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マイコプラズマ肺炎

目次
  1. 概要
  2. 症状
  3. 原因
  4. 検査内容と主な診療科目
  5. 治療方法と治療期間
  6. 治療の展望と予後
  7. 発症しやすい年代と性差
  8. 編集部脚注

概要

マイコプラズマ肺炎とは?

マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマ・ニューモニエという細菌による感染症です。
一年中感染の可能性がありますが、冬に感染者が増える傾向です。感染すると風邪とよく似た症状を発症します。しかし、風邪のように回復せず、咳や熱が長引きます。
若年層に多くみられる肺炎でもあります。

かつて、日本では4年おきに大流行していて、流行年が夏季オリンピックの年に重なっていたことから「オリンピック熱」と呼ばれることもありました。
しかし、1984年(ロサンジェルス五輪)、1988年(ソウル五輪)の年に大流行して以降、特にオリンピック開催年だけ流行するという傾向は見られなくなっています。

マイコプラズマ肺炎が疑われる場合、成人であれば呼吸器内科、子供なら小児科を受診しましょう。咳が長引いている場合などは、マイコプラズマが原因かもしれません。肺炎の疑いがあると診断されれば、X線検査や血液検査などの検査を受けて詳しくしらべることになります。

マイコプラズマ肺炎は「第三種感染症」

マイコプラズマ肺炎は、学校保健安全法における「第三種感染症」に指定されています。
医師が「感染の恐れがない」と認めるまでの期間、幼稚園・学校などは出席停止になります。

・第一種感染症
完全に治癒するまで出席停止。

エボラ出血熱、ペスト、重症急性呼吸器症候群(SARS)などが該当します。
「第一種感染症の感染者がいる家に住んでいる場合」「第一種感染症の流行地域を旅行してきた場合」なども出席停止になることがあります。

・第二種感染症
病状により、学校医・医師が感染の恐れはないと認めるまで出席停止。

たとえば、インフルエンザなら「発症後5日が経過していて、なおかつ解熱から2日(幼児は3日)が経過していること」が出席停止を解除する条件です。
麻疹(はしか)、水疱瘡(みずぼうそう)など、ほかの第二種感染症も、出席停止期間の基準が決まっていることが多いです。

第一種感染症と同じく、「第二種感染症に感染した家族と同居している場合」「第二種感染症が流行している場所に滞在していた場合」なども出席停止になることがあります。

・第三種感染症
病状により、学校医・医師が感染の恐れはないと認めるまで出席停止。

コレラ、細菌性赤痢などのほか、「(条件によっては出席停止になる)そのほかの感染症」という項目が存在します。
この「そのほかの感染症」に含まれるのが、マイコプラズマ感染症です。手足口病、ヘルパンギーナなどが同じ項目に含まれています。

第一種・第二種と異なり、「家族が感染している」「流行地域に行ってきた」などの理由で出席停止になることはありません。

子供がマイコプラズマ肺炎と診断された場合は、原則として出席停止になります。
出席停止期間が明確に定められているわけではありませんが、一般的には「解熱から2日経過するまで」を出席停止とします。

咳が1か月続くこともあるので、厳密には長期間にわたって病原体を排出する恐れがあります。
しかし、1か月も出席停止にするわけにはいかないので、「病原体の排出量が多く、感染の恐れが強い期間」を出席停止扱いにしています。

症状

発熱や全身倦怠感、頭痛、痰を伴わない咳など発症直後は、風邪と区別がつかない。
ただ、幼児に比べて小学生以上では重症化しやすく、場合によっては40℃以上の熱が出る人もいる。
必ずしも「風邪と同じようなもの」とは限らないので、軽視することは避ける必要がある。

また、いったんは熱が下がっても、その後、再び発熱する場合がある。
熱が上がったり下がったりを繰り返す「弛張熱(しちょうねつ)」になることもあり、症状は長引きがちである。

咳が出はじめるのは、体調不良を自覚してから3~5日後が多く、最初は乾いた咳(痰の絡まない咳)である。
時間が経つごとに咳は悪化する傾向にあり、だんだんと湿った咳(痰が絡む咳)に変わる。
多くの場合、熱が下がったあとも3~4週間にわたって咳が続く。
個人差があるが、咳が特にひどくなるのは、発症から2週目である。

マイコプラズマ感染症を起こした子供の25%が嘔吐・下痢などの消化器症状をきたすとされている。
鼓膜炎・中耳炎などを起こして「耳が痛い」と訴える人もいる。
そのほか、発疹・筋肉痛・関節痛が出ることもある。

潜伏期間

細菌・ウイルスなどの病原体に感染してから、症状が出るまでの期間を潜伏期間と呼ぶ。
マイコプラズマ肺炎は潜伏期間が長く、だいたい2~3週間くらいである。

潜伏期間が長いことから、「職場・学校などの空間で流行しやすい」という特徴を持っている。
潜伏期間が2~3週間ということは、「感染者は2~3週間にわたって、自覚がないまま通学・通勤を続ける」ことを意味する。
肺炎としては症状が軽い場合も多く、風邪だと思って通学・通勤を続ける人も多い。
そのため、職場・学校など閉鎖空間で流行する傾向がある。

さらに、発症から治癒するまでにも時間がかかり、咳が止まるまでには平均して3~4週間ほど要する。
マイコプラズマ肺炎は症状に個人差があり、中には2~3日でほとんど治まる人もいる。
逆に1か月以上が経過しても、まだ咳が出る人もいる。

類似した症状の病気

多くの場合、マイコプラズマ肺炎の特徴は「風邪に似た症状」と「長引く咳」である。
同じような特徴を有する病気がほかにもあるので、きちんと判別する必要がある。

1.結核

結核菌が原因となる感染症。初期症状は、咳・発熱など風邪に似ている。
良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、最終的には咳が悪化していく。
進行すると、咳と同時に血痰が出るなどの激しい症状が出る。

2.百日咳

百日咳菌が原因の感染症。やはり、初期症状は咳・発熱・くしゃみなどで、風邪との区別は困難である。
だんだんと咳が悪化し、発作的に連続して咳をするようになる。
その後、咳は治まっていくが、最初に症状が出てから治癒するまでに2~3か月を要する。

3.喘息(ぜんそく)

アレルギーによる症状であり、感染症ではない。
咳・痰が出るほか、呼吸をするときに「ヒューヒュー」という喘鳴音(ぜいめいおん)がする。

4.慢性閉塞性肺疾患(COPD)

動いたときに呼吸苦・咳などの症状が出る。
肺胞が破壊されることで、うまく呼吸できなくなる。
ほとんどの場合、喫煙が原因と考えられている。実際、長年にわたって喫煙を続けてきた高齢者が発症する傾向にある。

原因

非定型病原体(※1)―肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)に感染することで起こる。

マイコプラズマ肺炎の原因は、マイコプラズマと呼ばれる細菌である。
細胞壁を持たないことから普通の細菌より小さく、自己増殖できる微生物としては最小である。マイコプラズマの感染経路は、飛沫感染(ひまつかんせん)と接触感染である。

・飛沫感染
感染者の咳・くしゃみなどで病原体が飛散し、ほかの人に感染することを指す。
多くの場合、1~2m以内の範囲で飛沫感染が起こる。

・接触感染
例えば感染者が病原体の付着した手で、ドアノブなどを触った時、もし、別の人物が同じドアノブに触り、その手で鼻・口に触れた場合、感染の恐れがある。
モノに接触することで、間接的に病原体が移動する。

飛沫感染は「咳・くしゃみなどで病原体が飛散することによる感染」で、接触感染は「病原体の付着した手で鼻・口などを触ることによる感染」である。

接触感染の場合、「感染者が鼻水を拭った手でドアノブを触り、別の人が同じドアノブを触った手でサンドイッチを食べた」などのケースで感染することがある。
そのため、基本的にはインフルエンザ対策と同じ方法で予防することになる。
まずは、咳・くしゃみをしている人に近づくのを避け、外出時はマスクをする。

そのため手洗いはもちろん、「つり革・手すりなどを触ったら手指を消毒する」といった習慣も予防に役立つ。
マイコプラズマに対しては、インフルエンザ対策に用いられるアルコール消毒のジェルが有効である。

潜伏期間が長く、肺炎としては症状が弱い場合もあるため、「感染者が無自覚に病原体を広げるリスク」がある。

特に潜伏期間は、何の症状もない。本人も自分が肺炎の病原体を持っているとは思わず、ふだんどおりに外出し、友人・知人と至近距離で会話をする。
恋人・家族間などでは長時間にわたる接触があるため、さらに感染リスクが強まる。

マイコプラズマ自体は、あまり感染力の強くない病原体である。しかし、潜伏期間が長いことから、感染に気づかず、親密な人に感染させる恐れがある。
親密な人同士で、長時間・至近距離の接触をすることを「濃厚接触」と言う。
マイコプラズマ肺炎は、閉鎖空間での濃厚接触による感染が多い。

検査内容と主な診療科目

長引く咳などの症状があるときは、小児科、呼吸器内科を受診する。感染症迅速検査(専用キットによる検査)と遺伝子検査と血液検査(マイコプラズマ抗体検査)が行われる。

マイコプラズマ肺炎が疑われる場合、内科・呼吸器内科のいずれかを受診すると良い。
もちろん、お子さんの場合は小児科・小児内科を受診する。

現実的には「マイコプラズマ肺炎の診断をしてほしい」という名目で医療機関を訪れる人はほとんどいない。
多くの場合、「風邪をこじらせた」「咳が止まらない」などの理由で医療機関を受診した結果、マイコプラズマ肺炎と診断されることになる。

いずれにしても、風邪のような症状が出てから、「2週間以上、咳が止まらない」という場合は早めに医療機関を受診することが推奨される。

風邪のような症状を訴えて受診すると、一般的には問診がおこなわれる。
問診の結果、医師が「ただの風邪ではない」と判断した場合にだけ、詳しい検査を実施する。

感冒(風邪のこと:かんぼう)症状に対する問診

風邪の症状で受診した場合、たいていは次のような質問をされる。

・どれくらいの期間、咳が続いているか?
2週間を超えて咳が続いている場合、マイコイプラズマ肺炎や百日咳が疑われる。

・持病を持っているかどうか?
喘息など、咳が出る持病の有無は診断において重要である。

・すでに処方を受けるなどして、抗菌薬を服用しているか?
マイコプラズマに有効な抗菌薬は限られている。
「ある種の抗菌薬が効かなかった」という事実があれば、重要な情報になる。

・学校や職場での流行状況、家族の体調はどうか?
学校・職場・家族にマイコプラズマ肺炎の人物がいれば、感染が疑われる。

マイコプラズマ肺炎が疑われる場合の検査

マイコプラズマ肺炎をはじめ、感染症・肺炎が疑われる場合は、検査を実施することになる。主に、次のような検査がおこなわれる。

1.画像診断(胸部X線)
感染症を疑った時点で、通常は胸部レントゲン撮影をおこなう。
ただ、マイコプラズマ肺炎の場合、それほどはっきりとした影が映らないこともある。むしろ、レントゲン撮影は「結核」や「(一般的な)肺炎レンサ球菌による肺炎」を見つけるのに向いている。

とはいえ、問診の時点では「結核の疑い」などもあり得るため、通常、まずは胸部レントゲンを撮影する。

2.迅速診断(PCR法)
患者の喉をこすって採取した「咽頭(いんとう)ぬぐい液」を使い、マイコプラズマが検出されるかどうかを調べる方法である。
20分ほどで結果が出るので有用だが、すべての医療機関で実施できるわけではない。

3.核酸増幅法(NAT)(かくさんぞうふくほう)
「咽頭ぬぐい液」または「痰」を採取して、培養する方法。培養した結果、マイコプラズマが検出されるかどうかを確認する。
検査結果を得るまでには早くても1週間ほどかかるので、臨床には向かない。

4.血液検査
血液検査で、マイコプラズマの抗体が出るかどうかを確認する。
ほかの細菌感染症では白血球の増加を認めることが多いが、マイコプラズマ感染症の場合、白血球は「正常値」または「低下」を示す傾向にある。

治療方法と治療期間

マイコプラズマ肺炎は細菌感染症である。そのため抗菌薬を使用して治療する。
抗菌薬にはいくつかの種類があり、マイコプラズマ・ニューモニエに効果的な抗菌薬が選択される。

一般的には、マクロライド系(※2)のエリスロマイシン(※3)、クラリスロマイシン(※4)などの抗生剤が処方される。

一方で、一部の抗菌薬に対しては効果がない。

さらに、近年では「抗菌薬の効きにくい菌―耐性菌」が発見され、従来使用されてきたマクロライド系抗菌薬という種類の薬にも効果がないことがあり、問題視されている。

治療の多くは抗生剤による治療を7日~14日間おこなう。

マイコプラズマ肺炎の原因菌―マイコプラズマは、細菌の仲間である。
そのため、抗菌薬(抗生物質)を処方することで軽快が期待できる。

また、すべての抗菌薬が有効というわけではない。
マイコプラズマは「細胞壁を持たない細菌」である。
そのため、「細胞壁合成酵素を阻害する抗菌薬(β-ラクタム系抗生物質)」は無効になる。
もともと細胞壁を持たないので、「細胞壁を攻撃する作用」では意味がない。
β-ラクタム系抗菌薬に該当するのは、たとえば「ペニシリン系」「セフェム系」の抗菌薬である。

そこで、マイコプラズマ肺炎に対しては「マクロライド系抗菌薬」を第一選択とするのが一般的であった。
マクロライド系抗菌薬は細菌のタンパク質合成を阻害することで、増殖を抑える。

耐性菌

1999年まで、「マクロライド系抗菌薬に耐性を持つマイコプラズマは存在しない」とされてきた。
しかし、2000年頃から、マクロライド系抗菌薬が効かない耐性株が出現している。

耐性株は増加の一途をたどり、2014年に発表された全国の65施設を対象にした調査において、2012年にマイコプラズマ感染症と確認されたのは349例、そのうち288例で耐性株が検出された。
つまり、2012年の時点で、マイコプラズマの83%が「マクロライド耐性株」だった、ということになる。
近年は、「マクロライド系抗菌剤の効かないマイコプラズマ」の比率が大きくなっている。

マクロライド耐性マイコプラズマ感染症には、「テトラサイクリン系抗菌剤」「ニューキノロン系抗菌剤」が用いられる。

治療薬

マイコプラズマ肺炎に用いられる抗菌薬は、次の3系統である。
いずれも、7~10日ほど処方するのが一般的である。
また、抗菌薬のほか、医師の判断で「咳止め」「解熱剤」など対症療法のための薬が処方されることもある。

・マクロライド系

代表的な薬剤にはエリスロマイシン、テリスロマイシン、リンコマイシンなどが存在する。
細菌のタンパク質合成を阻害して、増殖を抑える。
殺菌ではなく「増殖を抑える」という働き方の抗菌剤を「静菌系抗菌薬(せいきんけいこうきんやく)」と呼ぶ。

・テトラサイクリン系

代表例はミノサイクリン、オキシテトラサイクリンなどの薬剤。
タンパク質合成を阻害して細菌の増殖を抑える薬であり、静菌系抗菌薬の1つ。
ただし、子供に用いると「歯の着色」など副作用が出る恐れがあるため、8歳未満には用いない。

・ニューキノロン系

代表的な薬剤としてはレボフロキサシン、ナジフロキサシンなどが知られている。
細菌の「DNAジャイレース」という酵素を阻害する薬。細菌を死滅させる「殺菌系抗菌薬」である。

予防

極力、感染の可能性の飛沫感染や接触感染などをさけるための対策をする。
ただし、感染を予防するワクチンや予防接種などは存在しない。そのため感染の確率を大きく下げることは困難である。

マイコプラズマに対する特別な予防法はないので、風邪・インフルエンザ対策を徹底することが基本になる。

治療の展望と予後

治療は可能である。
しかし、免疫が生涯にわたり効果を発揮する病気ではない。
そのため何度でもかかる可能性がある。
常に、感染予防を意識するべき病気の1つである。

世の中には「1回かかると、もうかからない病気」「免疫ができて、かかる確率が大幅に下がる病気」が存在する。
しかし、マイコプラズマ肺炎は複数回にわたって感染・発症の恐れがある。
マイコプラズマに対する免疫は、生涯にわたって続くものではないので、時間が経つと再び感染する恐れがある。

合併症

マイコプラズマ・ニューモニエが肺に感染した肺炎がマイコプラズマ肺炎である。
その他の場所に細菌が感染するマイコプラズマ感染症には、注意するべき合併症が存在する。
そうした感染症性の疾患を合併する確率は高くはない。
髄膜炎、脳炎、ギラン・バレー症候群など重篤な合併症も知られている。
主な合併症として、次の症状が知られている。

1.無菌性髄膜炎(むきんせいずいまくえん)

「髄膜(ずいまく)」は、脳・脊髄(せきずい)を保護するための膜である。
髄膜が炎症を起こすことを髄膜炎といい、「髄液から細菌が検出されない髄膜炎」を無菌性髄膜炎と呼んでいる。
マイコプラズマ感染に起因する髄膜炎は、無菌性髄膜炎となる。高熱に加え、頭痛・嘔吐などが主な症状である。

また、髄膜炎に特徴的な症状として、首の後ろ(うなじの付近)が痛み、首を前方に曲げられなくなる。

2.脳炎

脳炎は、脳が炎症を起こした状態。高熱・頭痛・嘔吐に加えて、意識障害・痙攣(けいれん)などの症状が知られている。
咳などの症状が出てから脳炎を発症するまでに数週間かかることが多く、脳炎の原因特定が困難なケースがある。

3.中耳炎

マイコプラズマが気道を経由して、中耳に入ることがある。
マイコプラズマに起因する中耳炎の場合、鼓室(鼓膜の奥にある空間:こしつ)に水が溜まる「滲出性中耳炎(しんしゅじゅつせいちゅうじえん)」を起こす。

3.ギラン・バレー症候群

筋肉を動かすための神経(運動神経)に障害が起きて、「手足に力が入らなくなる」「呼吸不全を起こす」などの問題が生じる。
はっきりとしたメカニズムはわかっていないが、細菌感染症を起こしたあとにギラン・バレー症候群を発症する例が多い。

マイコプラズマ感染症を発症してから数週間後に、ギラン・バレー症候群の症状が出る例がある。

発症しやすい年代と性差

年間で感受性人口の5~10%が罹患するとされている。
小学校や中学校での流行が多く、7~8歳がピーク。

子供・若い人の発症が目立ち、例年、マイコプラズマ肺炎にかかる患者の8割程度が14歳以下である。
一例として、2012年の年齢別報告数を確認すると、次のようになっている。

0~ 4歳 30.2%
5~ 9歳 31.4%
10~14歳 18.6%
15~19歳  3.4%
20~39歳  7.8%
40~59歳  3.3%
60歳以上  5.3%

圧倒的に若年者の発症が多く、20~39歳といった抵抗力の高い年齢層でも7.8%という高い数字である。
反面、60歳以上で5.3%と低く、高齢者の罹患率があまり高くない。

本来、肺炎の原因菌として、もっとも一般的なのは「肺炎レンサ球菌」である。
肺炎レンサ球菌による肺炎にかかりやすいのは、「65歳以上の高齢者」と「5歳未満の乳幼児」である。
つまり、抵抗力の低い乳幼児・高齢者の罹患率が高い。

マイコプラズマ肺炎は「5~35歳」において主要な肺炎であり、肺炎レンサ球菌による肺炎とは異なる傾向を持っている。

編集部脚注

※1 非定型病原体

非定型病原体は、「β-ラクタム系抗菌薬で殺菌することができない細菌」です。

β-ラクタム系抗菌薬は「細菌の細胞壁を構成するペプチドグリカンの合成を阻害する薬」の総称です。
具体的には「ペニシリン系抗菌薬」「セフェム系抗菌薬」などが該当します。
マイコプラズマ肺炎の病原体―マイコプラズマ・ニューモニエは「細胞壁を持たない細菌」なので、細胞壁の合成を阻害しても意味がありません。

また、レジオネラ属の細菌は「細胞内寄生菌」であり、人間の細胞内で増殖します。
β-ラクタム系抗菌薬は細胞内にほとんど入らないため、細胞内寄生菌には効果が期待できません。
さらに、クラミジア属の細菌は細胞壁に「ペプチドグリカン層」がありません。
当然ながら、「ペプチドグリカンの合成を阻害する薬」であるβ-ラクタム系抗菌薬は無効です。

このような「β-ラクタム系抗菌薬が効かない細菌」を指して「非定型病原体」または「非定型細菌」と総称しています。

※2 マクロライド系

マクロライド系は、抗菌薬の系統の1つです。
細菌のタンパク質構成器官―リボソームの働きを阻害する薬です。

リボソームは2つのサブユニットにわかれており、細菌のリボソームは「30S」と「50S」から構成されます。
マクロライド系抗菌薬は、50Sと結合して、本来の働きができないように阻害します。
「細菌の増殖を抑える」という効き方をすることから、「静菌的に作用する」と表現されます。
ちなみに、人間のリボソームは「40S」と「60S」なので、マクロライド系抗菌薬の影響を受けません。
そのため、マクロライド系は「人間に対する毒性がきわめて低い抗菌薬」と見なされています。

※3 エリスロマイシン

エリスロマイシンは、マクロライド系抗菌薬の1つです。
1952年に精製された「最初のマクロライド系抗菌薬」になります。

抗菌スペクトルが広い(=さまざまな種類の細菌に効果的である)薬ですが、マクロライド系の中では副作用が強いとされています。

※4 クラリスロマイシン

クラリスロマイシンは、マクロライド系抗菌薬の1つです。
1990年に開発された薬で、副作用も穏やかになっています。
また、エリスロマイシンが1日4~6回の服用を要したのに対し、1日2回の服用で済むというメリットもあります。

マイコプラズマ肺炎は、発熱・咳・頭痛などの症状を引き起こす感染症です。「マイコプラズマ・ニューモニエ」という細菌に感染することで発症します。
風邪の症状に似ていますが、どんどん咳がひどくなります。咳は長引き、熱が下がってからも3~4週間ほど継続します。

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