめです。
それらの有酸素運動を1日30分くらい、週3回程度できればいいでしょう。

無理に激しい運動を目標にしてしまうと身体に負担をかけることになり、逆効果になることもあります。
最寄り駅まで自転車を使っていたという方は歩いていくようにしたり、エスカレーターをやめて階段を使ったりなど、無理なく続く方法を選択してください。

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

血清尿酸値

【監修】北村 聖 先生(東京大学医学教育国際協力研究センター教授)

血清尿酸値、気にしていますか

近年、食生活の欧米化などのライフスタイルの変化に伴い、血清尿酸値の高い人が増加傾向にあります。
血清尿酸値が高くなると高尿酸血症を発症し、放っておくと関節などに激痛を伴う痛風に進行します。
怖いことに、糖尿病や高血圧症、高脂血症などを合併すると、心筋梗塞や狭心症を招くこともあります。

血清尿酸値は、内科での血液検査、健康診断や人間ドックなどで、測定することができます。
必ず検査して、健康管理に役立てましょう。検査の結果、血清尿酸値が高い場合には、早めに医師に相談しましょう。

血清尿酸値とは

血液の液体成分中(血清)における尿酸の濃度を表したものを血清尿酸値といいます。
尿酸とは、細胞中にある核酸の構成物質であるプリン体が、肝臓で分解されて生じる老廃物です。
プリン体は、細胞の新陳代謝によって核酸から放出されたり、身体を動かすときに使われるエネルギー物質の燃焼によって作られたりします。

また、ほかの動植物にも含まれているため、食品からも体内に取り込まれます。

血清尿酸値が高いと発症する病気、高尿酸血症とは

生活習慣病の一つである高尿酸血症は、現在、日本では潜在患者も含めて約500万人がかかっているといわれています。
その多くは中高年の男性ですが、閉経後の女性にもしばしばみられます。

尿酸は常時体内に1,200㎎蓄積されています。1日に700㎎産生され、同量が尿や汗、便とともに排泄されます。
こうして、体内の尿酸量は一定に保たれています。しかし、尿酸が産生されすぎたり、うまく排泄されなかったりすると、血清中の尿酸の濃度が増し、血清尿酸値が高くなります。

血清尿酸値が7.0㎎/dl(※)以上の場合を高尿酸血症といいます。また、ほとんど症状が現れない場合を無症状性高尿酸血症といいます。
この場合、そのまま放っておくと痛風に進行するため、早めに血清尿酸値を下げる必要があります。

※7.0㎎/dl・・・血液100ml中に尿酸が7㎎溶けている状態

高尿酸血症の発症の原因は

主に、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足などによる肥満が原因であるといわれています。
肥満になると、中性脂肪が尿酸の産生を促すため、血清尿酸値が高くなります。

特に、内臓脂肪型肥満の方は要注意です。
体格指数(※)(BMI:Body Mass Index)が25以上である場合や、腹囲が男性で85㎝、女性で90㎝以上の方も注意しましょう。

また、血清尿酸値は、高血圧症や糖尿病などにおける腎臓機能の低下や薬の副作用により高くなります。
女性の場合は、女性ホルモンが尿酸の排泄を促すため、閉経すると排泄が困難になり、血清尿酸値が高くなります。
遺伝や体質という説もありますが、生活習慣に気をつければ発症を防ぐこともできます。

※ 体格指数・・・肥満度を示す指標。体脂肪率と相関しており、国際的に広く利用されている。
日本人の男女においては、体格指数(BMI)22が最も病気になりにくい標準値とされている。

体格指数(BMI)=体重(㎏)÷<身長(m)×身長(m)>

高尿酸血症の発症の原因は

高尿酸血症の3つの型

高尿酸血症は、3つの型に分けられます。型によって治療方針が異なります。

尿酸排泄低下型

産生される尿酸量は正常なのに、腎臓の機能障害のために排泄量が減少している状態。高尿酸血症の約60%を占めます。

尿酸産生過剰型

排泄される尿酸量が変わらないのに、尿酸が過剰に産生されている状態。高尿酸血症の約10%を占めます。

混合型

尿酸が過剰に産生されるとともに、尿酸の排泄が減少している状態。高尿酸血症の約30%を占めます。

高尿酸血症の検査と診断

まず、血液生化学検査で血清尿酸値を調べます。血清尿酸値が7.0㎎/dl以上あると、高尿酸血症と診断されます。
血清尿酸値は、その日に摂取した食品や気温などの影響を受けるため、数回に渡る検査を必要とします。

次に、高尿酸血症の型を診断するための検査を行い、治療方針を決定します。

高尿酸血症の型を診断するための検査

■尿中尿酸排泄量検査
1日に排泄した尿を溜め、尿酸量を測定します。尿酸量が400㎎/dl以下なら尿酸排泄低下型、800㎎/dl以上なら尿酸産生過剰型、その中間なら混合型と診断されます。午前中の空腹時の2~4時間に排泄した尿を溜め、24時間分に換算して測定する場合もあります。

■尿酸クリアランス
尿酸を排泄する腎臓の機能を調べます。検査の1時間前に水を飲み、その1時間後に採血と採尿をし、血清尿酸値と尿中の尿酸濃度を調べます。

■クレアチニン(※1)・クリアランス
血中と尿中のクレアチニン濃度を測定し、腎臓の糸球体(※2)のろ過能力を調べます。

まず、検査の前に水を500ml飲み、1時間後に排尿します。その30分後に採血をして血中のクレアチニン濃度を測定します。
さらにその30分後に採尿をして尿中のクレアチニン濃度を測定します。

これらの結果から、腎臓が1分間に排泄したクレアチニン量を算出します。糸球体のろ過能力の低下や尿の排泄障害などがある場合は、この数値が低くなります。

※1クレアチニン・・・血液中のアミノ酸が使われた後の老廃物
※2糸球体・・・毛細血管という細い血管の網が小さな球体になったもの

治療法は?

高尿酸血症の治療法は、食事療法・運動療法などの生活指導、尿路管理や薬物療法があります。

治療の目安として、コントロール目標となる血清尿酸値を6㎎/dl、正常値の上限を7㎎/dl、治療を開始する基準を8㎎/dlと定めています。
これを「6・7・8のルール」といいます。

血清尿酸値の急激な低下は、症状の悪化や薬の副作用の原因になるため、徐々に下げることが重要です。

生活指導(食事療法・運動療法)

高尿酸血症の治療の基本です。プリン体を多く含む食品やアルコールを控えるなど、1日の総摂取カロリー(※1)を制限します。
また、ウォーキングや水中歩行などの有酸素運動を行い、標準体重(※2)に近づけます。

過度の減量でホルモンバランスを崩したり、激しい運動(無酸素運動)をしてプリン体を発生させたりすると、血清尿酸値が高くなります。
食事療法や運動療法は、必ず医師の指導の下で行いましょう。

※1 総摂取カロリー・・・1日の食事で摂取するカロリーの合計。運動量や年齢、性別によって適切な総摂取カロリーは異なる。適切な総摂取カロリーの目安=標準体重(㎏)×25~30kcal
※2 標準体重・・・健康的な理想体重。最も病気になりにくいとされているBMI標準値を用いて算出する。標準体重(㎏)=22(BMI標準値)×身長(m)×身長(m)

尿路管理

高尿酸血症になると、尿が酸性になりがちです。尿酸は酸性の尿に溶けにくく、結晶を作って腎臓の機能を損なったり、尿路結石(※)を作ったりして、尿の排泄を妨げます。

そのため、尿が酸性にならないように管理します。これを「尿路管理」といいます。
尿の酸性度(pH)は、pH7未満が酸性、pH7が中性、pH7を超えるとアルカリ性になります。

※ 尿路結石・・・尿酸の結晶が固まって結石となり、尿管に流れ出てとどまったもの。結石が動くと粘膜を刺激して、激しい痛みを起こす

尿路管理のポイント

■尿量を増やす
1日に2L以上の水分を摂取し、2L以上の尿を排泄するようにします。
特に、発汗後や就寝前は、水やお茶などの糖分を含まない飲料を十分補給しましょう。

■尿の酸化を防ぐ
バランスのよい食事をすることで、尿の酸化を防ぎます。改善されない場合は、薬物療法の一つである尿アルカリ化薬(クエン酸製剤)を服用します。

薬物療法

血清尿酸値が、生活指導を行っても下がらない場合や、8㎎/dl以上の場合に行われます。
治療を開始してから半年間は副作用が起こりやすいため、定期的に検査を受ける必要があります。
症状が治まったからといって、勝手に服用を止めると、血清尿酸値はすぐに元に戻ります。

医師の指示に従い、用法用量を守って服用しましょう。使用する薬は、高尿酸血症の型によって異なります。
■高尿酸血症の治療で使用する薬
・尿酸排泄低下型の薬
尿酸排泄促進薬(プロベネシド、ベンズブロマロン、ブコローム)を使用します。
血液中の尿酸は、腎臓の糸球体でろ過されますが、尿細管(※1)で再吸収されます。
尿酸排泄促進薬は、尿細管での再吸収を抑制し、多くの尿酸を尿中に排泄します。

副作用として、尿路結石がみられる場合もあるため、尿アルカリ化薬(クエン酸製剤)を併用して予防します。

・尿酸産生過剰型の薬
尿酸生成抑制薬(アロプリノール)を使用します。尿路結石がある場合やその既往歴(※2)がある場合にも使用します。
尿酸生成抑制薬は、プリン体が尿酸に分解されるときに働く酵素を抑制し、尿酸の産生を妨げます。

副作用として、皮疹(※3)や肝機能障害がみられる場合もあります。
腎不全の患者さんは、症状が悪化することがあるため、投与量を調整する必要があります。

・混合型の薬
症状によって、尿酸産生過剰型の薬と尿酸排泄低下型の薬を組み合わせる。

※1尿細管・・・腎臓内にあるうねり曲がった無数の細い管
※2既往歴・・・過去にかかったことのある病気の記録
※3皮疹・・・皮膚に出る発疹

合併しやすい生活習慣病

高尿酸血症は、合併症が怖い病気です。高尿酸血症の患者さんの約80%は、ほかの生活習慣病を合併しており、その根底には内臓脂肪型肥満があるといわれています。
合併症があると、血管を損傷する尿酸の力が強まるため、高尿酸血症と並行して合併症も治療する必要があります。
合併している病気によって治療法が異なりますので、必ず主治医に相談し、それぞれの専門医にかかりましょう。

生活習慣病を合併し動脈硬化が進行すると、狭心症や心筋梗塞、脳血管障害の誘因となることがあります。
そのため、高尿酸血症だけではなく、生活習慣病全般を改善するよう治療していくことが重要です。

また、血清尿酸値をしっかりコントロールすれば、ほかの病気の予防にも役立つといえるでしょう。

高血圧症との合併

高血圧症との合併では、尿酸排泄低下型の高尿酸血症が多くみられます。そのため、尿酸排泄促進薬を使用する場合がほとんどです。

また、高血圧症では酸性尿である場合が多く、尿路結石ができやすいため、尿アルカリ化薬(クエン酸製剤)を併用します。降圧薬を使用しているときに血清尿酸値が増えると、症状が悪化しやすくなります。
そのため、血清尿酸値の低下作用も兼ね備えた降圧薬(ロサルタン、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、カルシウム拮抗薬、α1遮断薬)を使用する場合もあります。

糖尿病・耐糖能障害との合併

通常、糖尿病では血清尿酸値は低くなります。これは、尿に糖が出ていると、浸透圧の関係で尿が増え、尿酸の排泄が促されるためです。
しかし、糖尿予備群といわれる耐糖能障害(※)や、糖尿病が重症になって腎機能障害を併発した場合は、血清尿酸値は高くなります。

さらに、耐糖能障害と高尿酸血症を合併すると、動脈硬化が進行しやすくなります。
そのため、尿に糖が出ている場合は、血清尿酸値と血糖値の両方の管理が大切です。

※耐糖能障害・・・糖尿病ほどではないが、血糖値が高い場合のこと

高脂血症との合併

高脂血症とは、内臓脂肪型肥満により血中の中性脂肪値が高まった状態をいいます。
中性脂肪は尿酸の産生を促すため、血清尿酸値も高くなります。その相乗効果により、動脈硬化が進行しやすくなります。

また、高脂血症の薬が血清尿酸値に影響を及ぼす場合もあるため、注意する必要があります。
尿酸排泄低下型の高尿酸血症と合併したときに、尿酸の排泄を促す作用を兼ね備えた薬(フェノフィブラート)を使用する場合もあります。

日常生活での注意点

高尿酸血症を含めた生活習慣病全般を改善するために、日常生活でも以下の点に注意しましょう。
■食生活を改善しましょう
適切な摂取エネルギーの範囲内で、1日3食規則正しい食事を心掛けましょう。
野菜や海藻類などのアルカリ性食品を多く取り、プリン体が多く含まれる肉類などの摂取は控えめにしましょう。

■アルコールはほどほどに
アルコールは、尿酸の産生を促し排泄を抑制するので控えましょう。特に、ビールの原料である麦芽は、プリン体を多く含むのでほどほどに。
また、アルコールの飲み過ぎは、中性脂肪を増やすため高脂血症の原因にもなります。

■有酸素運動をコツコツと
肥満防止のために、毎日継続して有酸素運動を行いましょう。
短時間に身体を激しく動かす無酸素運動は、かえって尿酸を増やすので避けましょう。

■ゆっくりと身体を休めて
ストレスや疲労をためないように、リラックスする時間を作り十分な休養を取りましょう。

■水分を十分に補給して
1日に2L以上の尿を排出するよう、水分を十分に取りましょう。
ただし、スポーツドリンクやジュースなどの糖分を含む飲料は避けましょう。

■禁煙を心掛けて
喫煙は、生活習慣病全般の原因であり、血管を収縮させるため動脈硬化の誘因にもなります。禁煙を心掛けましょう。

■定期的な検査を心掛けて
高尿酸血症だけではなく、ほかの生活習慣病を予防するためにも定期的な検査を心掛けましょう。

 

監修/北村 聖 先生
東京大学医学教育国際協力研究センター教授

肥満症

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

肥満症~食事療法と運動療法による改善 / 生活習慣病世代の食事と運動

肥満の大きな原因は、エネルギーの過剰摂取と消費エネルギー不足。つまり、食べ過ぎと運動不足です。
肥満になると、糖尿病や高血圧、痛風、脳出血などの生活習慣病を発症するリスクが高くなります。

現在の生活習慣を見直すことが肥満症を改善する健康への第一歩です。「こんなことはいつでもどこでも言われて耳にタコができる・・・」 そう言わず、毎日を健康に楽しく過ごすために肥満を改善する方法をご案内します。

肥満症の生活習慣の改善方法とは

肥満症のダイエットの目的は、生活習慣病の改善とそれによる発病のリスクを取り除いていくことです。
ですので、モデルのようなプロポーションを目指すことではありません。

肥満症の解消方法は大きく2つあります。食事療法および運動療法です。
ただし、すでに肥満度が高く、合併症が進行している場合などは薬物療法や外科的治療が行われることがあります。

目標は、三ヶ月で今の体重の5%を減らすことです。生活習慣の改善のためには、実は短期決戦の急激なダイエットは逆効果なのです。
あくまで生活習慣を改善することで生活習慣病の発病のリスクを取り除くということを一番に考えましょう。

BMIについて(ボディ・マス・インデックス)

自分体重が身長か楽観が得てどれくらいの肥満度に位置しているかはBMI(ボディ・マス・インデックス)で計算します。
BMIが25を超えた場合は肥満症といえます。

■BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
■適正体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22

BMI判定日本肥満学会による肥満判定基準

BMI判定
18.5未満 やせ
18.5以上25未満正常域
25以上30未満肥満(1度)
30以上35未満肥満(2度)
35以上40未満 肥満(3度)
40以上肥満(4度)

肥満症の食事療法

肥満症の食事療法は、一日の摂取エネルギーをだいたい1,000~1,800kcalにとどめることです。
これに基づいて栄養バランスの良いメニューを考え、動物性脂肪や油脂、糖分を摂り過ぎないようにします。
状態によってはもっと厳しく一日に1,000~1,400kcalに減食します。

さらに、睡眠時無呼吸症候群などの健康障害をともない、すぐに大幅な減量が必要な場合は600kcal以下の低エネルギー食による治療を行います。
ただしタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養不足に注意してメニューは考えなくてはなりません。

摂取するエネルギーが少ないと、身体は基礎代謝量(呼吸や体温調節など人間の生命活動を維持するのに使われるエネルギー)を減らして、少ないエネルギーで生きていけるように順応してしまうため、空腹を我慢してダイエットしても全然やせない、ということになってしまいます。

さらに、食べないで我慢しているストレスから、一時的にやせたとしてもすぐにリバウンドしてしまうことが多いのです。
そのうえ、急激なダイエットは、肌や髪が荒れてしまったり、生理がとまったりすることもあります。

生活習慣病世代の食生活の注意ポイント

肥満予防のために、下記のポイントに注意しましょう。

1.過剰なエネルギー摂取を避ける
体格などによって差はありますが、自分に見合った摂取エネルギー量を心がけます。
生活、運動や基礎代謝などで消費するエネルギー量に対して、摂取するエネルギー量が上回れは脂肪として蓄えられます。

基礎代謝は年齢とともに減っていきますが、生活習慣病世代は食事の量はさほど変わりません。
そのため、内臓脂肪として身体に蓄積され、肥満につながります。

推定エネルギー摂取量は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」などが参考になります。

2.脂肪分の高い食事を避ける
一日の脂肪分の摂取量は、一日の総エネルギー摂取量の25%未満が理想。日本人の脂肪からのエネルギー摂取量は、30年前の3倍近くに増加しています。
ヘルシーさが世界的に有名な和食ですが、食の欧米化か進んで高脂肪食が増えています。

これにより動脈硬化や乳がん、大腸がんによる死亡率も増加傾向です。

3.食塩の摂り過ぎを避ける
一日10g未満、血圧が高い人は6g未満を目安にしましょう。食塩の摂り過ぎは、高血圧や胃がんを招く要因であると考えられています。

4.カルシウム不足にならないように注意する
小魚、牛乳、海藻などカルシウムの含有量が多く、また吸収率の良いものを食べましょう。
減食するとこれらの栄養層が不足しがちになります。不足するとストレスに弱くなりイライラしたり、骨粗鬆症の要因となります。

5.規則な食習慣を取る
三食決まった時間に食べる習慣をつけましょう。
朝食を抜く人が多いですが、食事と食事の時間が開きすぎると身体が飢餓状態となり、エネルギーをため込もうとし、より脂肪として蓄積されやすくなるので注意です。

6.糖質制限
最近は、カロリーで計算するのではなく、摂取する糖質量で計算して、減量を目指していく糖質制限が紹介されています。
糖尿病の患者では血糖上昇が抑えられ、非糖尿病の人でも減量効果が高いとされるため、注目されています。

肥満症の食事療法

肥満症の運動療法

肥満の程度によって、ウォーキングや水中運動など有酸素運動を継続して行います。肥満の状態によっては激しい運動は、膝などの関節を痛めたり、肺や心臓などの内蔵に負荷を与えかねません。負担の少ない運動から徐々に始めていきましょう。

また、筋肉トレーニングも有効です。筋肉量を増やすことで消費エネルギー量をアップさせます。加齢により筋肉量が減っていくと基礎代謝も下がり、生命維持のために消費する最低限のエネルギーの消費量がされにくくなります。
高齢になってからでも筋力を上げることはできますので、無理をせず取り組んでみましょう。

準備運動(ウォーミングアップ)と、整理運動(クールダウン)も大切です。
怪我の予防と疲労を残さないために、筋や関節をほぐしたり、伸ばすストレッチが効果的です。

生活習慣病世代の運動量

運動量の目安は、厚生労働省の「エクササイズガイド」を参考にすると良いでしょう。

日常生活の中の「生活運動」と、スポーツや趣味の「運動」の運動量を、強度と時間で示しています。
身体活動の強度について「メッツ」、「メッツ」に時間をかけたもの(「メッツ」×時間)を「エクササイズ」という単位で表し、生活習慣予防のためには、3メッツ以上の身体活動(普通歩行など)を週に23エクササイズ(23時間)以上行うことを目標とします。

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

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