「体がかゆい!」夜になると全身がかゆくて眠れない…ぶつぶつの湿疹はストレスが原因?アレルギーや乾燥の治療法は?
「全身がかゆい!」と感じたときには、あわてずに、どのようなかゆみなのかを冷静に見極めたうえで、どう対処するべきかを考えなくてはなりません。
まず、かゆみのあらわれ方による違いがあります。急にかゆくなる場合もあれば、少しずつかゆくなってくる場合もあります。
また、かゆい状態がずっと続く場合もあれば、しばらくすると自然に落ち着いてくる場合、間隔を空けてかゆみがあらわれる場合もあります。
さらに、赤くなっているかどうか、痛みなど、ほかの症状があるかどうかといった違いもあります。
全身がかゆくなる原因はさまざま
こんな症状もあれば、すぐに病院へ
そして、場合によっては、重い病気の影響でかゆみがあらわれている恐れもあるので、注意しなければなりません。
もし、今、全身にかゆみを感じていて、なおかつ、
・筋力が下がる、手足がしびれる、チクチクするような感じがある
→神経の病気にかかっている恐れがあります
・お腹が痛い、皮膚や目が黄色くなる
→肝臓や胆のうの病気にかかっている恐れがあります
・体重が減る、ひどくのどが渇く、おしっこが近くなる
→糖尿病にかかっている恐れがあります
・体重が減る、ひどく疲れる、寝汗をかく
→感染症にかかっていたり、腫瘍ができていたりする恐れがあります
といった症状もあれば、できるだけ早く病院へいって、診察、治療を受けてください。理由については、それぞれの下にお示ししている通りです。
このコラムでは、主に、緊急性の高くない、日常でよくみられる全身のかゆみについて、原因や、病院にいくべきかを考えてみます。
「乾燥」が原因の場合がよくあります
全身のかゆみの原因として多くみられるのが「乾燥」です。人間の皮膚は、一番外側にある脂分が水分の蒸発を防ぐことで、正常な状態に保たれています。
しかし、なんらかの理由で、この脂分が減ると、水分も失われ、皮膚が乾燥した状態になります。脂分が失われる理由としては、
・加齢
・冬場などの乾燥した気候
・お風呂の入りすぎ、シャワーの浴びすぎ
・せっけんなどが体質に合っていない
といったことが考えられます。
もともとの脂分の量が少ないことから、手足、顔など、体の中心から離れた部分ほど、乾燥しやすいとされています。
皮膚が乾燥すると、かゆくなったり、ヒリヒリとした痛みがあらわれます。皮膚の表面がウロコのようにポロポロと剥がれることもあります。
また、血行がよくなる、つまり、体が温まると、かゆみが増すことがあるので、お酒を飲んだときや、辛い食べ物を食べたとき、夜、布団に入ったときなどは、特に注意が必要です。
皮膚の脂分を保つ工夫をしましょう
乾燥からくるかゆみを治したり、予防したりするには、皮膚の脂分を保つ工夫が有効です。具体的には、
・お風呂やシャワーの回数を減らす
・お風呂のお湯の温度を低めにして、長湯しすぎないようにする
・体を洗うとき、ゴシゴシこすらないようにする
・せっけんなどを刺激の少ないものに変える
・お風呂やシャワーのあとは、市販のクリーム、ローションなどを塗る
といったことを試してみましょう。かゆみが気になるときは、お酒や辛い食べ物を控えるのも一つの方法です。
長引くようなら、皮膚科を受診
こうした工夫をしても、かゆみが治まらなかったり、かゆみが増していったりするようであれば、一度、皮膚科を受診してください。
かゆいからといって、皮膚をかきすぎてしまうと、感染症を引きおこすこともあるからです。
症状の程度によっては、薬が出ることもあります。また、ほかの病気ではないことを確かめるために、検査をすることもあります。
「アレルギー」でかゆくなっていることも
全身がかゆくなる原因として、アレルギーも考えられます。
人間の体には、外部から侵入してくる異物から体を守る免疫反応(めんえきはんのう)があります。
体に害のある抗原が体内に入ると、体は危険を察知し、抗原に対抗する抗体を作ります。その抗体は抗原を攻撃し、排除します。
抗原の侵入が何度か続くと、ときとして、抗体が抗原に対して過剰にはたらき、自身の体に悪い影響を及ぼすことがあります。
その悪い影響のことをアレルギーといいます。
全身にかゆみを引きおこす主なアレルギーとしては、突然、強いかゆみがあらわれ、しばらくすると自然に治まってくる「じんましん」と、少しずつかゆみがあらわれて、そのまま長く続く「湿疹」があります。
突然あらわれ、突然消える「じんましん」
じんましんでは、皮膚が赤く盛りあがる、いわゆる「ミミズ腫れ」ができます。突然できて、数十分~数時間、遅くとも、24時間以内には消えます。
あらわれるときも、消えるときも、突然です。跡が残ることもありません。
何が原因でできたのか、特定できることもありますが、はっきりしないことも少なくありません。
突然、ミミズ腫れができたときには、皮膚科、もしくは、アレルギー科を受診してください。
多くの場合、飲み薬を使って、あらわれている症状を抑えたり、再発しないようにしたりする治療がおこなわれます。
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「湿疹」は詳しく検査をして、しっかりと治療
湿疹の症状は、じんましんと違って、少しずつあらわれてきます。見た目にも、大きなミミズ腫れではなく、ブツブツとした小さなできものがたくさんできます。
じんましんのように急に消えることはなく、治るときも少しずつです。また、しばらくの間、跡が残ることもあります。
湿疹が疑われる場合も、診療科目は皮膚科、もしくは、アレルギー科となります。
必要に応じて、原因が何かを特定する皮膚テストをして、その原因を遠ざける工夫をします。
また、かゆみなどの症状を抑えるために、飲み薬や塗り薬も使われます。
状態によっては、治療に長くかかることもありますが、医師の指示にしたがって、しっかりと取り組むことが大切です。
精神的な不調でもかゆくなります
まとめ
全身がかゆくなる原因は、皮膚の乾燥であることが多くあります。まずは、皮膚の脂分を保つ工夫をして、様子をみてみましょう。
急に強いかゆみがあらわれた場合や、痛みなど、かゆみ以外の症状もある場合は、できるだけ早く病院へいって、診察、治療を受けてください。
執筆・監修ドクター
経歴2002年 金沢医科大学医学部 卒業
2002年 金沢医科大学病院 小児科、内科勤務
2004年~2018年大阪、神戸、東京、福岡の病院、クリニックで内科、皮膚科勤務
2018年 クリスタル医科歯科クリニックインターナショナル内に医科開設
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