低用量ピルの種類。効果や飲み方の違いは?避妊にはどれがおすすめ?
【医師監修】
低用量ピルは、経口避妊薬としてはほとんど100%の効果を発揮する安全で確実な避妊法です。
低用量ピルは、避妊薬として注目されています。西欧諸国では成人女性の30~40%が服用しているお薬ですが、日本では約5%以下と低い普及率です。
ピルは毎日服用することでほぼ100%の避妊効果があるほか、生理痛や月経前症候群の緩和、子宮内膜症の症状の軽減などさまざまなメリットがあります。
この記事では、低用量ピルの種類についてご紹介します。効果や飲み方もそれぞれ異なるので参考にしてみてください。
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種類がさまざまで効果や飲み方なども異なるため、それぞれの特徴を理解して自分に合ったピルを選択しましょう。
低用量ピルの基礎知識
21日タイプと28日タイプのピルがある
低用量ピルには21日タイプと28日タイプがあります。薬の効果や内容はどちらも同じですが、飲み方だけが異なります。
21日タイプ
1シートに21錠のホルモン剤が入っています。21日間ピルを服用した後、7日間は服用しません。
休薬期間が明けた後、また服用を再開する形になります。1週間の期間が空くため、飲み忘れを起こすかもしれないというデメリットがあります。
28日タイプ
偽薬が含まれるタイプのピルです。1シートに21錠のホルモン剤と7錠の偽薬が含まれています。
偽薬は『プラセボ』と呼ばれ、飲み忘れを防ぐために作られたニセモノの薬です。そのため有効成分は入っておらず、人体には何の影響もありません。
ピルには1~3まで世代がある
ピルには卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンが含まれており、それぞれのホルモンにはさらに種類があります。
ピルに含まれる黄体ホルモンの成分は4種類あり、どれが使われているかによって世代が分かれます。
・第1世代:ノルエチステロン
・第2世代:レボノルゲストレル
・第3世代:デソゲストレル、ドロスピレノン
一方、卵胞ホルモンの成分は『エチニルエストラジオール』のみなので、ピルの世代に影響しません。
ピルの相性について
ピルは、ホルモンの配合量によって1相性と3相性に分けられます。個人によって合うものが若干異なりますので、医師とよく相談してみてください。
1相性
21錠全てホルモンの配合量が同じものです。マーベロン、オーソMなどがこれにあたります。
3相性
自然のホルモンバランスに近づけるため、ホルモンの配合量が3段階に変化しているものです。
トリキュラー、オーソ777、アンジュ、リビアン、トライディオール、ノリニール、シンフェーズなどが該当します。
飲み方によってピルの効果が変わる!
ピルの種類によって飲み方が違うので、効果がでるタイミングもそれぞれ異なります。
デイワンスタート
生理開始日から飲み始めるタイプのピルです。低用量ピルの最も基本的な飲み方で、服用当日から避妊の効果が現れます。
ただし生理が始まって24時間以内に服用しないと、当日の避妊効果は得られません。
サンデースタート
生理がきた週の日曜日から飲み始めるタイプのピルです。飲み忘れが少ない、周期を把握しやすい、生理日を週末に重ならないようにできる、といったメリットがあります。
避妊効果は、服用の1週間ほど後に現れます。
低用量ピルの種類と特徴
アンジュ、トリキュラー、ラベルフィーユ:第2世代3相性
日本で多く普及しているのが、第2世代3相性のピルです。
黄体ホルモンの作用で子宮内膜が安定する、服用中の不正出血が起こりづらい、休薬期間にきちんと生理がくる場合が多い、という特徴があります。
トリキュラー、アンジュ、ラベルフィーユがこれにあたります。
マーベロン、ファボワール錠:第3世代1相性
第3世代のピルは男性ホルモンの作用が最も少なく、大人ニキビに悩む方におすすめです。
不正出血がみられることもありますが、頭痛や吐き気、体重増加などの副作用は比較的少ないというメリットがあります。
一般的には、ピルが大人ニキビに効果をもたらすまで3ヵ月程度かかると言われていますが、マーベロンは1ヵ月という比較的早い段階で効果がみられます。
飲み始めた頃にむくみがみられることもあるため、医師と相談しながら使用しましょう。
オーソ:第1世代1相性
オーソは子宮内膜の増殖を抑える効果が高く、出血量を多く減らすことができるという特徴があり、子宮内膜症の治療にもよく使われます。
生理痛を軽減させる効果があるため、痛みが強い人にもおすすめです。
また1相性のピルはホルモン量が一定なので、月経前症候群に効果があるほか精神的な安定も期待できます。
シンフェーズ:第1世代3相性
シンフェーズはサンデースタートタイプのピルです。子宮内膜が安定し、不正出血が起こりにくいというメリットがあります。
ただし毎日飲む順番を守る必要があるため、飲み間違いがないように管理しなくてはなりません。
ルナベル、ヤーズ配合錠:保険適応のピル
ピルは基本的に自由診療ですが、保険適応治療薬としてオーソと同じ成分の『ルナベル(第1世代1相性)』や、国内発の超低用量ピルである『ヤーズ配合錠』などもあります。
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低用量ピルを処方してもらうには?
1.産婦人科を受診。処方は事前に確認を!
低用量ピルを使用したい場合、婦人科や産婦人科で処方を受ける必要があります。
ただし全ての産婦人科で取り扱いがあるわけではなく、お産を専門にしている病院などでは処方してもらえないこともあるため事前に確認しましょう。
避妊目的の場合基本的には問診のみで処方してもらえますが、必要に応じて血液検査や血圧測定などを行い、その人に合うピルを選択していきます。
2.費用について
ピルの処方にかかる費用は1ヵ月で2,000~4,000円程度になります。ピルは基本的に自由診療です。
ただし生理痛などの月経困難症を治療する目的で使用する場合は、保険適用が可能となることもあります。
初めて低用量ピルを飲む場合の注意点
飲み忘れに注意
低用量ピルは、毎日忘れずに飲むことが大切です。1日飲み忘れてしまった場合は、次の日に2錠飲みます。
飲み忘れが2日以上続いた場合は、本来の日付に追いつくまで1日2錠服用します。
2日以上服用しないと避妊効果が弱まる
ピルを服用しない状態が2日以上続くと、避妊成功率が下がります。その場合は別の避妊方法が必要になるため注意が必要です。
服用中の飲酒について
ピルの服用中にお酒を飲むことは問題ありません。
しかし飲みすぎにより嘔吐してしまうとピルの成分が十分に吸収されず、避妊効果が弱まる可能性があるため注意が必要です。
まとめ
低用量ピルはさまざまなメーカーからいろいろな種類のものが販売されています。
産婦人科で処方してもらう場合はよく相談して、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
初めて服用する場合は頭痛や胸やけなどの副作用がでることがありますが、飲み続けていれば症状は治まります。
不快な症状が続く場合は、医師に相談しましょう。
執筆・監修ドクター
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