便秘と腰痛の深い関係!病気が原因のことも…。7日以上続いたら病院へ
「便秘」とは便が出にくい状態のことをいいます。便秘の時、お腹が痛くなることがあるのはよく知られていると思いますが、お腹だけではなく腰にも痛みが出ることがあるのはあまり知られていないかもしれません。
この記事では、便秘になる原因とともに、便秘の時に腰痛になる理由や、対処法も合わせて紹介します。
便秘と腰痛の深い関係
1. そもそも便秘はなぜ起こる?
便秘とは、便が出にくい状態のことをいいます。日本内科学会では、便が3日以上出ない、または毎日お通じがあっても、まだお腹に残っているように感じる状態のことを「便秘」と定義しています。
つまり、毎日便が出ていても、すっきりしない状態であれば、便秘である可能性があります。
便秘が起こる原因
便秘が起こる原因には以下のことが考えられます。どれか一つだけのこともあれば、複数の原因が関連して起こることもあります。
・運動不足
運動は、腹筋を鍛えるだけでなく消化器官をコントロールするためにも重要な役割を担っています。
・食物線維の不足
適度な食物線維は、脹のぜん動運動を助けてくれます。
・水分不足
水分が少ないと、脹の運動を促す刺激が小さくなります。
・睡眠不足
眠りが浅かったり、睡眠不足だったりすると「副交感神経」という自律神経が働かず、その結果便がうまく作られない、あるいは作られても直腸へ送られないということに繋がります。
2.便秘で腰痛になる理由
便秘と腰痛は、あまり関係がないように感じられますが、実際には、ひどい便秘の際に腰痛を伴うことは少なくありません。
便の腐敗により腸内に発生した炭酸ガスが神経を圧迫する
便秘により便が腸にとどまることで、便が腐敗し炭酸ガスが発生します。それらが腸の中で膨らみ、背骨および腰部の神経を圧迫することで、腰痛が起こります。
運動不足による腹筋の低下
便秘になりやすい人は運動不足であることが多く、腹筋を含めた筋肉が硬直することによって、腰痛の原因となっていると考えられます。
便秘が原因で腰痛が起こっている場合は、便秘を解消することで腰痛も治まることがほとんどです。
3.便秘が解消しても腰痛が治らない…病気の可能性も
便秘が原因となって腰痛が起こることがある一方で、腰痛が原因となって便秘を起こすこともあります。
こんな腰痛には要注意!
次のような症状がある場合は、便秘が原因の腰痛ではなく、腰痛と便秘を同時に起こす病気である可能性があります。
・右か左、腰のどちらか片方だけ痛む
・腰痛に下腹部痛をともなう。
・我慢できないほど腰痛がひどい
・便秘が解消しても腰痛が治まらない
・腰痛以外に手足のしびれがある
腰痛と便秘が同時に起きる病気
・椎間板ヘルニア
・虫垂炎
・子宮筋腫
・腎臓疾患
どんな病気でも、早期発見できれば治療期間も短く済みます。ただの便秘、ただの腰痛と決めつけずに、上記の症状が一つでもあればできるだけ早く病院を受診しましょう。
便秘で腰痛が起こったら。病院へ行くべき?
便秘を原因として腰痛が起きている場合は、早く便秘を解消することが大切です。
便秘を解消するためには、食物線維や水分をしっかりとることや、お腹を温めたりマッサージをしたりすること、睡眠を十分にとり、運動をすることがあげられますが、どの方法も残念ながら即効性があるわけではありません。
いくつか試し、続けていくことで、自分の体にあった方法を見つけていきましょう。
1.無理にいきまず、7日以上便秘が続くなら病院へ
便が出にくいからといって、いきみすぎるのは禁物です。腹部に圧力がかかるのはもちろん、腰痛を悪化させる恐れがあります。
自分で解消を試みても、7日以上便秘が続くようなら病院を受診しましょう。
問診の後、便秘薬が処方され、運動や食事など、患者さんに応じた便秘にならないための生活習慣を指導してもらいます。
2.二週間以上便秘が続くと入院することも
便秘が二週間以上続くとほとんどの場合、入院治療となります。7日続いたらすぐに病院にかかるなど、なるべく早く受診しましょう。
便秘の予防・解消のために大切なこと
1.食事面
二種類の食物線維をバランスよくとる
食事面では、野菜や海藻、フルーツなど食物線維をしっかりとります。
食物線維には、二種類あり、葉物野菜やキノコ類、豆類などに多く含まれる不溶性食物線維と、ワカメや海藻、フルーツなどに多く含まれる水溶性食物線維があり、不溶性食物線維と水溶性食物線維が2:1の割合になるよう取り入れるのが理想的と考えられています。
乳酸菌やオリゴ糖も活用する
また、ヨーグルトに含まれる乳酸菌、オリゴ糖入りの食品をとることもおすすめです。乳酸菌やオリゴ糖は腸の悪玉菌を減らし、善玉菌が増えることで大腸の動きを活発にするのに役立ちます。
2.運動面
腹筋を鍛える
腹筋が弱いと、便を押し出す力が弱くなるため、便秘になりやすくなります。
腹筋を鍛えるのは、便秘予防に効果的ですが、急に負荷をかけると腰を痛めることがあるので、無理のない範囲で行いましょう。
毎日30分のウォーキング
また、ウォーキングもおすすめです。脚の付け根を動かすように意識すると、腸が刺激されぜん動運動を促します。できれば毎日30分くらい行うことが理想的です。
外での運動が難しい場合は、赤ちゃんのはいはいのような腹這いになって進む体の動き、または雑巾がけも便秘予防に効果があります。
3.睡眠・生活面
自律神経の乱れは便秘を招く
睡眠不足や不規則な生活は、自律神経を乱し、便秘の原因となります。規則正しい生活を心がけること、睡眠時間をしっかり確保しましょう。
冷えは便秘の原因になる
おなかが冷えることも便秘の原因となるので、水分はなるべく常温か温かいものをとることや、入浴や服装に工夫するなどおなかを冷やさない生活を心がけましょう。
まとめ
腹痛やおなかの張りを伴う便秘。そうしたお腹の不快な症状に加え、腰痛もあるとますます辛く感じてしまいます。
便秘になりにくくするためには、予防を続けることが大切です。すぐに効果を感じられなくても、続けることにより便秘になりにくい体へと変化していきます。
便秘が解消しても腰痛が治まらない場合は、病気が隠れていることもあります。たかが便秘と侮らず、おかしいと思ったら内科や消化器科など医療機関へかかりましょう。
治療が遅れるとその分負担が大きくなります。早めの受診を心がけましょう。
執筆・監修ドクター
経歴1996年 埼玉医科大学卒業
1997年 埼玉医科大学第一外科入(一般外科、呼吸器外科、心臓血管外科)終了
1999年 戸田中央総合病院心臓血管外科医として就職
2000年 埼玉医科大学心臓血管外科就職
2006年-2012年3月 公立昭和病院心臓血管外科就職
2012年4月 岡村医院、医師として勤務
2012年7月 岡村クリニック開院
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