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じかねつジカ熱

じかういるすかんせんしょうジカウイルス感染症
更新日:2022/08/16 公開日:2019/02/07 view数:3,162
目次
  1. ジカ熱とは
  2. ジカ熱の症状
  3. ジカ熱の診療科目・検査方法
  4. ジカ熱の原因
  5. ジカ熱の予防・治療方法・治療期間
  6. ジカ熱の治療経過(合併症・後遺症)
  7. ジカ熱になりやすい年齢や性別

ジカ熱とは

ジカ熱は、ジカウイルスに感染することで発症する感染症です。ウイルスを持つ蚊に刺されてから3~12日で発症することがあります。症状として軽度の発熱、関節痛、頭痛、倦怠感といったものが出てきます。しかし、ジカウイルス感染者の8割は発症しません。

妊婦がジカウイルスに感染すると胎児に胎内感染していまい、小頭症(しょうとうしょう)を引きおこすことがあります。子どもの成長にも影響を及ぼすため、注意が必要な病気です。

ジカウイルスはウガンダにあるジカ森のアカゲザルから検出されたウイルスで、人間への感染は主に蚊を媒介にします。

ジカ熱の症状

ジカ熱は「ジカウイルス感染症」とも呼ばれ、蚊に刺されてから数日(3~12日)で発症し、軽度の発熱、関節痛、頭痛、結膜炎(けつまくえん)、だるさ、斑丘疹(はんきゅうしん)といった症状が4〜7日間持続します。そのほか、後眼窩痛(こうがんかつう) 、めまい、下痢、腹痛、嘔吐、便秘、食欲不振などをきたす場合があります。
しかし、ジカウイルスに感染しても発症しないことがほとんどで、発症しても症状が軽くて気づかないことが多いです。

結膜炎

ジカウイルスに感染することで、眼の充血、目やにの発生、まぶたの腫れやブツブツが出てきます。

斑丘疹

皮膚にできる1cm以下のいびつな形の発疹があらわれます。

後眼窩痛

眼球が収まっている骨の孔部分・眼窩の後部が痛む症状が出てきます。

ギラン・バレー症候群

ジカウイルスに感染することで、ギラン・バレー症候群を発症するおそれがあります。ギラン・バレー症候群は、細菌やウイルスへの感染がきっかけで神経に障害が出ます。先行感染(感染症の症状がおこる前の疾患)として扁桃炎(へんとうえん)や感冒、下痢といった気管や腸の異変を引きおこします。

発症から1週間から3週間で、基本的に下半身から力が入らなくなり、麻痺の症状が出てきます。進行すると上半身の運動機能も低下していきます。重篤化した場合は、顔の筋肉も麻痺し、食べ物が飲み込めない、呼吸が苦しい、声を出しづらいといった状態になります。

ギラン・バレー症候群の多くの場合は自然治癒しますが、生命に関わる症状が出る恐れがあるので、原則として入院治療をおこないます。
特別な治療法は存在せず、基本的には時間経過によって軽快するのを待つしかありません。しかし、呼吸障害などの症状が見られる場合、気管挿管・人工呼吸器などで、生命を維持しながら回復を待つ必要があります。


ジカ熱の診療科目・検査方法

ジカ熱はジカウイルスの感染によるものなので感染症科への受診が望ましいですが、近辺になければ、内科でも診ることが可能です。受診する前に、必ず医療機関へ事前に連絡します。「どこに」「どの期間」いたなどの渡航歴を医師や医療スタッフに必ず伝えます。

ジカウイルスに感染しているかどうかはRT-PCR法とIgM capture-ELISA 法によって検査します。また、症状が似ているデング熱との判別には中和抗体価(ちゅうわこうたいか)を測定します。

PCR法(ポリメラーゼ連鎖反応法)

通常、人の目では見られない遺伝子を、増やして見えるようにするのがPCR法です。血液からDNAを採取してジカウイルスに感染しているか検査します。

遺伝情報・DNA

生物の遺伝子情報はゲノムDNAのなかにあります。ゲノムDNAは4種類の塩基(えんき/DNAの最小単位である物質)で構成されています。この塩基の並び方、数は生物ごとに異なっているため、この並び、数を調べればどの生物かを特定できます。また、DNAは遺伝子の意味をなす部分とそうではない部分が入り混じっています。
並び方、数を調べることで、「この生物には必ずこの遺伝子部分が存在している」という部分を発見できます。
もちろん、細菌やウイルスもDNAパターンは決まっているためジカウイルスを検査するためには、DNAを検査していきます。

PCR法のしくみ

DNAは基本的に2本の鎖がらせん状に構成されています。
この2本の鎖は温度を上げると1本ずつに分離させることができます。次に、分離した1本の遺伝子と結合させる別の小さな遺伝子を、温度を冷やすことで結合させます。こうして結合した2本の遺伝子は短い状態になっています。
この遺伝子を耐熱性DNAポリメラーゼという物質と反応させます。すると、伸長、増幅させることができます。
この方法によって、見たい遺伝子(今回ではジカウイルス)を増幅させることで観察できるようにし、検査をおこないます。
患者さんのなかに増やしたい遺伝子(ジカウイルス)があれば、それが増えることで、目で確認することができ、陽性と判定されます。
しかし、遺伝子がなければ増えないため、目で確認することはできず、 陰性と判定されます。

IgM capture-ELISA 法

患者さんの血液を採取して、なかに含まれるIgMという抗体を特定するために、酵素反応が出るかを検査します。
IgMとは、細菌やウイルスに感染した際に最初にできる抗体で、感染していることを特定できます。このIgMに酵素が反応することで、ジカウイルスに感染しているかを判断します。

中和抗体価測定

中和抗体とは、抗原(ジカウイルスやデングウイルス)に結合して活性を減退、もしくは抗原を消失させます。ジカウイルスとデングウイルスは構造が似ていて特定しにくいのですが、抗原に反応する中和抗体を見つけることができれば、判別することができます。
中和抗体の測定は、病気の症状変化が激しい急性期と、病気が治ってきてリハビリなどをおこなう回復期のペア血清を検査することで判明します。
血清とは、血液が凝固してできる淡黄色の液体成分です。この血清に中和抗体が含まれています。

ペア血清を採取する理由

急性期と回復期に血清を採取することを、ペア血清といいます。なぜ、2回に分けて血清を採取するのかというと、中和抗体の数が違うためです。
急性期の抗体はまだ抗原に対応するものがつくられている段階のため、少ないです。
それに対して回復期は抗原の活動を消失させている状態なので、抗体が豊富につくられた状態です。
この違いから、どの抗原にたいしての中和抗体が増えたのか=どの抗原が病気の原因だったのかを特定する目安とすることができます。

ジカ熱の原因

ジカウイルスに感染することが唯一の原因ですが、感染ルートは複数考えられます。

南米やアフリカなどで、ジカウイルスを持っている蚊に刺される

ジカウイルスを持っている蚊に刺されることで感染します。しかし、ウイルス持ちの蚊が生息する地域に限定されています。日本国内ではまだウイルスを持った蚊は確認されていません。

胎内感染

妊婦がジカウイルスに感染することで、胎内にいる子どもに感染します。生まれてくる子どもは小頭症(しょうとうしょう)をおこし、頭部が小さく知能の発達が遅れる可能性が高まります。

輸血による血液感染

感染している人の血液が、輸血で体内に入ることで感染する可能性はあります。しかし、近年では医療の発達により輸血パックの安全性、衛生面が向上しており、輸血による血液感染の可能性は限りなく低くなっています。

性行為による感染

感染している男性と性行為をおこなった女性が感染した複数の事例報告があります。

媒介になる蚊の種類

ヒトスジシマカ

ヒトスジシマカは沖縄から東北にかけて、幅広く生息しています。日陰で吸血してくるため、藪や草木に近づくことは避けます。しかし、日本国内のヒトスジシマカはジカウイルスを持っていないため、国内での危険性はありません。
ジカ熱の流行地に行く際は、注意が必要な蚊です。

ネッタイシマカ

現在、日本には生息していません。しかし、歴史的に人の移動に合わせて分布を拡大してきた種類の蚊で、今後運ばれて来る可能性は否定しきれません。

ジカ熱の予防・治療方法・治療期間

ジカウイルスに有効な薬はまだ開発されていません。そのため症状に合わせた対症療法が主な治療となります。
熱が高い、痛みが激しい場合には解熱鎮痛剤を服用して様子をみます。
ジカ熱の症状は軽いことが多く、しばらく安静にすることで自然治癒します。
症状が重篤化したり、ギラン・バレー症候群のような合併症を発症したりしたら、医療機関を受診します。

ジカ熱の治療経過(合併症・後遺症)

ジカ熱は発症しても軽い症状で済み、予後は良好な病気です。
また、症状を発症せず、ウイルス感染したことを認識しないまま自然治癒するケースがほとんどです。症状は軽いことが多く、しばらく安静にすることで自然治癒することが多いです。デング熱と比べ軽症で済むのが特徴です。

妊婦がジカウイルスに感染した場合、胎児に感染します。
それに伴って頭蓋骨が早期に形成されてしまい、小さくなってしまいます。これを小頭症といい、発症した子どもは知能発達の遅れや身体障害にがあらわれます。

ジカ熱になりやすい年齢や性別

現在、ジカウイルスを持つ蚊は日本国内には存在していません。ジカウイルスを持っている蚊の分布はアフリカ、中南米を中心とした一部のアメリカ、アジアの一部となっています。

年代・性差は特にありません。

執筆・監修ドクター

板東 浩
板東 浩 医師 医師 担当科目 内科

経歴1957年生まれ。
1981年 徳島大学を卒業。
ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。

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