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あでのういるすアデノウイルス

更新日:2021/11/25 公開日:2019/09/25 view数:15,550

アデノウイルスとは、80種類以上の型をもつウイルスです。その遺伝子型によって感染した場合に症状があらわれる部位も症状も違います。

その中でも夏に流行する傾向が強いのが、主に3型によって発症する発熱、咽頭痛、結膜炎(流行性角結膜炎)を三大症状とする「咽頭結膜熱(プール熱)」です。発熱は39~40度と高く、扁桃腺の腫れ、腹痛、下痢などと合わせて、目の結膜炎症状がおこります。

結膜炎だけの症状という場合もあり、これは主に8型の感染による「流行性角結膜炎」で、俗に流行り目とよばれます。他にも、違う型によって発症する「呼吸器感染症」、「出血性膀胱炎」、「胃腸炎」など、アデノウイルスによって起こる感染症はさまざまです。それらを総称してアデノウイルス感染症とよびます。

感染力は非常に強く、くしゃみなどによる飛沫感染、接触感染、および糞口感染が主な感染経路です。流行は季節特異性がなくなってきています。

幼児期から小学生期に罹患者が多く、しばしば地域での集団感染も報告されています。大人にも感染の可能性があり、特効薬もありません。周囲への感染防止のため、咽頭結膜熱は症状消失後も2日間の自宅療養は必須です。


目次
  1. 症状
  2. 診療科目・検査
  3. 原因
  4. 治療方法と治療期間
  5. 治療の展望と予後
  6. 発症しやすい年代と性差

症状

起因するウイルスの型によって、症状は異なります。

咽頭結膜熱(プール熱)

39~40度の発熱に始まり、その後、4~5日間、発熱が続きます。咽頭炎による、のどの痛みのほか、腹痛や下痢、頚部リンパ節の腫れが現れることもあります。結膜炎症状としては、片側の目から症状が現れ、他方の目にも出現します。まぶた、白目の充血、目やに、眼痛などが主に現れます。主に3型に起因します。

流行性角結膜炎(EKC、はやり目)

強い結膜の充血、眼瞼膨張、眼やに、異物感、流涙、眼痛、耳前リンパ節の膨張などの症状が急に現れます。また、乳幼児には偽膜性結膜炎を併発し、角膜穿孔(かくまくせんこう)をおこす場合もあります。主に1~5歳の小児に多いですが、成人にも発症することがあります。

呼吸器感染症

体温が上下しながら、発熱が長引き、咳が続くことで呼吸障害などになることがあります。特に乳幼児が7型のアデノウイルスに罹患すると、肺炎を起こすケースもあり、命に関わります。また、脳炎や髄膜炎心筋炎を併発することもあるため、注意が必要です。

出血性膀胱炎

排尿時痛と真赤な血尿が現れる。頻尿、残尿感、背部痛、発熱などの膀胱炎症状もともなうことがあります。

胃腸炎

腹痛、嘔吐(おうと)、下痢がみられます。3歳未満の乳幼児に多いとされています。発熱はほとんど軽度で治まります。





診療科目・検査

アデノウイルスの確定診断は、ウイルス分離が必要です。そのため、結膜、咽頭拭い液、糞便、喀痰(かくたん)、胸水、髄液などを採取して検査をおこないますが時間を要する場合があります。

そのため、症状や流行からアデノウイルスが原因として疑われる場合、15分程度で診断可能な抗原検出キットにより、迅速かつ簡便な診断に有効です。しかし、感度は60~80%とされるため、この検査結果が陰性だとしても完全にアデノウイルス感染症を否定することはできません。

小児科耳鼻いんこう科内科、眼の症状が強い時には眼科出血性膀胱炎症状が現れた時には小児科を受診するようにしましょう。

原因

アデノウイルスは、現在A~Gの7種に分類されています。現在確認されている型は80種以上あり、51種類までは血清型、52型以降は遺伝型で型を判別しています。潜伏期間は眼感染症で7~14日、呼吸器系感染症で2~14日、腸管系感染症で3~10日ほどです。ウイルス型が多いため、何度もかかってしまう性質をもっています。感染経路には、くしゃみ、咳などによる飛沫感染、ウイルス保有者が触れた物に触れて感染する接触感染、便に潜んだウイルスが付着した手から感染する経口感染(アデノウイルス胃腸炎)があります。

アデノウイルス感染症の一種である「咽頭結膜熱」は、夏場にプールを介して流行する傾向がみられるため「プール熱」と呼ばれています。その場合は汚染した水から結膜への直接的な侵入が原因とみられています。しかし、近年、塩素濃度管理の徹底により、プール水での感染は少なくなっています。感染力は強く、夏場に限らず、施設や学校、家庭で一年中感染の恐れがあります。

▼子供がアデノウイルスに感染した時の注意点についてはこちら
ベビママほっと。:子供がアデノウイルスに。家族への感染を防ぐには?一緒のお風呂はダメ!

治療方法と治療期間

現在、アデノウイルスの特効薬はありません。そのため、対症療法が治療の中心となります。高熱や痛みに対しては解熱鎮痛剤を使用し、下痢等が続き脱水症状が出ている時は点滴をおこないます。

結膜炎の治療方法

結膜炎に対する治療としては、抗炎症剤を点眼します。細菌との混合感染予防を目的として抗菌点眼剤を、また、角膜に充血と濁りが現れている場合はステロイド剤を点眼することがあります。
呼吸器症状が重症化してしまった場合には、解熱剤、鎮咳薬、去痰薬、輸液をするなどで症状を抑え、重度症例で入院加療が必要となり、酸素吸入や人工呼吸をおこなうケースもあります。

出血性膀胱炎の治療方法

出血性膀胱炎症状については、4~7日間肉眼で血尿がみられた後、自然に軽快することがほとんどです。一般的に膀胱炎症状は2~3日で軽快し、尿検査での潜血も10日程度で改善します。さらに血塊がみられる場合は、尿路閉鎖を防ぐため、入院により大量の輸液をおこない、尿量を確保して尿道カテーテルの留置をおこないます。

アデノウイルス感染症の治療期間

アデノウイルス感染症の治療期間は、ウイルスの型や症状によって異なります。しかし、初期の適切な治療により発熱は47日間、咽頭炎は37日間、結膜炎症状は710日間ほどが回復の目安となります。完治には2週間前後を要します。咽頭結膜熱は症状がなくなった後2日間は、学校保健安全法により出席停止と定められています。なお、流行性角結膜炎を発症した場合は、医師が伝染の恐れがないと認めるまで出席停止とされています。

自宅での過ごし方

自宅では充分休養をとり、安静を保ちましょう。こまめな水分補給(のどが痛い場合はゼリーなどでもよい)、さらに、体内の水分バランス維持に必要な電解質を含んだ経口補水液が有効です。食べ物はのどに刺激が少なく嚥下しやすい、おかゆ、豆腐、麺類などが推奨されます。家庭内感染を防ぐため、入浴、タオル、洗面用具などは別にする、石鹸での手洗い、共有接触部分の消毒などをおこないます。

治療の展望と予後

アデノウイルス性呼吸器疾患を重症化させて合併症を起こす症例を除けば、一般的には命に関わるケースは少なく予後も良いとされています。

結膜炎症状があった場合、症状軽快後のコンタクトレンズ使用については、眼科医の指示に従います。感染力が非常に強いので、症状がある期間はできるだけ他人との接触を避けるようにしましょう。家庭内でもタオル、枕など眼に触れる可能性のあるものは個別にすることが望ましいです。感染者は目に触れたら、すぐに石鹸を使って手を洗いましょう。

発症しやすい年代と性差

2016年の感染症発生動向調査によると、咽頭結膜熱罹患者は1歳児に最も多く、5歳以下が全体の約6割を占めているとされています。

呼吸器感染症は乳幼児に多いです。出血性膀胱炎、胃腸炎は幼児が主に感染するといわれています。流行性角結膜炎では0~9歳の乳幼児から学童期に多く、成人では30代に多いですが幅広い世代の発症が報告されています。

性差については報告されていません。

執筆・監修ドクター

橋村 裕也 <span>医師</span>
橋村 裕也 医師 はしむら小児科 院長 担当科目 小児科/腎臓内科

経歴2003年 関西医科大学 卒業
2003年 神戸大学医学部付属病院小児科入局
2004年 六甲アイランド病院小児科
2005年 愛仁会千船病院小児科
2007年 神戸大学医学部附属病院小児科 医員/神戸大学大学院医学系研究科医科学専攻(博士課程)小児科学 入学
2010年 神戸大学医学部附属病院こども急性疾患学講座 特命助教 
2011年 神戸大学大学院医学系研究科医科学専攻(博士課程)小児科学 卒業
2012年 兵庫県立こども病院小児科
2012年 愛仁会高槻病院小児科医長 2017年より小児科部長
2018年 はしむら小児科 開院

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