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ビリルビン尿とは
ビリルビン尿(びりるびんにょう)は、肝臓や胆道などの病気によって尿の中にビリルビンが含まれた状態の尿のことです。
人の血液にある赤血球が身体中に酸素を運ぶ働きを担っています。この赤血球は古くなると、脾臓と肝臓で処理され、ビリルビンという成分となり、胆汁に排出されていきます。
このビリルビンの排出量が高くなると、血液中のビリルビンが増加し、尿にもビリルビン尿として排出されます。
肝臓の障害である、急性肝炎や肝硬変などが起こっている時などに起こりやすくなります。
ビリルビン尿の症状
ビリルビン尿は、色が濃い黄色という特徴があります。通常、尿は薄い黄色ですが、ビリルビン尿は、オレンジに近いような色にまで黄色が濃いうえに、泡立ちやすく、その泡も黄色いことが特徴です。
日ごろから尿の色などに注意をしておきましょう。
ビリルビン尿の診療科目・検査方法
ビリルビン尿の診療は泌尿器科で行います。
ビリルビン尿が確認されるとさらに詳しく調べるため、血液検査で肝機能などを調べます。同様に血液検査では、肝炎ウイルスマーカー検査や腫瘍マーカー検査が行われる場合もあります。
また、超音波検査やCT検査という画像検査や、必要に応じて肝生検(肝臓の組織を直接採取する検査です。局所麻酔を行い超音波で位置を確認しながら行われます。)が行われることもあります。
ビリルビン尿が排出される原因となる肝臓機能低下は、その異変に気づきにくいものの、放置すると様々な障害を発症する可能性があります。
肝臓は、体の代謝や解毒・排泄・胆汁の分泌などに関わっている重要な臓器です。肝臓に異変があっても、直接、痛みや腹痛という症状は現れません。
ビリルビン尿の他に黄疸(目の白眼が黄色くなる・肌が黄色っぽい)・肌がかゆい・だるい、体調がすぐれない・むくみという症状が続く場合は、早めに内科・消化器内科、肝臓内科などを受診しましょう。
ビリルビン尿の原因
ビリルビン尿は、尿中のビリルビンが増えます。ビリルビン尿と言われる濃い黄色の尿が出る原因としては、通常、肝臓から胆汁に排出されるため、尿の中に出てくることがないビリルビンです。
しかし、肝臓や胆嚢の病気になると胆汁の流れが妨げられてビリルビンが血液中に増え、腎臓から尿に排出されるようになります。
ビリルビン尿の原因になる病気は、肝炎や急性肝炎、肝硬変といった肝臓障害や、胆石症など胆道系の閉塞が考えられます。肝硬変や肝臓障害等は、早い検査・治療が必要です。
ビリルビン尿の予防・治療方法・治療期間
ビリルビン尿や黄疸の原因となっている基礎疾患の治療が必要となります。
急性ウイルス性肝炎は、徐々に快方に向かう人も多くいます。しかし、肝炎は慢性化する場合もあり、発症した人は注意が必要です。
慢性肝炎、肝硬変の治療には薬物療法などが主となります。また、脂肪性肝炎には、運動療法・食事療法などがまずは行われます。
急性肝炎は、6ヶ月以内に一般的には落ち着きます。慢性となるとさらに長い治療期間が必要です。
ビリルビン尿の治療経過(合併症・後遺症)
ビリルビン尿の原因となる肝臓疾患は、早い段階で治療を行えば予後は良好のことも多いですが、しっかり、経過を追っていく必要があります。
慢性肝炎まで症状が進行してしまうと、肝臓がんや肝硬変となり予後不良の原因になります。
ビリルビン尿になりやすい年齢や性別
肝臓病が進み肝硬変の治療を行なっている患者数は、日本では4、50万人とされています。肝硬変で死亡するのは70%が男性で多くを占めています。
肝臓病は、症状が現れないのが一般的です。ビリルビン尿が確認された場合は、放置せず早めに検査を受けましょう。
執筆・監修ドクター

経歴1998年 埼玉医科大学 卒業
1998年 福岡大学病院 臨床研修
2000年 福岡大学病院 呼吸器科入局
2012年 荒牧内科開業
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