頻尿の症状って?1日8回以上は要注意!原因と対策について解説
尿が近い、あるいは尿の回数が多い症状を『頻尿』といいます。
排尿は、水分の循環や老廃物を排出する機能があり、健康な身体を維持するために大切なものですが、回数が多くなると夜に何度も起きてしまうなど、生活に不便を感じることがあります。
この記事では、頻尿が起こる原因や対策、考えられる病気についてお伝えします。
頻尿の症状は?1日8回以上は要注意
頻尿の定義や、人は通常尿がどれくらい溜まると尿意を感じるのかなどについて解説します。
1.頻尿の定義
一日の排尿回数が8回以上が目安
一日のうちに排尿する回数の平均は、昼間で5回程度、夜に0~1回程度と言われています。一般的には、朝起きてから寝るまでの間に、排尿回数が8回以上の場合を頻尿といいます。
普段と比較して回数が多いかどうか
しかし、一日の排尿回数は個人差があり、人によってさまざまであるため、一日に何回の排尿があれば異常というかは、はっきりしていません。
一日に8回以下の排尿回数であっても、普段と比較して排尿回数が多くなっているようであれば頻尿と考えられます。
2.排尿がおこるしくみ
脳は排尿のコントロールセンター
人は、膀胱に150cc程度尿がたまると、軽い尿意がおこります。250ccまでたまると強い尿意を感じるようになります。
尿がたまるとその情報は脳に伝わり、尿意を感じるようになっています。脳は尿を出したり尿をがまんしたりする判断をしているのです。
膀胱は伸縮する
膀胱は、伸縮する臓器で尿をためる時は弛緩し、尿道の周囲にある尿道括約筋(骨盤底筋群の一部分)が収縮します。排尿する時は膀胱が収縮し、尿道括約筋は弛緩(筋肉がゆるむこと)します。
尿の調節は自律神経が関わっている
この働きを調節しているのが、脳からの伝達や自律神経です。尿をためる時には交感神経、尿を出す時には副交感神経が働くようになっています。
加齢と共に膀胱が過敏になることもありますが、頻尿にはさまざまな原因が関係しています。
頻尿になる原因は?考えられる病気とは
頻尿の原因は主に以下があげられます。
1.過活動膀胱
過活動膀胱とは、膀胱に尿がまだ十分にたまっていないのに、膀胱が自分の意志と関係なく収縮してしまう病気です。
尿意圧迫感(急に尿がしたくなり、我慢ができない状態)を感じ、トイレに何回もいくようになります。
日本人は男女ともに多く、800万人以上がかかるといわれています。
考えられる原因
・脳卒中やパーキンソン病などの脳や脊髄の病気など、脳からの膀胱への指令に問題がある
・前立腺肥大症など、排尿障害を伴う病気により、膀胱が過敏になっている
・加齢による老化現象で、切迫性尿失禁(尿が間に合わずもれる)をおこしている
・原因不明
2.排尿後も尿が残っている「残尿」
排尿後、膀胱内に尿が残る状態をいいます。残尿があると、尿をためられる量が減ってしまい、一回分の排尿回数が少なくなり、何度もトイレに行くようになります。
考えられる原因
・前立腺肥大症が進行することで起こる排尿障害の一つ
・糖尿病、腰部椎間板ヘルニア、子宮がん、直腸がんの手術など、膀胱を収縮させる神経が障害されることで、排尿障害を起こしている
3.尿の量が多い「多尿」
多尿は、尿の量が多い状態のことです。膀胱や尿道に問題はなく、1回の排尿量は正常ですが、トイレに行く回数が増えます。
考えられる原因
・糖尿病
・水分を多量にとること
・利尿剤の薬剤を使用していることによる尿量の増加
・尿崩症
・慢性腎不全の初期症状
4.尿路感染症または炎症
尿路感染を起こすことで、膀胱の近くの神経が刺激されて頻尿になる。
考えられる原因
・膀胱炎
・前立腺炎
・間質性膀胱炎(原因不明の慢性の膀胱炎。膀胱炎の症状の他、尿がたまると強い痛みが出る)
5.膀胱がん
がんがあることで膀胱を刺激し、血尿や頻尿が見られることがあります。
6.心因性のもの
膀胱や尿道に何の病気もなく、尿量にも問題はないにもかかわらずトイレのことが気になり何回トイレへいってしまいます。
夜寝ている時には、排尿を気にすることはないため、夜間の頻尿はないことが特徴で、朝の排尿量も正常であることが多いです。
どんな人が頻尿になりやすい?
1.普段から水分を多くとっている
普段から水分をたくさんとっている場合は、頻尿になりやすいでしょう。
その場合は、夜にとる水分の摂取量を調節したり、寝る前には水分をとらないようにしたり注意することで改善するので、心配いりません。
2.骨盤底筋がゆるんでいる
女性の場合、骨盤底筋のゆるみによって起こる頻尿があります。妊娠中や出産後、年齢的な筋肉の衰えや運動不足が主な原因で、骨盤底筋がゆるむことによって、尿道口をしっかり締めることができずに起こる症状です。骨盤底筋はコントロールすることができるので、トレーニングが症状改善に役立つこともあります。
3.冷え性
体やお腹が冷えていると、頻尿になりやすくなります。
4.何らかの病気がある
病気が原因の場合は、まずは病名を明らかにして、病気の治療をすることで改善できる場合もあります。特に原因に思い当たることがなければ、泌尿器科を受診すると良いでしょう。
自分でできる頻尿対策
1.骨盤底筋のトレーニング
足の間にクッションや枕をはさんで骨盤の運動や、骨盤底筋をほぐす運動を取り入れます。
骨盤はさみ
1.立った状態でクッションなどを膝の間にはさみ、太ももが少しきついところまで膝を曲げる。
2.肩の力を抜き、ボールが落ちないように内ももに力を入れながら、腰を反らせてお尻を後ろへ。
3.背中を丸め、お尻をももの間にしまうようにお尻を前へ。おへそを絞り込むような感覚で。
骨盤ほぐし
1.正座をしてうでをゆったりと胸の前に伸ばし、手を組む。
2.お尻を浮かせ、正座を崩すように片方のお尻を床にトンとつける。できれば両膝をつけたままで行う。
3.すぐにお尻を持ち上げ、反対側にトンとつく。リズミカルに繰り返す。お尻がつきにくい側はトントンと2回タッチさせる。
2.水分を調節する
水分を多くとっている場合は、水分を調節することで改善します。
3.冷たい飲み物は避ける
冷たい飲み物を避けて常温または温かい飲み物を飲むようにします。
まとめ
頻尿は、男女ともに起こる可能性があります。
排尿は身体にとって大切な働きなので、病気によって頻尿が起こっている場合は、病気の治療が必要です。
頻尿の原因がわからない場合は、早めに泌尿器科を受診することをおすすめします。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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