生理前に子宮がチクチクと痛い!原因は病気?それとも妊娠の兆候?
生理前になると下腹部にチクチクとした痛みが生じることがあります。
原因としてはホルモンバランスの変化や妊娠、子宮の病気など、様々な要因が考えられます。
この記事では生理前に子宮が痛む原因と、痛みを和らげるための対処法について解説します。
生理前に子宮が痛い原因5つ。考えられる病気は?
子宮のある下腹部あたりは、様々な原因で痛みが生じます。
1.生理にかかわる女性ホルモン
生理前や生理中の子宮の痛みは、『プロスタグランジン』というホルモンが原因で起こります。
プロスタグランジンは、不要になった子宮内膜を経血として排出するために、子宮の収縮を促します。そのためこのホルモンが分泌されている間は子宮に痛みが生じます。
プロスタグランジンの分泌は生理の1週間ほど前から増え、生理開始の2~3日前にピークを迎えます。この期間に最も強い痛みを感じると言えるでしょう。
痛みの他に、吐き気やイライラといった症状が表れることもあります。
2.性行為
生理前にホルモンバランスが変化して『エストロゲン』の量が減ると、膣が委縮して膣粘膜が薄くなるため、性行為の時に痛みを感じやすくなります。
またそれに伴い膣の分泌物も少なくなるため、膣内が乾燥して痛みが出ることもあります。
特に更年期前後の女性や産後、授乳中の女性は、ホルモンバランスを崩しやすいため性交痛を起こすことが多いと言えます。
3.妊娠初期
妊娠初期はエストロゲンやプロゲステロンの分泌が増え、腸の動きを鈍くするため不快感や痛みが表れやすくなります。
また胎児の成長に伴い徐々に子宮の大きさが変化することで、周りの臓器が圧迫されて痛みが生じます。
4.排卵
排卵時はホルモンバランスが変化しますが、これも子宮の痛みの原因となります。
卵胞の成熟に伴い卵巣が腫れたような状態になることで痛みを感じたり、卵子が卵巣の表面を突き破って飛び出すときに痛みを生じたりすることがあります。
5.子宮や卵巣の病気
子宮や卵巣といった女性特有の臓器に病気があると、子宮の痛みの原因となります。
子宮筋腫
子宮筋腫は子宮の痛みを伴うほか、大きくなってくると他の臓器を圧迫するなど様々な影響が出てきます。
子宮筋腫とは子宮の筋肉から発生する良性腫瘍で、多くの女性が持っていると言われています。
子宮内膜症
子宮の内側にあるはず子宮内膜が、子宮外に発生してしまう病気です。
卵巣や腹膜などに発生しては剥がれるというのを繰り返すため、痛みを伴います。
治療が遅れると不妊症や『骨盤腹膜炎』の原因となり、卵巣がんを発症するリスクも出てきます。
子宮付属器炎
卵巣と卵管に炎症が起こる子宮付属器炎も、子宮が痛む原因の一つです。
卵巣や卵管以外に炎症が広がると、『骨盤腹膜炎』や『汎発性腹膜炎』と変わっていきます。
卵巣脳腫
卵巣に腫瘍ができる病気です。
腫瘍が大きくなると階段の昇り降りや性交渉といった動作で卵巣がねじれて、急激な痛みがあらわれます。
卵巣は自覚症状がでにくい臓器なので、検診を受けるまで腫瘍に気づかないケースも多いです。
卵巣機能不全
卵巣機能不全による無月経を起こしている方は、生理がこないので生理痛もないのではと思うかもしれませんが、子宮の痛みを感じることがあります。
経血がうまく流れ出なくても生理痛のような痛みが生じるのは、無月経でも卵巣や子宮は発達しているためです。
その他の病気
他にも、膣炎やクラミジアなどが子宮頸管・子宮内膜・卵管・卵巣へと広がり、骨盤内に強い炎症を起こすことで子宮の痛みが生じます。
また、小腸や大腸が病気を起こしている可能性もあります。
子宮が痛むときの対処法
1.鎮痛剤を使用する
市販の鎮痛剤を服用すると、つらい痛みを緩和させられます。
使用する際は、用法・容量をきちんと守りましょう。
2.体を温める
カイロや湯たんぽでお腹や腰回りを温めると、血流が良くなるため子宮内膜の排出もスムーズになり、痛みが緩和されます。
ただし素肌に直接あててしまうと、低温やけどを引き起こす恐れがあるので注意が必要です。
腹巻きやレッグウォーマーを使用したり、湯船に浸かったりして体を温めるのも有効です。
3.軽い運動をする
じっとしていると血行が悪くなり、痛みが増すことがあります。
ヨガやストレッチ、散歩といった軽い運動をしてみると痛みが緩和されるでしょう。
ただし激しい運動は体に負担をかけるので、痛みがある間は控えてください。
4.リラックスする
気持ちを落ち着けることも大切です。
痛みが気になってストレスをためないよう、ハーブティーを飲んだりアロマオイルを炊いたり、リラックスできる時間をつくりましょう。
つらい痛みは病院で相談を!治療法は?
1.こんな症状が出たら病院へ
次のような状態であれば、婦人科を受診して、検査や治療をうけましょう。
- 横になってのたうちまわるほどお腹が痛い
- 鎮痛剤を飲むと治まるがすぐにまた痛くなる
- 鎮痛剤を飲んでも痛みがなくならない
- 子宮の痛み以外にも症状がある
- 妊娠検査薬で反応が出た
2.子宮の痛みはどのように治療する?
病院では問診・触診・視診などを行った後、必要に応じて次のような検査を行い、子宮や卵巣の病気の有無を確認します。
- 経膣超音波
- 血液検査
- 尿検査
検査結果は一般的に2週間ほどで出るので、それをみて医師が総合的な判断を下し、適切な治療方針を決めていきます。
まとめ
子宮の痛みは我慢しないことが大切です。
鎮痛剤を服用したり体を温めたりしてつらい痛みを抑えましょう。
あまりにも痛みがひどい場合や鎮痛剤が効かない場合は、子宮や卵巣に何らかの病気が生じている可能性もあります。
異変を感じたら病院を受診し、痛みの原因を特定して適切な治療を受けましょう。
執筆・監修ドクター
経歴1999年 日本医科大学産婦人科教室入局 日本医科大学付属病院 産婦人科研修医
2001年 国立横須賀病院(現 横須賀市立うわまち病院) 産婦人科
2002年 東京都保健医療公社 東部地域病院 婦人科
2003年 日本医科大学付属病院 女性診療科・産科 助手代理
2004年 日本医科大学付属第二病院 女性診療科・産科 助手
現在 石野医院の副院長
関連コラム
「生理前に子宮がチクチクと痛い!原因は病気?それとも妊娠の兆候?」以外の病気に関するコラムを探したい方はこちら。
関連する病気
「生理前に子宮がチクチクと痛い!原因は病気?それとも妊娠の兆候?」に関する病気の情報を探したい方はこちら。