尿潜血の原因は?プラスマイナス値って何?陽性が出たときの対処法
尿潜血は尿に血が混じっている状態ですが、血尿のようにはっきりと目視できるものではありません。
尿の色に異常はないのに検査で潜血が発覚した、というのはよくあるケースです。
この記事では、自分では気づきにくい尿潜血の原因と、陽性陰性を表す+-値の意味、陽性反応が出た時の対処法について説明します。
尿潜血とは?
尿潜血とは尿に血液が混ざっている状態ですが、血尿と違ってほとんどの場合血液が目に見えません。
これは、出血がごく微量である(尿が赤くなるほどではない)ために起こることです。
体内のどこかで異常が起きていることを訴えるものですが、肝心の症状が目視できないため発見が遅れやすい傾向があります。
そのため尿潜血に気づくには、病院で検査を受けるしかありません。
尿潜血のプラスやマイナスの意味
尿潜血の検査結果は、-(マイナス)・+(プラス)・+-(プラスマイナス)という値で示され、それぞれ次の状態を意味します。
-
陰性(異常がない状態)を表します。
+
陽性反応、つまり異常があることを表しています。尿潜血があるという意味です。
+-
弱陽性といい、要注意を表します。
微量の潜血があるため、注意しないと悪化の恐れがあるという状態です。
1+ / 2+ / 3+
プラス値は最大「3」まであり、数字が大きくなるにつれて病気の可能性が高くなっていきます。
尿潜血が起こる原因は?
病気が影響している場合もあれば、体調変化や栄養状態が関係していることもあり、尿潜血の原因は様々です。
1.尿路結石症
腎臓(尿がつくられる)・膀胱(尿をためる)・尿管(尿を排出する)のどこかに老廃物が溜まって結晶化する病気で、尿潜血の原因として特に多いものです。
結石のできる場所によって呼び方が異なり、これらをひとまとめにした総称が『尿路結石症』です。
- 腎臓:腎結石
- 膀胱:膀胱結石
- 尿管:尿管結石
- 尿道:尿道結石
2.膀胱炎
女性に多くみられる病気です。
膀胱内で細菌が繁殖して炎症を起こすと、尿に血液が混ざることがあり、尿潜血を引き起こします。
3.腎炎
腎炎や糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)も原因となります。
いずれも腎臓が炎症を起こしている状態で、尿がつくられる際に血が混じることがあります。
4.生理
生理中の経血が尿に混ざることでも、尿潜血検査で陽性反応が出ることがあります。
これに関しては病気ではないので、特に気にする必要はありません。
ただし生理中に尿潜血があっても、経血によるものか病気が潜んでいるのか判別できないため、別日の検査を案内されます。
5.ビタミンCの過剰摂取
ビタミンCは水溶性なので、水に溶けて尿として排出されやすい性質があります。
そのため検査の時点で体内に大量のビタミンCがあると、試験紙に反応してしまうため潜血がなくても陽性となる場合があります。
特にビタミンCのサプリメントなどを常用している方は、過剰摂取がない状態で再度検査を受けましょう。
6.激しい運動
激しい運動をしたときは、「顕微鏡的血尿(一視野で5つ以上の赤血球がみられる尿)」や「ヘモグロビン尿(血液の成分が多く見られる)」が生じることがあります。
中でもヘモグロビン尿は赤褐色で、試験紙でも陽性反応が出ます。
陽性反応が出たときの対処法
陽性反応が出たら泌尿器科もしくは腎臓内科を受診して、再検査を受けましょう。
できるだけ規模が大きく超音波検査ができるところが良いので、大学病院などが望ましいです。
再検査でも再び尿潜血の反応が出たら、さらに次のような検査を行って異常をみつけます。
1.尿沈渣検査
尿を遠心分離機にかけると、赤血球や白血球などの固形成分が沈殿します。
これを顕微鏡で観察することで、異常や病状の経過をみる方法です。
2.尿細胞診検査
膀胱・腎盂・尿管などの癌がないか確かめるために、顕微鏡で尿中に存在する細胞も観察します。
3.血液検査
尿検査以外にも血液検査を行って、下記のことも調べます。
- 腎機能の異常
- 尿素窒素の値
- クレアチニンの値
これらは腎臓のはたらきを確認できる項目で、数値が高いほど状態が悪いとされます。
4.超音波検査、腎生検
上記の尿検査や血液検査で異常がみられる場合、さらに超音波検査を行います。
慢性腎炎が疑われる場合には『腎生検(腎臓の組織の一部を採って顕微鏡で観察する検査)』を行い、詳細を調べます。
ただし癌の疑われるときは、癌細胞を捲いてしまう危険性があるため腎生検は行いません。
まとめ
尿潜血と聞くと不安に思う方もいると思いますが、検査では一時的に血液が混ざってしまうこともよくあるケースです。
慌てずに再度検査を受け、それでも陽性反応が出た場合は医師の指示に従って治療を進めます。
尿潜血の原因となる病気は、きちんと治療すれば治るものがほとんどなので、しっかり完治させましょう。
執筆・監修ドクター
経歴2002年 福井医科大学医学部卒業
2014年 自治医科大学大学院卒業(医学博士)
総合内科科より研修をはじめ、 以後、糖尿病、内分泌代謝にて活躍している
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