手がしびれる原因は?考えられる病気について。何科を受診する?
手がしびれる原因として、病気の可能性は否定できません。
日常生活における単なるしびれなのか、病気のサインとしてしびれの症状が起こっているのかは、きちんと見極める必要があります。
しびれの原因が病気であった場合、脳梗塞など急を要する病気の可能性もあるので、十分注意が必要です。
この記事では手がしびれる原因と、症状から考えられる病気の可能性を説明します。
「しびれ」がおこる仕組み
1.しびれの症状には種類がある!
しびれにはいくつか種類があります。例えばジンジンとした痛みを伴うしびれは、長く正座をしていた状態から立ち上がった時などに現れます。
他には、手足を動かしづらく麻痺しているように感じるしびれもあります。
また身体的には症状がみられず、感覚のみがしびれていると感じる場合もあるようです。
2.しびれが起こる原因は?
同じ体勢をとり続けていたり、就寝中に手が体の下敷きになっていたりすると、起きたとき手がしびれていることがあります。
手足に限らずこういったしびれは、血行障害や神経の圧迫などが原因で起こります。
- 血行障害(血行不良):長時間同じ体制でいることで起こる
- 神経の圧迫:腫瘤や何かしらの原因によって生じる
またこれ以外にも、病気の兆候としてしびれの症状が現れることもあります。
手のしびれから考えられる病気とは?
症状として手のしびれが現れる病気は、急性のものから慢性的なものまでさまざまです。
1.脳の病気
脳梗塞や脳出血、くも膜下出血、脳腫瘍がある場合も手にしびれが出ます。
これらは放っておくと麻痺に変わり、動かせなくなる可能性もあるのでできるだけ早めに対処する必要があります。
2.脊髄(せきずい)の病気
脊髄の損傷や腫瘍も原因です。
椎間板ヘルニアなどは腰の病気だと考えている人もいますが、胸椎に生じる椎間板ヘルニア は手にしびれが生じることもあります。
3. 頸椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)
別名、頸椎症(けいついしょう)とも言います。
頸椎や脊髄は体の運動を支える重要な部分で、ここに異常をきたすと神経根や脊髄が圧迫され、頸椎症が発症します。
頸椎症性脊髄症の症状は?
頸や肩甲骨付近に痛みを感じたり、手にも痛みやしびれといった症状がみられたりします。
また手だけでなく指先がしびれたり、体に力が入らなかったりすることが増えます。
足にもしびれをきたすようになると、次第に歩行困難になります。症状のほとんどは右か左の一方に起こりますが、まれに全身に症状が見られることもあります。
手のしびれを感じたり細かい作業が苦手になったりしたら、早めに病院に行きましょう。
頸椎症性脊髄症の原因は?
原因としては加齢による椎間板の変性や、頸椎に関連する靭帯が厚く硬くなることが挙げられます。
椎間板はクッションのような働きをしますが、20歳を過ぎると年齢とともに弾力性がなくなり、ひびが入ったり徐々に潰れたりといった変性が始まります。
椎間板の変性は誰にでも生じるため、これ自体は病気ではありません。
しかしこの変化により脊髄や神経根が圧迫され、しびれなどの症状が認められることで初めて病気と診断します。
4.末梢神経の病気
末梢神経は腕や手の動きを支配する機能を持つため、この部分に異常があるとしびれが起こり、手の動きに支障が出ます。
末梢神経に異常がある場合、下記のような病気が考えられます。
手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)
手首を構成する骨と手根靭帯で囲まれた管を、手根管と呼びます。
その中を、手首を動かす際に必要な『腱(けん)』と『正中神経 (腕から手までの感覚を支配する神経)』が通っています。
この手根管内に何らかの異常が起きて正中神経が圧迫されると、手根管症候群が発症します。
手根管症候群は、次のような身体変化が原因で発症します。
- 手首の骨折
- 手根管内の腫瘍の発生
- リウマチによる滑膜の炎症
- 妊娠
- 糖尿病
- アミロイドーシス
- 腎疾患
- 痛風
肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)
肘部管症候群は、肘の内側にある『尺骨神経(しゃっこつしんけい)』に障害が生じることで、様々な症状が現れる病気です。
初期症状としては薬指と小指のしびれがみられます。
悪化すると手の感覚が鈍くなったり指がまっすぐ伸ばせなくなったりして、細かい動作に支障が出ます。
胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)
胸郭出口症候群は、腕を挙上する動作によって上肢がしびれたり、肩や腕、肩甲骨周りに痛みを感じたりする病気です。
前腕の外側から手の小指側に沿って、次のような感覚や運動麻痺の症状がみられます。
- うずくような痛み
- 刺すような痛み
- しびれ
- ビリビリするような違和感
- 握力低下
- 手の細かい動作がしにくい
5.糖尿病や自律神経の乱れもしびれの原因の一つ
他にも甲状腺 (新陳代謝を促すホルモンを分泌する)によって体の機能が低下したり、糖尿病を患っていたりする場合にも手足のしびれが起きます。
また、自律神経失調症も手のしびれを引き起こすことがあります。
手がしびれた場合の対処法
1.危険!こんな症状は病院へ
手のしびれがすぐに治らない場合や、完全に目視で確認できるほど手が震えていて、しびれというより痙攣に近い場合はすぐに病院へ行くようにしましょう。
2.手がしびれる場合は何科を受診する?
しびれの原因がわかればそれに該当する病院や専門の診療科に行くべきですが、最初から原因を把握している方は少ないでしょう。
その場合は近くの内科で適切な対応をしてもらうこと、病院を紹介してもらうことが大切です。
受診の際には、しびれが起こる時間やしびれが起こりやすい体勢などを聞かれることがあるので、しびれを感じた時にそれらをメモに残しておくと良いでしょう。
また、整形外科や脳神経内科でも診察を受けられることがあります。
3.手のしびれを改善する方法
手のしびれが病気から来ている場合は脳の疾患、脊髄や骨・靭帯の疾患などが原因です。
病気の可能性がない場合は単に姿勢の問題であったり、代謝、ストレスが関係していたりする場合が多いです。
生活習慣としびれには深いつながりがあるので、日々規則正しい生活を心がけ、ビタミンやミネラルなど栄養のある食事を摂るようにしてください。
4.手のしびれを予防する方法
手のしびれを予防するには体に負担をかけすぎない程度の運動や、血行のめぐりをよくするためのマッサージが有効です。
入浴や適度な運動を習慣にし、ストレスの発散を心がけましょう。
まとめ
手のしびれには様々な原因があり、病気が潜んでいる場合もあれば生活習慣が原因になっていることもあります。
しびれの症状がすぐに改善しない場合は病気の可能性があるので、「しびれなんてよくあることだ」と油断せずすぐに病院を受診してください。
原因を突き止めてしっかりと治しましょう。
執筆・監修ドクター
経歴1996年 埼玉医科大学卒業
1997年 埼玉医科大学第一外科入(一般外科、呼吸器外科、心臓血管外科)終了
1999年 戸田中央総合病院心臓血管外科医として就職
2000年 埼玉医科大学心臓血管外科就職
2006年-2012年3月 公立昭和病院心臓血管外科就職
2012年4月 岡村医院、医師として勤務
2012年7月 岡村クリニック開院
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