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しゅっけつせいぼうこうえん出血性膀胱炎

更新日:2022/08/10 公開日:2019/10/31 view数:18,901

出血性膀胱炎(しゅっけつせいぼうこうえん)とは、出血をともなう膀胱の炎症です。膀胱炎になると膀胱の粘膜に炎症がおこります。この炎症による刺激が排尿時の痛みや頻尿などの症状となってあらわれます。

原因はウイルスや細菌、抗がん剤や免疫抑制薬、抗アレルギー薬などの薬や放射線治療による副作用などです。子どもの出血性膀胱炎の原因の多くはアデノウイルス感染です。

一般的な膀胱炎などよりもおこる頻度は多くはありませんが、出血した血液のかたまりが尿道をふさぎ、重症化する可能性があります。もし過去に放射線治療をおこなったことがある、なんらかの病気の治療中で継続して服用している薬があるなどといった場合に排尿に関する異変があれば早急にかかりつけの医師に連絡し泌尿器科を受診しましょう。

目次
  1. 出血性膀胱炎の症状
  2. 出血性膀胱炎の診療科目・検査方法
  3. 出血性膀胱炎の原因
  4. 出血性膀胱炎の予防・治療方法・治療期間
  5. 出血性膀胱炎の治療経過(合併症・後遺症)
  6. 出血性膀胱炎になりやすい年齢や性別

出血性膀胱炎の症状

膀胱炎の症状に加えて、出血して血尿になります。

膀胱炎の症状は頻尿、残尿感、排尿痛、尿意切迫感などです。男性では亀頭部に放散痛があらわれることがあります。

軽症の段階では、尿中の血液は顕微鏡でのみ確認できます。中等症となると尿が赤くなるなど肉眼で血尿とわかるようになります。この場合、排尿時に出血した血液が凝固した「凝血塊(ぎょうけっかい)」がみられることがあります。重症となると膀胱内の凝血塊がつまることで尿道が狭くなったり、閉鎖されたりした状態となります。これにより膀胱に痛みを生じます。

また排尿が正常にされないことによって水腎症をおこし、「腎後性腎不全」となる可能性もあります。腎不全とは腎臓が正常に機能しない状態のことです。

出血性膀胱炎の診療科目・検査方法

血尿や排尿の異常を感じたら泌尿器科を受診、あるいはかかりつけの医師に連絡しましょう。

まず問診をして現在かかっていて治療中の病気や過去にかかった病気を確認します。その際に医薬品の使用や放射線治療をおこなったことがあるかといったことも確認します。

尿検査では血尿の有無や、尿培養検査で細菌などを確認します。また、血清クレアチニンを測定し、腎機能に問題がないか調べます。腹部超音波(エコー)、腹部単純X線、尿路造影、CTなどでの画像検査に加えて、膀胱鏡などで確認して総合的に診断されます。

血尿は尿路結石、尿路上皮がん、腎細胞がん、前立腺の病気などでもみられます。そのため、こういった病気の可能性も含めてしっかり調べる必要があります。

出血性膀胱炎の原因

薬剤性であれば抗がん剤、免疫抑制薬が原因となります。

抗がん剤ではシクロホスファミド、イホスファミドが出血性膀胱炎をおこすことが知られています。これらの薬品により生み出される代謝産物が尿中に排出され、排尿の際に膀胱の粘膜を傷つけることで出血します。

ほかにも抗アレルギー薬、副腎皮質ステロイド、抗凝固薬、抗菌薬や一部の漢方薬なども出血の原因となります。

小児がんに対して放射線治療をおこなった場合に「晩期合併症」としてあらわれることもあります。晩期合併症は成長にともなっておこる合併症のことです。

また、出血性膀胱炎は、同種造血幹細胞移植の手術後におこる合併症のひとつでもあります。同種造血幹細胞移植は血液細胞におこるがんや免疫不全症に対しておこなわれる治療です。

この患者さんにみられる出血性膀胱炎は、発症時期によって2つに分類されます。

ひとつは抗がん剤の影響によるものです。ほとんどの場合は細胞移植を受けた後、48~72時間以内にあらわれます。
もうひとつはウイルス感染によるものです。その場合、多くは移植処置10日後以降にあらわれます。

原因になるウイルスは、日本ではアデノウイルス11型が代表的です。抗がん剤によって免疫力が低下し、潜伏中のウイルスが再活性化し、出血性膀胱炎を引きおこします。

そのほか、カテーテルやステント留置による尿路の損傷、尿路への感染症、神経因性膀胱、糖尿病、尿路結石や水腎症なども原因としてあげられています。

出血性膀胱炎の予防・治療方法・治療期間

ウイルス性のものについてはウイルスに効果のある薬はありません。そのため対症療法をおこないます。

膀胱の「持続灌流(じぞくかんりゅう)」をおこないます。持続灌流は尿道カテーテルを入れて膀胱内を洗浄液で洗い流す方法です。
洗浄液には生理食塩水にミョウバンなどを加えて使用することもあります。ほかにも硝酸銀の溶解液を膀胱内に注入し出血をコントロールする場合もあります。
この方法で膀胱内の凝血塊を洗浄して取り除きます。出血が多い場合は麻酔をしてから、膀胱鏡(膀胱内をみるための内視鏡)を挿入し凝血塊を除去し、止血します。

中等症では輸血が必要になることがあります。また、重度であれば輸血に加えて、麻酔をしてからホルマリンを膀胱内に注入して止血を試みます。
それでも止血が困難なケースでは動脈塞栓術をおこない止血します。出血が生命にかかわるような重症例では最終手段として、膀胱の全摘出、腎ろうや尿管皮膚ろうなどの尿路変更術、回腸膀胱形成術などの手術を検討します。

放射線治療が原因の場合は「高気圧酸素療法」をおこないます。高気圧酸素療法は気圧の高い環境を人工的に作りだし、酸素吸入する治療法です。血液中の酸素量を増加させて、酸素不足をおこしている組織を回復させます。

現在では一部の薬剤性出血性膀胱炎に対して予防策がとられています。そのため薬剤性による膀胱炎の発症は少なくなっています。
がん治療時にシクロホスファミド、イホスファミドを投与する場合はメスナを補助薬として併用します。メスナは出血性膀胱炎や排尿障害などを抑制する効果があります。シクロホスファミド、イホスファミドの投与をして4~8時間後に点滴静脈注射をおこないます。

大量のシクロホスファミドやイホスファミドを投与された場合、一日2リットルの飲水摂取が必要です。飲み水として取るのが難しい場合は生理食塩水と利尿剤フロセミドを点滴して利尿を促します。

そのほかの薬剤が原因の場合は、使用を中止して他の薬剤への変更を検討します。

出血性膀胱炎の治療経過(合併症・後遺症)

前立腺がんや子宮がんなど、骨盤内に発生した悪性腫瘍に対して放射線治療を受けている場合、照射から6~10ヶ月以降に出血性膀胱炎を発症する可能性が高くなります。
放射線による膀胱粘膜への障害によって粘膜に潰瘍を生じて出血しますが、こうしたケースでは治療が難しく、治りにくい傾向にあります。

抗がん薬治療によるものはメスナによる効果や、十分な補水、排尿に関する注意喚起などによって減少しています。

出血性膀胱炎になりやすい年齢や性別

2012年に日本でおこなわれた造血管細胞移植266例を調べた調査では、ウイルス性出血性膀胱炎が15.8%で発症していました。

抗がん治療の副作用としての出血性膀胱炎は、シクロホスファミドが抗がん治療として使用されはじめた頃は発症頻度が高く、40~68%を占めていました。その後、メスナが使用されるようになってから発症頻度は約5%にまで減少しています。

放射線による膀胱炎に関しては、子宮頚がんに対する照射では6.5%、前立腺がんに対する照射では3~5%の頻度で発症するといわれています。

出血性膀胱炎の原因はさまざまです。そのため乳児~高齢者まで、患者さんは年代や性別もさまざまです。

執筆・監修ドクター

陶山 俊輔
陶山 俊輔 医師 陶山クリニック 院長 担当科目 泌尿器科

経歴2005年3月  久留米大学病院医学部 卒業
2005年4月  福岡新水巻病院 初期研修
2007年4月  久留米大学病院 泌尿器科 入局
       久留米大学病院 泌尿器科 助教
2008年10月 大牟田市立病院 泌尿器科 医員
2010年4月  久留米第一病院 泌尿器科 医員
2010年10月 久留米第一病院 泌尿器科 医長
2013年4月  久留米大学病院 泌尿器科 助教、教育連絡主任
2015年4月  久留米大学病院 泌尿器科 助教、外来医長
2018年5月  陶山クリニック開院

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