熱中症で後遺症が残る!?危険な症状を回避するための対策とは?
「熱中症で搬送された」というニュースをよく耳にします。
最近では真夏日、猛暑日が続き、激しい運動をしていなくても屋外にいるだけで熱中症になってしまう危険があります。
熱中症になってしまっても症状が回復すれば大丈夫と思われがちですが、実は熱中症の後遺症が問題となっているのです。
ここでは熱中症の後遺症について詳しく解説していきます。
熱中症の後遺症について
なぜ後遺症が残るのか?
症状が回復したのになぜ後遺症が残ってしまうのでしょうか。
まず、熱中症になるメカニズムを説明します。
私たちの体の中では常に「熱」が作られています。
その熱は体の中にたまらないよう汗をかいて水分を放出したり、血管の弛緩により皮膚から熱を放出したりして調節しています。
この機能を「体温調節機能」と言います。
人間の体温が36℃~37℃に保たれているのはこの機能のおかげです。
しかし、気温や湿度が高い場所に長時間いると体温調節機能がうまく働かず体温が上昇し、体内の水分や塩分が失われます。
その結果、脳を含む体内の多くの細胞が破壊されてしまうのです。
この状態が熱中症です。
そして、破壊された細胞は回復に時間がかかるため後遺症として残ってしまうのです。
熱中症の後遺症にはどんなものがある?
後遺症として多くみられる症状は以下の4つになります。
①脳梗塞
一見、冬に多いと思われがちな脳梗塞ですが、実は夏場は特に脳梗塞が多くなります。
汗により水分が多く体外に出てしまうことで脱水症状を引き起こし、さらに血液が濃くなってドロドロになり血管が詰まりやすくなってしまうためです。
②認知障害などの中枢神経障害
脳への直接的なダメージの他に脳内の伝達物質の過剰分泌や血液が固まって血栓を作ってしまうことが原因で脳細胞が傷つき、発症します。
嚥下障害や記憶障害が代表的で、障害が残りやすいと言われています。
③自律神経失調症
交感神経が活発になることで、副交感神経とのバランスが崩れることにより自律神経失調症になってしまいます。
体温調節を司っている自律神経の乱れで起こる症状として頭痛や耳鳴り、関節痛、微熱、食欲不振、不安感などがあります。
特に消化器系は影響を受けやすいため吐き気が起こることが多くあります。
このように自律神経失調症と熱中症は症状が本当によく似ており、元々自律神経失調症であった人は熱中症にかかりやすいというデータもあります。
④筋肉痛
筋肉細胞の破壊が原因で筋肉痛が起こると言われています。
これは運動をした後におこる筋肉痛と同じメカニズムになっており、熱中症の後遺症として残りやすい症状になります。
熱中症の後遺症はどれくらい続く?
ダメージを受けた身体の中の機能は修正や修復までに時間がかかります。
熱中症の症状が回復してから、1か月程度は続くといわれています。
重症の場合は1年以上、最悪の場合は一生残ってしまうこともあるため注意が必要です。
熱中症の後遺症にはどう対処する?
熱中症の後遺症がある間の過ごし方
涼しい場所でゆっくり過ごしましょう。
規則正しい生活をし、ストレスや疲れを溜めないように体調管理をすることが大切です。
しかし、安静にしていても症状が長引き調子が良くならない場合は病院を受診するようにしましょう。
また尿が出にくかったり、色が濃くなったりしている場合は腎臓に異常が起きている可能性があるためすぐに受診するようにしてください。
市販薬を飲んでもいい?
熱中症の頭痛や食欲不振は脱水により起こっている可能性が高いため、市販薬を服用するのはおすすめできません。
きちんと水分補給をして体内の電解質バランスを正常に保つことが大切です。
食欲がない時の食事について
ビタミン、ミネラル、たんぱく質を積極的に摂取しましょう。
細胞の修復と再生、体力の回復に役立ちます。ここでおすすめのレシピをご紹介します。
鮭ときのこの雑炊
材料/1人分
- ご飯 茶碗1膳分
- 鮭 1切れ
- しめじ 1/2パック
- えのき 1/2パック
- たまご 1個
- みそ 大さじ1
- だし汁 1/2カップ
- 小ねぎ 適量
作り方
①鮭は両面をこんがり焼いてほぐします。
②鍋にだし汁を沸かし、ご飯を加えてとろみがつくまで煮ます。
③しめじは小房にわけ、えのきは石づきをおとしほぐします。
④②に①と③、みそを溶き入れさっと煮て、溶き卵を回しいれます。
⑤お好みで小口切りにした小ねぎをのせたら完成です。
「全く何も食べられない」という人には、夏が旬の「すいか」がおすすめです。
水分とカリウムが豊富に含まれているので、熱中症の予防にも後遺症にも最適です。
さらに塩をひと振りすれば塩分も摂取でき一石二鳥です。
まとめ
熱中症は、後遺症になってしまうと大変なので、予防をするに越したことはありません。
昼夜問わず屋内にいるときも、無理せずクーラーを使うなどして熱をこもらないようにすることが大切です。
また、寝不足や夏バテなどの体調不良時にはかかるリスクがぐっと上がります。
日ごろの体調管理はもちろん、高温の場所に長時間いないようにし、こまめに水分補給をするなど対策をしっかりとりましょう。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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