不整脈を改善する食事療法を解説!コーヒーはNG。緑黄色野菜がおすすめ
【医師監修】
健康診断で「不整脈」と診断されたことはありませんか?
「少しだから大丈夫…」と油断して放っておくと、心臓病を引き起こすこともあります。
ビタミンやカルシウムなどをきちんと摂取して、不整脈の改善につとめましょう。
検診で『不整脈』と言われたまま放置していませんか?
不整脈は、放っておくと心臓の病気になるリスクも高まります。
この記事では、不整脈を改善するためにおすすめの食事や、避けるべき食品、不整脈のリスクについて解説します。
不整脈の原因や種類を解説!
1. 不整脈とは
不整脈とは心臓のリズムが乱れ、脈の打ち方がおかしくなる状態です。通常は、1分間に50~100回くらいの規則正しい脈が確認できます。
しかし、脈の打ち方が速すぎたり遅すぎたりと、規則正しくない場合を不整脈といいます。
2. 不整脈の原因は?加齢やストレスなど
不整脈の原因は、加齢・ストレス・生活習慣の乱れなどが考えられます。とくに多いのは加齢だとされています。
いつもとちがう動悸がしたり、検診などで脈をとったりしたときに、不整脈に気づくことが多いです。
普段から脈拍数を把握し、早めに改善にとり組めるようにしましょう。
3.不整脈の種類
頻脈(ひんみゃく)
通常よりも脈が異常に速くなることを『頻脈』といいます。
緊張や運動のあと以外で、脈拍が急に1分間に140回以上にもなる場合は危険です。
徐脈(じょみゃく)
通常よりも脈が遅くなることを『徐脈』といいます。脈拍が1分間に40回以下まで低下した場合、危険な状態と考えられます。
期外収縮
通常、規則正しく一定のリズムを繰り返している脈拍が、一瞬飛んだりリズムがおかしくなったりすることを『期外収縮』といいます。
4.若い世代でも不整脈が増加
ストレスや食生活が原因で、若い人にも不整脈が増えている
近年、ストレスの増加や食事の欧米化が原因で、若くして不整脈を患う人が増えてきています。不整脈は自律神経の乱れによる可能性が大きいと考えられています。
若い年齢でのストレスや生活習慣の乱れは、高血圧や糖尿病にくわえ、不整脈を発症するリスクが高まります。
とくに女性は注意!
女性に多く見られる、貧血・バセドウ病・低血圧・ストレス・肩こり・パニック障害などから、不整脈になる場合もあります。
これらの症状に心当たりがある方は、気をつけましょう。
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食事療法で、不整脈の改善につとめよう
不整脈は食事から改善・予防することが可能です。
まずは、日々の食生活を見直して生活習慣を整えていくことが大切です。
1.不整脈にはNG!なるべく避けたい食事
「血行を悪くするもの」や「血圧を上げるもの」、「体を冷やすもの」は、できるだけ避けることをおすすめします。具体的には、次のような食品です。
カフェインを多く含む食べ物は、脈拍を乱す
コーヒーやチョコレートなどカフェインを多く含む食べ物は、交感神経を刺激して脈拍のリズムを乱しやすい傾向があります。
また、チョコレートに多く含まれている大量の砂糖は、自律神経の乱れにつながり不整脈のリスクを高めます。適量にしておきましょう。
塩分の取りすぎに注意!
塩分のとりすぎは高血圧につながります。高血圧になると、心臓に負担がかかり不整脈のリスクが高まります。
2.積極的にとりたい食事
緑黄色野菜をたっぷりと!
自律神経の乱れを整えてくれるビタミンA(β-カロテン)を多く含む「緑黄色野菜」は積極的にとりましょう。
緑黄色野菜とは、かぼちゃ・人参・ほうれん草などの色の濃い野菜です。
カルシウムでストレス軽減!
ストレスの予防には、カルシウムを多く含んだ小魚や乳製品もおすすめです。小松菜やほうれん草など、緑黄色野菜にもカルシウムを多く含むものがあります。
ビタミンCもストレスを軽減!
ブロッコリーやほうれん草、パプリカなどの野菜、芋類、キウイやいちごなどのフルーツに多く含まれる「ビタミンC」もストレスを和らげます。
神経の安定には『ビタミンB』、『ビタミンE』
さらに、神経を正常に保ってくれる「ビタミンB」、「ビタミンE」も意識してとりましょう。
ビタミンB群は豚肉、レバー、納豆、卵、乳製品などに多く、ビタミンEはピーナッツやアーモンドなどのナッツ類やうなぎ、かぼちゃなどに多く含まれています。
※主にワーファリンというお薬を飲まれている方、主治医から上記に当てはまる食品の摂取について指導をされている方は、控えたほうがよい場合もあります。
3.体に溜めておけない栄養素も!毎日とることを意識
ビタミンA、カルシウム、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEは、体に溜めておくことができないため、毎日意識してとるとよいでしょう。
しかし、これらばかりを意識して偏りすぎてもバランスが乱れます。バランスのとれた食事を心がけましょう。
4.飲酒や喫煙も、不整脈の人はなるべく控える
喫煙は心臓に負担をかけ、飲酒はアルコールにより不整脈を起こしやすくなります。
とくに、一度でも不整脈を起こしたことがある人は、こうした嗜好品のとり方に注意が必要です。
不整脈は放っておいてもいい?リスクについて解説
1.動悸などは放置せず、病院の受診を
脈のリズムが乱れる『期外収縮』は放置しておいても問題ないこともありますが、危険な場合もあるのでやはり注意が必要です。
とくに、数秒間脈が止まる状態が続く場合は、血圧の低下やめまいなどにつながります。動悸などの自覚症状がある場合は、放置せずに病院を受診することをおすすめします。
最初に受診する診療科目は内科でも構いません。症状に応じて循環器内科や心臓血管外科を紹介されることがあります。
2.突然死のリスクが高い心臓の病気に注意!
不整脈は、突然死の原因となる場合もあるので注意が必要です。
とくに、心筋梗塞・狭心症・心筋症・などの突然死のリスクが高い心臓の病気は、不整脈が原因となることがあります。
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3.不整脈が引き起こす病気
心房細動
心房細動とは、心臓のペースメーカーの役割を果たしている『洞房結節(どうぼうけっせつ)』の動きがスムーズに伝わらなくなる病気です。
心室の収縮が一定でなくなるため、脈も不規則でやや速くなり、かなり強い動悸を感じます。『脳梗塞』や『心筋梗塞』などの原因にもなるため、とくに気をつけましょう。
・心房細動による『脳梗塞』
心房細動が原因ですぐに死につながることは少ないですが、心房細動が続くことで血栓(血のかたまり)ができやすくなります。この血栓が脳で詰まり、脳梗塞を起こしてしまうのです。
・心房細動による『心筋梗塞』
心房細動はとても速いスピードで心臓(心房)が動いている状態なので、長期間継続すると心機能が低下し、心筋梗塞や心不全を起こしてしまいます。
〈心室細動〉
心室細動を発症した際は、意識を消失し、呼吸停止に陥ります。脈がふれなくなるため、直ちに心肺蘇生術、AEDの使用が必要です。
心室筋が不規則に興奮する状態で、心拍出量が失われる状態になります。
・心室細動による『急性心筋梗塞』
心停止、つまり心臓が停止している状態と同じで、すぐに治療をおこなわなければ死に至ります。
そのため、「急性心筋梗塞」を発症して、病院に到着する前に死亡してしまうケースのほとんどが心室細動によるものになります。
・強い胸部打撲でも発症する
強い胸部打撲でも心室細動を発症することがあります。そのため、スポーツ選手が試合中に胸部を打撲し倒れ、AEDの使用で助かったのを見聞きされた方もいらっしゃるでしょう。
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まとめ
『不整脈』は、放置しても問題ないと思われがちですが、死につながるものもあります。
自分では気がつかないことも多いので、定期的な検診で普段の脈拍を確認しておくことが大切です。
また、食生活を整えることが、『不整脈』の予防につながります。
同じものばかりでなく旬の食べ物、色鮮やかな食べ物などを摂取すると、自然とバランスがとれやすくなります。
まずは、生活習慣から少しずつ見直していきましょう。
また、少しでも体調に違和感があるときは早めに病院を受診しましょう。
執筆・監修ドクター
経歴1996年 埼玉医科大学卒業
1997年 埼玉医科大学第一外科入(一般外科、呼吸器外科、心臓血管外科)終了
1999年 戸田中央総合病院心臓血管外科医として就職
2000年 埼玉医科大学心臓血管外科就職
2006年-2012年3月 公立昭和病院心臓血管外科就職
2012年4月 岡村医院、医師として勤務
2012年7月 岡村クリニック開院
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