低用量ピルの副作用と効果を知ろう!吐き気は?太るって本当?
避妊薬としてのイメージが強いピルですが、それ以外にも生理不順や肌荒れの改善など様々な効果があります。
日本では1999年から解禁となり、産婦人科で処方を受けられるようになりました。
そんなピルはメリットが豊富である反面、副作用が強いという印象を持っている方も多いです。
この記事では、低用量ピルの効果と副作用についてご紹介します。
低用量ピルとは?どんなときに使う薬?
低用量ピルは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンを配合した薬です。
服用によって、血中のホルモン量がコントロールされ排卵が止まるため、飲んでいる間は妊娠しなくなります。
正しく飲めば避妊成功率は100%と言われており、経口避妊薬としては確実な効果が期待できます。
その他のメリット
低用量ピルには避妊以外にも様々なメリットがあります。
- 月経痛の改善
- 経血量の改善
- 月経周期のコントロール
- 生理痛などの不快症状の緩和
- 子宮内膜症の治療
- 子宮筋腫の治療
低用量ピルの副作用について
メリットの多いピルですが、もちろん副作用もあります。それぞれ説明していきます。
1.血栓症のリスクが高まる
ピルの最大の副作用として、血栓症が挙げられます。症状として、足が突然むくんだり呼吸困難が起きたりします。
喫煙者はピルを服用することで血栓ができやすくなるため、タバコとピルの併用は勧められません。
血栓ができやすい人は注意
以下の方は、ピルの服用により血栓症を引き起こすリスクが高まります。
- ヘビースモーカー
- 心臓、肝臓、腎臓に持病がある方、
- 血栓症、脳卒中、心筋梗塞の既往がある方
- 乳がんがある方
- 子宮がんがある方
- 授乳中の方
当てはまる方は服用に関して医師と相談し、症状などを考慮して慎重に判断する必要があります。
2.つわりと似た、吐き気などが出る場合も
ピルに体が慣れるまでは、不正出血や吐き気、だるさ、頭痛などつわりのような症状が現れることがあります。
しかしこれは一時的なもので、通常は1~2週間、長くても10週間以内に落ち着きます。
3.食欲や体重が増加し、太ることも…
ホルモンバランスの変化によって食欲が増加することがあります。
また副作用としてナトリウムや体液がたまりやすくなるため、むくみや体重増加がみられることもあります。
副作用の症状が軽い場合は経過観察を行いますが、重い場合は処方量を減らしたり服用を中止したりすることがあります。
4.乳房の張りがみられることも
乳房の張りは3~6ヶ月続くことがありますが、ホルモンが安定すれば不快な症状は落ち着きます。
乳房の張りが副作用として現れることは少ないので、もし症状が続く場合は婦人科や産婦人科で相談しましょう。
5.避妊効果が低くなることも
激しい下痢や嘔吐が続くとピルの成分をうまく吸収できず、避妊効果が低くなる可能性があります。
体調を崩している方は注意が必要です。
6.乳がんについて
以前は副作用として乳がんの発症率が上がると言われていましたが、近年ではピルで乳がんの発生が増える可能性はほとんどないことが明らかになっています。
乳がんは年齢とともに発症率も上がるため、早期発見のためにも自己検診や1年に1度の乳がん検診、子宮がん検診を受けましょう。
低用量ピルの効果
低用量ピルの効果について詳しく説明していきます。
1.ほぼ100%の避妊効果がある
ピルには排卵を起こさなくする作用があるため、経口避妊薬として効果を発揮します。
毎日忘れずに飲むことでほぼ100%の避妊効果があり、コンドームの避妊成功率が約85%であるのと比較して確実性が高いです。
望まない妊娠を避け、自分の体を守るために有効な手段です。
避妊方法としては他に『IUD(避妊リング)』などもありますが、子宮内腔に挿入する必要があるため人によっては使いにくく抵抗を感じるかもしれません。そういった面でも、ピルは取り扱いやすいでしょう。
2.生理周期の改善
ピルを服用することで、生理周期が規則正しくなります。毎月同じ日に生理が来るようになるため管理しやすくなり、生理不順に悩まされている方にも効果的です。
また飲み方を調整することで、生理を遅らたり早めたりできます。
旅行や出張など日時の決まったスケジュールにかぶらないよう、月経日をコントロールできるのは大きなメリットです。
3.生理痛やPMS、出血量の緩和
個人差はありますがピルにより女性ホルモンの状態を変化させることで、PMS(月経前症候群)や生理痛を緩和できます。
ひどい生理痛や、生理前の頭痛、不快感の症状に悩んでいる方に有効です。また生理時の出血量を減少させる効果もあります。
4.女性特有のがんを予防
ピルの服用によりホルモンバランスが変化するため、子宮内膜症の辛い症状を緩和することができます。
また長期間服用することで次のような女性特有のがんを予防し、発症率を下げる効果も期待できます。
- 子宮体がん
- 卵巣がん
- 乳房の良性腫瘍
他にも、大腸がんを予防する効果もあると言われています。
5.肌荒れや多毛症の改善
ニキビの原因の一つとして男性ホルモンの増加が挙げられますが、ピルには女性ホルモンが含まれているためホルモンバランスが整い、肌荒れを改善することが可能です。
ただし、逆にニキビができやすくなるピルもあるため確認が必要です。多毛症に関しても、同様の理由で改善効果が期待できます。
6.服用をやめれば妊娠が可能
ピルを飲むタイミングにもよりますが、服用当日~8日目以降に避妊効果が認められます。
服用を中止すると1ヵ月以内に排卵が再開され、妊娠が可能な状態になります。
まとめ
低用量ピルは、副作用が少なく安全性が高いといわれているお薬です。
毎日服用を続けることでほぼ100%の避妊が可能になるほか、ニキビや肌荒れの改善、女性特有のがんを予防したり、生理痛や月経前症候群の症状を緩和してくれたりと様々な効果が期待できます。
避妊や悩みの症状があれば、婦人科で低用量ピルの服用について相談してみると良いでしょう。
執筆・監修ドクター
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