生理痛がひどい!薬が効かない激痛の対処法は?受診のタイミングは?
生理中にお腹の張りや気分の落ちこみ、腰痛などの不快感が起こる方は多いかと思います。
その中でも特に「生理痛」については、ひどい痛みで夜も寝られない、市販されている鎮痛剤を服用しても痛みが緩和されない、という方も少なくないのではないでしょうか。
生理痛がひどい、気分が落ちこむなどの生理中の不快感が強く出ている場合は、何らかの病気が原因となっている可能性もあります。
そのため鎮痛剤に頼るだけではなく、婦人科や産婦人科などの病院を受診することも大切です。
この記事では、生理痛の症状や病院へ行くタイミング、生理痛がひどい時の対処法、生理痛が重くなる病気や生理痛を和らげる方法について紹介します。
- 目次
生理によくある症状は?
生理中によく起こる症状には、以下のようなものがあります。
・腹痛
・腰痛
・頭痛
・下痢っぽくなる
・胸やお腹が張る
・イライラする
・不安になる
・怒りっぽい
・眠くなる
・だるくなる
・気持ちが悪い
・吐き気がする
・食欲が異常に増す
この中でも特に「腹痛」を訴える方も多く、
・お腹(子宮のあたり)が激しく痛む
・腰のあたりが痛い
・おしりから突き上げるような痛みを感じる(おしりがキューッと痛く感じる)
と訴える人もいます。
このように、生理中に引き起こされる痛みや不快感は人によって異なることも多くあります。そのままにしていても生理が来るたびにつらい生理痛を繰り返す、さらに生理痛がひどくなるケースもあります。
寝込んでしまうほどのひどい生理痛がある場合や、ナプキンが足りなくなるくらい月経量が増えている方など、生理に関して気になる症状がある場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
もちろん寝込んでしまうほどの痛みがない場合でも生理が少しでもつらいと感じるのであれば医療機関を受診していただいてかまいません。
生理痛が重くなる病気
重い生理痛には、何かほかの病気が隠れている可能性も考えられます。身動きがとれないくらい生理痛が重い、仕事や学校を休んでしまうなど、あまりにも症状が重い場合は、月経困難症の場合があります。
月経困難症には「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」の2つの種類があります。
機能性月経困難症と器質性月経困難症
機能性月経困難症は、主に生理が開始して1~2年目から始まり、思春期から20代の若い年代に多くみられます。
頭痛や腹痛、イライラなど心身の不調が起きるのに、はっきりした原因がないことが特徴です。
器質性月経困難症は、30代以降から多くみられるようになります。骨盤の内側にある器官(子宮・卵巣・卵管等)に病気があり、それが原因でひどい生理痛が起こります。
鎮痛剤を飲んでも痛みが和らがず、排便時にも痛みがあることが特徴です。
器質性月経困難症の代表的な病気としてあげられるのは「子宮内膜症」や「子宮筋腫」「子宮腺筋症」などがあります。
中には、子宮などの先天性奇形や骨盤内炎症性疾患の場合も考えられます。
子宮内膜症
本来は子宮の内側にある「子宮内膜」が、卵巣や骨盤内、子宮周囲などの別の場所で増えていく病気です。増えてしまった組織が身体の外に排出される時に、激しい痛みを引き起こします。そのままにしていると不妊や卵巣がんへのリスクが高まります。
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子宮筋腫
子宮の壁にできる、こぶのような良性腫瘍で30代以降に多くみられます。腫瘍は女性ホルモンによって大きくなりますが、がんなどの悪性腫瘍ではありません。経血の量が増え、貧血を引き起こすこともあります。
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子宮腺筋症
子宮の筋肉の中に子宮内膜に似た組織ができて子宮が大きくなる病気です。30代から50代にかけて症状が現れることが多く、激しい月経痛を引き起こしたり、経血量が増えて貧血になったりもします。閉経後子宮は縮小し症状も軽減します。
生理痛がひどい場合は婦人科や産婦人科を受診
生理痛の感じ方は人によってさまざまですが、学校や仕事など日常生活に支障が出るくらいの腹痛や腰痛、頭痛などに悩まされている方は少なくありません。
また、激しい生理痛で動けない、いつもより生理の経血量が多い、貧血になるという方もいるでしょう。さらに、気分が憂鬱になる、イライラして怒りっぽくなる、などといった精神的な症状を訴える場合もあります。
このような重い生理痛がある方はもちろん、生理について気になる症状がある方は、一人で我慢せずに、早めに婦人科や産婦人科を受診しましょう。
また、生理痛が重くないと婦人科を受診してはいけないと考えている人も多いようですが、そのようなことはありません。
症状が重い場合には受診してくださいと書かれているコンテンツが多くありますが、悩んだり困っている場合には婦人科を受診して医師と相談してかまいません。
低用量ピルで月経前症候群(PMS)や排卵痛が軽減される場合も
生理痛を和らげるために医師から「低用量ピル」が処方されることがあります。低用量ピルとは、女性の卵巣で作られる妊娠する時に出る女性ホルモン、黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)を合わせてできた薬です。
排卵を抑制し、子宮内膜の増殖を抑える働きがあるため、避妊のほか、月経困難症の治療薬としても利用されています。
避妊目的で服用する場合は自由診療の対象となりますが、月経困難症の治療を目的とする場合は保険適応になる場合もあります。詳しくはかかりつけの医院に相談してみましょう。
低用量ピルのさまざまなメリット
低用量ピルには、服用することで以下のメリットがあります。
・生理前のイライラ、不安、うつ症状など、月経前症候群(PMS)の改善
・生理痛の緩和
・生理不順、排卵痛、子宮内膜症の改善
・卵巣がん、子宮体がんの予防
・肌荒れ、ニキビの改善
・避妊
・生理量の軽減、貧血の改善
・プレ更年期の改善
など
低用量ピルの種類と飲み方
低用量ピルは、黄体ホルモンの種類の違いから、第1世代、第2世代、第3世代といった分類がされています。さらに卵胞ホルモンと黄体ホルモンの含有量の違いによって一相性、二相性、三相性という分類もされています。
飲み方は種類によって異なる場合がありますが、生理が始まった1日目から飲み始めて1日1錠をできるだけ同じ時間に飲む「デイワンスタート」という飲み方が主流です。また生理が始まった週の日曜日から1日1錠を飲み始める「サンデースタート」という飲み方をする低用量ピルもあります。
いずれにしても、月経や子宮内膜症に関連する症状の改善、避妊や肌荒れなど、低用量ピルの役割を実感するためには1日1錠を守って、飲み忘れないことが大切です。
ただし、低用量ピルは、年齢や基礎疾患によっては服用を避けた方がよい場合があります。そのため、服用を希望する場合は医師とよく相談するようにしましょう。
病院に行けない時の対処法
「生理痛がひどいから病院に行きたい…」と思っても、仕事や学校などでなかなか病院に行けない、という方も多いかもしれません。その場合は、以下のような対処法を試してみるのもよいでしょう。
身体を温める・冷やさない
血行をよくするために、膝掛けなどを使って、下腹部や腰を温めて、冷房などで身体を冷やしすぎないようにしましょう。また、温かい食べ物や飲み物をとり、入浴の際はお湯につかることを心がけるといいです。
リラックスできる体勢にする
お腹や腰が痛いと、痛みのせいで身体が緊張してしまい体勢が悪くなりがちです。できるだけ無理のない、リラックスできる体勢で過ごすことが大切です。また、寝る時はお腹を丸めて横向きに寝ると緊張が和らぎます。
安静にする
生理中は、痛みだけでなく、憂鬱な気分やイライラするなどの不快な症状が現れます。また、だるい、気持ち悪い、疲れやすくなる、という人もいるでしょう。そのような時は無理に動くことはせずに、リラックスしながら安静に過ごすことが大切です。
市販薬を利用する
薬に頼ることに抵抗がある方もいるかもしれませんが、痛みを我慢することは、身体の負担にもなり、ストレスにもなります。そのため、かえって生理痛を悪化させてしまう可能性があります。我慢せずに市販されている鎮痛剤などを利用しましょう。
ただし、市販されている鎮痛剤を服用しても痛みが緩和されない場合は、婦人科や産婦人科を受診するようにしましょう。
生理中に痛みが和らぐ食べ物・避けた方がよい食べ物は?
生姜や大豆製品がいい
身体を温める作用のある生姜や、女性ホルモンのバランスを整えるといわれている、イソフラボンを含む大豆食品を摂取することで生理痛が和らぐ可能性があります。
また生理中の肌荒れで悩んでいる場合は、ビタミンB群を含むレバーやウナギ、卵などを摂取することで肌荒れが改善される可能性があります。ほかにも、生理中や生理前にイライラする場合は、カルシウムを多く含むチーズや牛乳を摂取することもいいでしょう。
砂糖や油っぽい食品、塩分は避ける
砂糖を多く含む食べ物や油っぽい食べ物は避けましょう。砂糖はとりすぎるとイライラする・怒りっぽくなる、など心が不安定になる可能性があります。
肝臓はエストロゲンという女性ホルモンを分解する働きがあります。油っぽい食べ物を食べすぎて肝臓に負担をかけると、女性ホルモンを分解する働きに対して悪影響を及ぼし、生理痛を悪化させてしまう場合があります。
また、生理中は身体がむくんだり冷えやすくなります。塩分をとりすぎると血流が滞ってむくみやすくなり、さらに生理痛を悪化させる場合もあるため注意が必要です。
食生活を改善することは、生理痛を和らげることにつながります。しかし、以上のような対処法を試しても症状が改善されない場合は、婦人科や産婦人科などを受診しましょう。
ひどい生理痛など、生理中のトラブルは我慢しない!
「生理痛はいつものことだから…」「そこまでひどいわけじゃないから…」と、生理によって引き起こされるさまざまな症状を我慢してしまう方も多いでしょう。
しかし、痛みや不快感を我慢することでストレスが溜まり、さらに症状を悪化させてしまうこともあります。
そのため、少しでもいつもより生理痛がひどい、生理が辛いなどと感じたら、すぐに医師に相談し、快適に日々を過ごせるようにしましょう。
執筆・監修ドクター
経歴平成15年 聖マリアンナ医科大学卒業
聖マリアンナ医科大学医学部卒業
聖マリアンナ医科大学初期臨床研修センター
カナダブリティッシュコロンビア大学留学
つづきレディスクリニック院長・理事長
聖マリアンナ医科大学産婦人科学非常勤講師
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