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じんましん

目次
  1. 概要
  2. 症状
  3. 原因
  4. 検査内容と主な診療科目
  5. 治療方法と治療期間
  6. 治療の展望と予後
  7. 発症しやすい年代と性差
医師

【執筆ドクター】

 板東 浩 先生

概要

じんましんとは?

じんましんの特徴は、皮膚の一部が赤く盛りあがることです。
細かいぶつぶつがあらわれるというよりは、「蚊に刺されたように膨れあがる」と表現したほうが的を射ています。正式な用語では、プクッと膨らんだ発疹のことを「膨疹(ぼうしん)」と呼びます。

膨疹の大きさはさまざまです。1~2mmから、手足全体を覆うものまで存在します。形状についても同様で、「円形」「不定形」「線状」「花弁状」「地図状」など多岐にわたり、決まった特徴はありません。

原因は物理的なものから精神的なものまで数多く存在しています。日常的に触れるもの、避けられないものも原因となります。症状は原因による差はあまりありませんが、頻度やあらわれ方に違いがあります。似た症状の違う病気もあるので見極めが必要です。

じんましんが疑われる場合は皮膚科を受診します。診断基準に沿って問診がおこなわれ、どの種類のじんましんか診断されます。
基本的に、標準的な治療で軽快させることが重視されています。

症状

皮膚が赤く盛りあがり、いわゆる「ミミズ腫れ」が生じます。
突然、膨疹(=膨らんだ発疹・ミミズ腫れ)があらわれて、数十分~数時間で消失します。
どんなに遅くても、24時間以内には消えます。
色素沈着・かさぶたなど、跡が残ることはありません。あらわれるときも、消えるときも、突然です。

ただし、激しい症状が出ていると、膨疹が出たり消えたりを繰り返すことがあります。新しい膨疹が次々とあらわれて「同じ場所にずっと膨疹が存在する状態」になることがあります。しかし、厳密には「元の膨疹が消えたあと、ほとんど同じ位置に新しい膨疹があらわれた」というだけです。そのほか、広範囲にじんましんが広がると、全身の大半が赤い膨疹に覆われることもあります。

自覚症状としては、「かゆみ」「チクチクした痛み」「焼けるような感覚(熱感)」などが知られています。

原因

日本皮膚科学会の「じんましん診療ガイドライン」では、「じんましん及び関連疾患」を16種類に区分しています。原因・メカニズムは、種別により変わってきます。ただし、全般に共通する「基本的なメカニズム」も存在しています。

じんましんがあらわれるメカニズム

皮膚の血管の周囲には、マスト細胞(肥満細胞)と呼ばれる細胞が存在しています。
マスト細胞の中には、ヒスタミンをはじめとする神経伝達物質が入っています。何らかの刺激を受けると、マスト細胞はヒスタミンを放出することがあり、ヒスタミンには、「血管を拡張させる性質」があります。血管が拡張すると、血液に含まれる「血漿(けっしょう:血液の液体成分)」が血管の外に漏れ出すようになります。
ヒスタミンによる毛細血管の変化こそが、じんましんのメカニズムです。
血管拡張は、皮膚が赤くなる原因です。そして、血漿が血管から漏れて皮膚の下に溜まることで、膨疹・ミミズ腫れが生じます。また、ヒスタミンは神経に作用して「かゆみ」「痛み」などの原因にもなります。

種別と原因

じんましんのメカニズムは、上述したとおり「マスト細胞からのヒスタミン放出により、血管拡張・血漿漏出・かゆみが生じる」というものです。
ただ、マスト細胞が活性化され、ヒスタミンを放出する理由は1つではありません。人によって、さまざまな理由がありえます。じんましんの種別は、「どのようなきっかけで、じんましんがおきるか」で分類しています。

以下に、日本皮膚科学会の「じんましん診療ガイドライン(2018)」に基づいた「じんましんの種別」を解説していきます。

1.突発性のじんましん

じんましんを理由に医療機関を受診する患者さんの症状として、もっとも多いのが「突発性のじんましん」です。直接的な原因や症状があらわれる理由が特定できませんが、じんましんとなって全身にあらわれます。疲労、ストレス、胃炎、感染症、アレルギーなど、複数の要因が重なって発症すると考えられています。

突発性のじんましんは、「急性じんましん」と「慢性じんましん」の2種類に区分されます。いずれも、じんましんの症状が繰り返しあらわれる傾向にありますが、「じんましんを繰り返す症状」が続く期間によって区別します。
・急性じんましん
突発性のじんましんのうち、発症から1カ月以内の症例を「急性じんましん」と呼びます。
子どもの急性じんましんは、風邪など感染症に起因するものが多くなっています。
・慢性じんましん
突発性のじんましんのうち、発症から1カ月以上が経過したものを「慢性じんましん」と呼んでいます。自己抗体(自分の身体を攻撃してしまう抗体)が検出されることも多く、自己免疫に関連していると考えられています。ただ、「自己免疫が原因」という考え方だけでは、じんましんがときどきあらわれる理由を説明できない点もあります。そのため、自己抗体が直接的な原因かどうかは不確かです。治療期間は数週間から数カ月以上になる場合が多いとされています。

2.刺激誘発型のじんましん

「特定の条件でじんましんがあらわれる場合」または、「特定の刺激でじんましんがあらわれる場合」を、刺激誘発型のじんましんに分類します。原因となる刺激を受ければ1日に何度も症状が出ることもあります。刺激がなければ長期間にわたって症状が出ないこともあります。
・アレルギー性のじんましん
食べ物、薬、植物、昆虫が出す毒素などによるアレルギー反応で、じんましんが出ることがあります。一般的に、抗原(原因となる物質)と接触してから、数分~数時間でじんましんがあらわれます。責任抗原(=アレルギーの原因物質)がはっきりすれば、原因を避けることで発症を抑えることが可能です。
ただし、体質自体を治すのは困難です。
・食物依存性運動誘発アナフィラキシー
特定の食べ物を摂取したあと、2~3時間以内に運動をすることでアナフィラキシーショックをおこします。

皮膚の症状だけでなく、意識障害、呼吸困難、血圧低下などをおこし、場合によっては生命にかかわることもあります。激しい運動をするほどリスクが高まりますが、中には散歩くらいの運動でアナフィラキシーショックをおこす例も存在します。比較的、稀(まれ)な疾患ですが、「じんましんで生命が脅かされることもある」という例の1つです。

日本国内では、小麦・エビなどに対するアレルギーが、食物依存性運動誘発アナフィラキシーを引きおこす例が広く知られています。
アレルギー性のじんましんと同じく、アレルギーをおこす体質自体を変えるのは困難です。「発症を避ける」という方向性が基本になります。
・非アレルギー性のじんましん
食物アレルギーではないのに、食べ物が要因でじんましんが出ることがあります。豚肉、タケノコなど、ヒスタミンを含む食べ物が発症原因になることがあります。また、マグロ、サバなどの魚も、鮮度が落ちるとヒスタミンを含むようになるため、注意が必要です。

アレルギー反応でヒスタミンが生じるのではなく、ヒスタミン自体を摂取した結果、アレルギーと同じような症状が出るようになります。
そのため原因物質を回避することが基本になります。
・アスピリンじんましん
アスピリンをはじめとする「非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)」を内服・外用・注射したときに、じんましんが出る人がいます。アレルギーとは異なるメカニズムで、アスピリン不耐症(イントレランス)と呼ばれます。
つまりこれは、アスピリンが身体に合わない体質であるといえます。

酸化防止剤として食品に添加される「亜硝酸」、旨味調味料として知られる「グルタミン酸ナトリウム」を摂取することで、じんましんが出る人もいます。これもアスピリンじんましんと同じく、体質によるものです。「特定の薬剤に過敏な体質」を変えることは難しく、原因となる薬剤を避けるしか方法はありません。

・物理性じんましん

物理的な刺激に反応して、じんましんがあらわれる例があります。
原因となる物理的刺激に応じて、さまざまに細分化されます。ほとんどの物理性じんましんは、最大でも2時間以内には消失します。「特定の刺激に反応してじんましんが出る」という体質自体は、なかなか変えることはできません。原因を避けることで、症状を抑えることが基本になります。
  L機械性じんましん
「皮膚をこする」「表面をひっかく」などの機械的刺激に反応してじんましんがあらわれる場合、「機械性じんましん」と呼びます。
  L寒冷じんましん
冷やした場所にじんましんが出ることを「寒冷じんましん」と呼びます。冷たいものが触れた箇所にだけ生じる「局所性」のほか、身体が冷えたときに全身に膨疹が生じる「全身性」が存在します。
  L温熱じんましん
「寒冷じんましん」とは反対で、熱が加わった場所にじんましんが出ます。
  L日光じんましん
直射日光に晒(さら)された箇所にじんましんが出ます。紫外線による刺激が要因です。
  L遅延性圧じんましん
下着・靴下などのゴムに圧迫されていた部分、雑巾を絞った手など、圧力を受けた箇所にじんましんが出ることがあります。圧力を受けてから12時間程度で膨疹があらわれることから、「遅延性」と呼ばれています。ほとんどの物理性じんましんは2時間以内に消失しますが、「遅延性圧じんましん」は数時間~数日にわたって続きます。
  L水じんましん
水に触れた場所に、じんましんが出ます。真水よりも、海水に反応する例が多いです。

3.じんましん関連疾患

そのほかにも、「じんましんに関連する疾患」「じんましんに類似した疾患」が存在しています。難治性の疾病も含まれ、一般的なじんましんより治療が長期化しがちであるとされています。
・じんましん様血管炎
膨疹の様子、病状の経過は慢性じんましんに似ていますが、膨疹が24時間以上にわたって残存します。
また、じんましんと異なり、膨疹が消えたあとに色素沈着が残ります。
この場合、皮膚の内側に血漿が溜まっているのではなく、血管の炎症が原因となります。
自己免疫性疾患の1つ―全身性エリテマトーデスの症状として、じんましん様血管炎があらわれることもあります。

そのほか、ウイルス性肝炎などの基礎疾患(いわゆる持病のこと)に由来する場合もあります。
・色素性じんましん
皮膚の一部分にマスト細胞が集まり、色素沈着をおこします。
色素沈着をおこした部位に物理的刺激(こする・ひっかくなど)を与えると、膨疹があらわれます。
物理的刺激のほか、入浴などの急激な温度変化がきっかけになる場合もあります。
・シュニッツラー症候群
慢性じんましんのほか、「関節痛」「骨痛」「間欠熱(=1日のうちに、熱が上がったり下がったりを繰り返す状態)」などの症状があらわれます。
「免疫異常が原因ではないか」と考えられていますが、はっきりとはしていません。
・クリオピリン関連周期熱
感染や自己抗体(=自分の身体を攻撃してしまう抗体)の関与が見られないのに、じんましんのような膨疹に加え、発熱、倦怠感、関節痛といった症状をきたします。
遺伝子異常が原因と考えられています。

4.コリン性じんましん

「運動したとき」「風呂に入ったとき」「過度の緊張状態にあるとき」など、発汗が促されるような状態で、じんましんがあらわれます。こちらも、じんましんがあらわれる状況を避けて、発症を予防する考え方が基本になります。発汗に関与する神経伝達物質「アセチルコチン」が関連していると考えられています。そのほか、自分の汗に対するアレルギー反応を原因として疑う考え方も存在します。

5.接触じんましん

特定の原因物質と接触したときにじんましんがあらわれる場合、「接触じんましん」と呼びます。膨疹の発生部位は、原因物質と接触した部位に一致します。原因物質との接触がなければ膨疹はあらわれないため、接触を避けることを第一に考えます。

6.血管性浮腫(クインケ浮腫)

じんましんの膨疹は、「血管から血漿が漏れ出て、皮膚の内側に溜まること」が原因です。血管性浮腫の場合、じんましんと同じく血管から血漿が漏れてきますが、より深い位置に溜まります。血漿が皮下脂肪組織などに溜まった結果、全体的にむくんで腫れ上がります。多くの場合、かゆみ・痛みはありません。急にあらわれて、突然に消失する特徴も、じんましんと一致しています。血管性浮腫は、基本的に2~3日で消失します。つまり血管性浮腫は「じんましんの類型」であるといえます。

好発部位(=血管性浮腫があらわれやすい部位)は、口唇、舌、眼瞼(まぶた)、手足などです。
とはいえ、ほかの部位に血管性浮腫が生じる例もあります。
上気道(=鼻から喉にかけての空気の通り道)の血管性浮腫は注意が必要で、気道が塞がり、生命にかかわるケースもあります。

7.特発性の血管性浮腫

特発性のじんましんと同様に、直接原因が特定できないまま、自発的に血管性浮腫があらわれます。毎日、症状が出ることは少なく、数日間隔であらわれるのが一般的です。治療には数カ月単位の期間を要する場合もあります。
・刺激誘発型の血管性浮腫
さまざまな薬剤や物理的刺激によって発症します。刺激に触れてから数時間で発症しますが、薬剤によって吸収する時間がかかるものは、時間が経ってから発症することがあります。
・ブラジキニン起因性の血管性浮腫
ブラジキニンが、血液中に高濃度になると、皮膚や口腔、咽頭など粘膜に浮腫を生じます。足にお起こる浮腫と異なり、圧迫しても凹んだ状態を維持することはありません。
怪我や手術、月経、疲労などが原因となることもありますが、原因がはっきりしないこともあります。
・遺伝性血管性浮腫
C1-INH遺伝子が欠損、または変異、他の遺伝的要素によって生じます。
皮膚に症状がでることが多いのですが、顔以外にも四肢や陰部などにもあらわ現れます。
また、腹痛、下痢、嘔吐、気道閉塞といった症状があらわ現れることもあります。
・刺激誘発型の血管性浮腫
さまざま様々な薬剤や物理的刺激によって発症します。刺激に触れてから数時間で発症しますが、薬剤によって吸収する時間がかかるものは、時間が経ってから発症することがあります。
・ブラジキニン起因性の血管性浮腫
ブラジキニンが、血液中に高濃度になると、皮膚や口腔、咽頭など粘膜に浮腫を生じます。足にお起こる浮腫と異なり、圧迫しても凹んだ状態を維持することはありません。
怪我や手術、月経、疲労などが原因となることもありますが、原因がはっきりしないこともあります。
・刺激誘発型の血管性浮腫
さまざまな薬剤や物理的刺激によって発症します。刺激に触れてから数時間で発症しますが、薬剤によって吸収する時間がかかるものは、時間が経ってから発症することがあります。
・ブラジキニン起因性の血管性浮腫
ブラジキニンが、血液中に高濃度になると、皮膚や口腔、咽頭など粘膜に浮腫を生じます。足におこる浮腫と異なり、圧迫しても凹んだ状態を維持することはありません。怪我や手術、月経、疲労などが原因となることもありますが、原因がはっきりしないこともあります。
・遺伝性血管性浮腫
C1-INH遺伝子が欠損、または変異、他の遺伝的要素によって生じます。
皮膚に症状がでることが多いのですが、顔以外にも四肢や陰部などにもあらわれます。
また、腹痛、下痢、嘔吐、気道閉塞といった症状があらわれることもあります。

検査内容と主な診療科目

じんましんは皮膚症状で、受診するべき診療科目は皮膚科となります。
アレルギー科の受診を希望する患者さんもいますが、すべてのじんましんがアレルギーというわけではありません。そのため初診は皮膚科が望ましいです。

じんましんの診断方法

日本皮膚科学会の「じんましん診療ガイドライン」では、以下のような診断フローが示されています。設問に対し有無を確認し、それによってQA式で診断されます。

・設問

1.「今、症状は出ているか?」
出ていれば2、無ければ4

2.「血圧低下・呼吸困難はみられるか」
出ていれば診断結果Aと判定、無ければ3

3.「広範囲の皮疹、耐えがたいほどのかゆみか」
出ていれば診断Bと判定、無ければ設問4

4.明確な原因は見つかるか
原因があれば診断Cと判定、無ければ設問4

5. 「皮疹は24時間以内に消えるか」
消えるのであれば診断Dと判定、消えない場合は設問6

6.「顔面・口唇にむくみはあるか」
あれば診断Eと判定、なければ設問7へ。

7膨疹に紫斑はあるか
ある場合は診断結果Fと判定、なければ設問8へ。

8.「圧迫するとじんましんが誘発されるか」
誘発される場合は診断結果Gと判定、なければ診断結果Dと判定する。

・フローによる診断結果

A.アナフィラキシーショックへの対応が最優先
B.症状緩和のため、即効性の対症療法を優先
C.刺激誘発型のじんましん
D.突発性のじんましん
E.血管性浮腫
F.じんましん様血管炎の疑い
G.遅延性圧じんましん

以上の方法で、じんましんのすべての型が判別できるわけではありません。
しかし、型が異なっても同じ治療法になることが多いため、「原因を厳密に調べること」が必ずしも重要とは限りません。

検査の必要性

日本皮膚科学会の「じんましん診療ガイドライン」において、それほど検査は重視されていません。
診断方法のガイドラインとなっている「クリニカル・クエスチョン」の要旨ではどちらかといえば、「じんましんに対する標準的な治療をおこない、軽快に向かうかどうか」が重視されています。

・1型アレルギー検査
過去の病歴から1型アレルギーが疑われる場合を除き、すべてのじんましんに1型アレルギーの検査をする必要はありません。

・突発性のじんましん―急性じんましんに対する検査の必要性
典型的な皮膚症状にとどまっていて、治療効果が出ているようなら検査の必要はありません。
ただし、発熱など全身症状を伴い、感染症の疑いがある場合は検査をおこなう場合があります。

・突発性のじんましん―慢性じんましんに対する検査の必要性
ルーティンとして実施するべき検査はありません。
ただし、難治性の場合など、医師が必要性を認めれば検査をおこなう場合があります。

検査

日本皮膚科学会の「じんましん診療ガイドライン」によると、じんましんに対して、検査をおこなう場合は次のような基準で実施します。

1.突発性のじんましん

突発性のじんましんが疑われる場合、病歴・身体所見を重視します。
患者さんの病歴・身体所見から、「じんましん発症の背景となる要因」が想定できるときは、要因を特定するための検査をおこないます。

逆に「皮膚症状としてのじんましん以外、明確な所見がない」という場合、あてもなく検査をすることはしません。
原因がはっきりしないままでも、治療を開始することは可能であるためです。

2.アレルギー性のじんましん / 食物依存性運動誘発アナフィラキシー

アレルギーが疑われる場合、原因となるアレルゲンを特定するための検査をおこないます。
被疑物質(原因として疑われる物質)を皮膚に載せて針で突く「プリックテスト」、被疑物質を皮膚の内部に注射する「皮内テスト」などをおこないます。

ただ、この検査で陽性だとしても、その物質が確実にじんましんの原因かどうかはわかりません。
問診なども含めて、総合的に判断します。

3.非アレルギー性のじんましん

有効とされる検査方法は存在しません。問診、病歴などから判断します。

4.アスピリンじんましん

薬剤によるじんましんが疑われる場合、原因となる薬剤を特定します。
被疑薬剤(=原因として疑われる薬)でプリックテストを実施するほか、少量の被疑薬剤を投与する負荷試験をおこなう場合もあります。

5.物理性じんましん

物理性じんましんが疑われる場合、原因と思われる物理的刺激を与えて誘発試験を実施します。
「温熱が原因と思われる場合は、温熱を与える」「機械的擦過(ひっかく・こする)が原因と思われる場合は、擦過する」などの検査です。
何らかの物理的刺激でじんましんが誘発されれば、その刺激が原因となります。

6.血管性浮腫

一般的なじんましんと同じように、病歴などから原因・関連要因などを特定していきます。
皮膚表面のじんましんを合併しておらず、「C1-エステラーゼインヒビター(C1-INH)」と呼ばれる酵素の欠損・機能異常・消耗が疑われる場合、C1-INH活性などの測定をおこないます。

7.じんましん様血管炎

血液検査を実施するほか、皮疹を生検(=組織を採取して病理学的に検査)して血管炎を確認します。

8.色素性じんましん

皮膚の病変(症状がおこっている箇所)になでる・こするなどの刺激を与えると、周囲に紅斑・じんましんが出ることがあります。これを「ダリエ兆候」と呼びます。そこで、ダリエ兆候の有無を確認します。また、皮疹を生検して、マスト細胞が集まっていることを確認します。

9.シュニッツラー症候群

シュニッツラー症候群が疑われる場合、血液検査のほか、皮疹(ひしん:発疹のこと)を生検して血管炎の有無を確認します。シュニッツラー症候群における全症例に血管炎が見られるわけではありませんが、診断の参考になります。

10.クリオピリン関連周期性症候群

クリオピリン関連周期性症候群が疑われるときには、血液検査、皮疹の生検、さらにクリオピリン遺伝子の解析をおこないます。
皮疹の生検では、血管炎の有無を調べます。クリオピリン関連周期性症候群における全症例に血管炎が認められるわけではありませんが、診断の一助にはなります。

治療方法と治療期間

じんましんには多数の病型が存在しますが、抗ヒスタミン薬の内服は病型を問わず、基本的な治療方針となります。抗ヒスタミン薬には第1世代、第2世代が存在しますが、副作用が少なく、鎮静作用の低い第2世代が、じんましん治療の第一選択となります。

抗ヒスタミン薬の作用には個人差があるため、最初に処方した薬剤が奏功(そうこう:成果が出ること)しなくても、処方を工夫することで効果が得られる場合があります。
薬剤の種類を変更するほか、2剤併用にする、増量するなどの手段が考えられます。

内服用の抗ヒスタミン薬のほか、すでにあらわれている膨疹に対しては外用薬を併用することがあります。「フェノール・亜鉛華リニメント」「クロタミトン軟膏」「抗ヒスタミン薬含有軟膏」などが、かゆみなどの症状軽減に効果を発揮することがあります。
膨疹を冷やすことでかゆみが軽減する場合もありますが、物理性じんましんのうち「寒冷じんましん」では症状を誘発するため逆効果です。

また、多くの皮膚炎に対して用いられる「ステロイド外用薬」は、原則、じんましんの治療においては用いられません。ただし、重症例などにおいて、「経口ステロイド」の内服は検討されます。

病型ごとの治療方針

1.急性じんましん

突発性じんましんのうち、急性じんましんに対しては、抗ヒスタミン薬による治療をおこないます。初めて急性じんましんと思われる症状が出た場合は、2~3日にわたり抗ヒスタミン薬を服用します。

すでに症状を繰り返している場合は、「数日にわたって症状が消失した状態」が得られるまで、予防的に抗ヒスタミン薬を服用します。症状が重く、抗ヒスタミン薬でコントロールできない場合、できる限り短期間に抑えることを前提に経口ステロイドを使用する例があります。それでも十分な治療効果が得られず、症状をコントロールすることが困難な場合、慢性じんましんの治療方針に移行します。

2.慢性じんましん

突発性じんましんのうち、慢性じんましんに対しては、継続的に抗ヒスタミン薬を処方します。継続的な服用で、膨疹の発生を抑えることが治療目標になります。最初は、「治療効果の得られる抗ヒスタミン薬を見つけること」が重要ですが、作用を発揮するまでには時間がかかる例もあります。

そこで、1種類の抗ヒスタミン薬を判断するには、1~2週間の時間をかける必要があります。十分な作用が得られない場合、薬剤の変更、2剤併用、増量などを考慮します。
そのほか、補助的治療薬として「トラネキサム酸」「漢方薬」「グリチルリチン製剤(注射薬)」などが奏効する例もあります。
症状が重く、抗ヒスタミン薬・補助的治療薬で十分な治療効果を得られないときには、経口ステロイドの内服を考慮します。

1日あたり、プレドニゾロン(=ステロイド系抗炎症薬の種類)換算で15mgまでの分量を内服することで、じんましんの症状をコントロールできることが多いです。ただ、経口ステロイドは副作用リスクも高いので、長期的な投与は望ましくありません。
また、子供に対して経口ステロイドを用いることは推奨されません。

3.アレルギー性のじんましん

責任抗原(アレルギーの原因となる物質)を特定して、摂取・接触を避けることが第一になります。ただ、少量の誤食など「うっかり責任抗原に晒される」程度で症状が出現する場合には、抗ヒスタミン薬を常備します。

症状出現の際、迅速に対処するためです。
しかし、あくまで症状を抑えるだけで、アレルギー体質そのものを改善する手段はありません。

アナフィラキシーショックのリスクが認められる場合には、「携帯用アドレナリン自己注射キット」の携行を検討します。
アナフィラキシー症状が出たとき、自己注射することで症状を抑えることができます。

4.食物依存性運動誘発アナフィラキシー

「責任抗原となる食べ物の摂取」「食後2~3時間の運動」を避けることが第一となります。

また、「非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)」がアナフィラキシーショックを誘発するので、NSAIDsにも注意が必要です。
責任抗原の誤食に備えて、抗ヒスタミン薬、携行ステロイド薬の常備が勧められます。
「携帯用アドレナリン自己注射キット」の携行も考慮します。

5.非アレルギー性のじんましん

原因物質を回避し、そもそも症状を出現させないことが第一になります。
アレルギー性のじんましんと同様、症状出現に備えて抗ヒスタミン薬の常備を考慮します。現時点では、特定物質に対して過敏な体質を改善する方法はありません。

6.アスピリンじんましん

原因となる「非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)」を特定し、回避することが基本方針になります。症状が出た場合は、やはり抗ヒスタミン薬による治療をおこないます。

7.物理性じんましん

じんましんを誘発する物理的刺激を回避することが基本になります。
また、原因となる刺激を繰り返すことで耐性を獲得し、じんましんがあらわれにくくなる場合があります。これを「耐性誘導」と呼びます。
物理性じんましんに関しては、多くの病型で抗ヒスタミン薬が有効とされる一方、経口ステロイドには治療効果が認められません。

・機械性じんましん
物理性じんましんの中では例外的に、抗ヒスタミン薬が奏効しない例が多くなっています。そこで、必要に応じて「トラネキサム酸」「漢方薬」「グリチルリチン製剤(注射薬)」などの補助的治療薬を検討します。
機械的刺激で耐性誘導は期待できませんが、「紫外線刺激により耐性誘導できる」という報告が存在します。

・寒冷じんましん
一般的に、抗ヒスタミン薬の治療効果が期待できます。
また、「寒冷刺激を与えることで耐性誘導できる場合がある」という旨の報告が存在します。

・温熱じんましん
抗ヒスタミン薬の作用が期待できます。また、「温熱刺激を繰り返すことで、耐性誘導できる場合がある」という報告があります。

・日光じんましん
抗ヒスタミン薬による症状抑制が期待できます。
「(症状が出るか出ないか微妙な量の)日光にあて続けることで耐性誘導が期待できる」と考える人もいます。

・水じんましん
抗ヒスタミン薬の作用はあまり期待できません。
耐性誘導も困難と考えられています。

・遅延性圧じんましん
多くの症例で抗ヒスタミン薬の作用は期待できません。
一方、物理性じんましんの中では唯一、経口ステロイドが効果的とされています。

8.コリン性じんましん

多くは抗ヒスタミン薬により、一定の治療効果が得られます。
発汗が症状を誘発するので、激しい運動などを避ける必要があります。

ただ、軽症例であれば、あまり気にしなくても良い場合があります。
また、発汗量が低下している人の場合、逆に運動・入浴が勧められるケースもあります。発汗を促し、体質改善を図ることで症状が軽快する場合もあります。

9.接触じんましん

原因物質への接触を避けることが基本方針になります。
また、抗ヒスタミン薬によって症状を抑えることも可能です。

10.血管性浮腫

多くの血管性浮腫に対しては、抗ヒスタミン薬に加えてトラネキサム酸が有効と考えられています。
血管性浮腫の場合、皮膚表面のじんましんと異なり、症状が短期間で何度もあらわれるとは限りません。
抗ヒスタミン薬の有効性を判断するときは、数週間単位で経過を見る必要があります。

・突発性の血管性浮腫
突発性のじんましんと同じように、抗ヒスタミン薬による症状のコントロールを目指します。症状のコントロールが困難な場合、必要に応じて、薬の変更、2剤併用、増量などを検討します。

・外来物質起因性の血管性浮腫
原因物質の回避が基本方針となります。
「アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)」が原因の場合、服用開始から数週間で血管性浮腫を起おこすこともあるので、「症状が発現する直前に摂取した物質」が原因とは限りません。
慎重に原因を特定する必要があります。

・C1-エステラーゼインヒビター(C1-INH)低下による血管性浮腫
「遺伝性血管性浮腫(HAE:先天的にC1-INHが欠損・機能異常)」の場合、抗ヒスタミン薬の治療効果は期待できません。
症状発現を抑えるにあたっては、抗プラスミン剤、抗ゴナドトロピン薬などを用います。
症状が発現し、気道閉塞などのリスクがある場合は、C1-INHを点滴で補充します。

造血系疾患など基礎疾患に由来する場合は、基礎疾患の治療が血管性浮腫の抑制につながります。

11.じんましん様血管炎

多くの場合、抗ヒスタミン薬と経口ステロイド剤を継続的に併用し、継続的な症状消失を目指します。
より治療効果を高めるため、「トラネキサム酸」「漢方薬」「グリチルリチン製剤(注射薬)」などの補助的な治療薬を用いることもあります。
慢性じんましんの治療法に準じた治療をおこなう場合が多くなっています。

12.色素性じんましん

抗ヒスタミン薬の内服により、症状の緩和が期待できます。
ただし、乳幼児の場合は時間経過で自然治癒することもあるので、経過観察でも問題ありません。

13.シュニッツラー症候群

基本的に、抗ヒスタミン薬の治療効果は期待できません。
経口ステロイドの内服による症状緩和が報告されています。

14.クリオピリン関連周期性症候群

抗ヒスタミン薬の作用は期待できません。
現状、日本国内において、保険適応があり、客観的に効果が認められている薬剤は存在しません。

原因の回避

アレルギー性、非アレルギー性を問わず、原因となる物質が明らかな場合は、原因を遠ざけることが予防の基本になります。
もちろん、物理性じんましんであれば、誘発要因となる刺激を避けることが予防になります。

原因が特定できた場合に関して言えば、予防はそれほど難しくありません。
アナフィラキシーショックのリスクが懸念されるような症例では、医師の指導に従って、予防を徹底するようにします。

継続的に症状を抑える

原因不明の突発性のじんましんは、抗ヒスタミン薬の服用により、症状をコントロールするしかありません。
急性じんましん(発症から1カ月以内)の場合、皮疹が消失した状態を継続できれば、多くの場合、そのまま軽快します。

治療の展望と予後

慢性じんましんの場合、基本的には継続的な薬の服用が必要になります。症状が治まったからといって服用をやめると、再度じんましんがあらわれる傾向にあります。
ただし、症状が消失した状態を長く継続し、段階的に薬を減らせば、ほとんどの場合、最終的には治癒します。

アレルギー性のじんましんでは、アナフィラキシーショックをおこす恐れがあります。
アナフィラキシーは、短時間のうちに全身性のアレルギーを発症します。
呼吸困難、血圧低下、意識障害などをおこし、生命にかかわる場合もあります。

じんましんの中で、特にアナフィラキシーのリスクが高いのは、「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」です。
アレルゲンとなる特定の食べ物を摂取したあと、2~3時間で激しい運動をしたときに、アナフィラキシーショックをおこします。
日本人の場合、鶏卵、小麦、牛乳、甲殻類、そば、ピーナッツ、ナッツ類、ゴマ、大豆、果物などが原因になることが多いです。

また、非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)は、症状を悪化させます。
運動をしなくても、「特定の食べ物+NSAIDs」を摂取しただけでアナフィラキシーショックをおこす場合もあります。

血管性浮腫と気道閉塞

「むくんで腫れあがる症状」が特徴的な血管性浮腫の場合、最大のリスクは気道閉塞です。
上気道(=鼻から喉にかけての空気の通り道)、気管支に血管性浮腫の症状が出た場合、腫れで気道が塞がることがあります。気道が閉塞していては呼吸ができないため、生命にかかわります。

唇、舌、口腔粘膜、眼瞼(まぶた)、顔、首などが腫れあがり、「話がしにくい」「喉が詰まった感覚」「息苦しい」などの自覚症状が出た場合、速やかに医療機関を受診しましょう。特に息苦しい場合が、気道閉塞に至るリスクが高くなります。迷わず、救急車を呼ぶようにしましょう。

気道閉塞をおこしやすいとされているのは、「遺伝性血管性浮腫(HAE)」と「アンジオテンシン転換酵素阻害薬(ACE阻害薬)に起因する血管性浮腫」です。

発症しやすい年代と性差

じんましんの病態は多様であり、さまざまなことが原因となりえます。そのため誰にでもおこる可能性があると言えます。厚生労働省の統計では、平成20年20.0万人だった患者が平成29年には、25.1万人と増加傾向になっています。

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