動悸がして息苦しい…ストレスは関係する?原因や症状をチェック
- 目次
動悸とは
「動悸」とは、ふだんは意識しない心臓の鼓動(拍動)を、さまざまなかたちで感じることをいいます。
病名ではなく、症状の名称です。
心臓の動きが乱れて鼓動が強い、速いなど自覚の仕方は人によって異なりますが、不快感や違和感として覚えられる場合は動悸と表現されます。
心臓がバクバク、ドキドキ。動悸にはさまざまなパターンがある
ひとくちに動悸といっても、その感じ方にはいくつかのパターンがあります。
「ドキドキ」と心拍が速くなる、「ドカンドカン」と大きく強く打つ、心臓が「バクバク」する、一瞬だけ「ドキッ」として胸が詰まる、「ンッ」と何回かに1回、脈が飛ぶといったケースが多くみられます。
寝起きや食後、あおむけに寝る、横になると動悸が起きることも
動悸が起きるタイミングもさまざまです。寝起きや夜間、食後など特定のタイミングや横になる、あおむけになるといった一定の動作が引き金になって起きる場合もあります。
イライラ、緊張など精神面に負担がかかったときに起きることもあれば、一日中動悸が続いて止まらないなどの症状を訴える人もいます。
動悸は心臓の病気やストレス、高血圧症、貧血、更年期障害などが原因で起きることが多い
動悸が起きる原因は心臓の病気だけではありません。
ストレスや心の病気、ホルモン異常、高血圧症、貧血などの疾患や生活習慣などでも引き起こされます。
動悸の症状から読み取れる心臓の病気は主に以下が考えられます。
心臓の病気
不整脈
不整脈とは、心臓の働きが異常を起こし、脈拍が乱れた状態のことをいいます。
心臓は心筋(心臓を構成する筋肉)に、右心房にある「洞(どう)結節」から発生する電気刺激が伝わることによって、規則正しく1分間に60~80回程度の収縮を繰り返しています。
この電気信号が、なんらかの理由で異常をきたすことによって、不整脈が引き起こされます。
不整脈には多くの種類がありますが、多くみられるのが「期外収縮」と「心房細動・心房粗動」です。
期外収縮
期外収縮とは、正常時より速く心臓に電気信号が伝わることで起きる不整脈です。
病気が原因ではないことも多く、年齢や体質によって起きる不整脈で、30歳以上であればほとんどの人にみられます。
一瞬だけドキッとする、ドキンと胸がつまったような感じ、脈が飛ぶ、乱れて不規則に打つといった動悸がみられ、胸が痛む、あるいは胸部に重苦しさや、圧迫感があるといった症状もともないます。
寝起き、食後に症状がみられる場合もあります。
心臓の疾患がみられない期外収縮は、基本的に経過を観察し、治療の必要はありません。
ただし、症状が強い場合は抗不整脈薬や、安定剤を服用します。
心房細動・心房粗動
心房細動・心房粗動は心臓が速く動くことで起きる不整脈です。
1分間に400~600回の頻度で無秩序に心房が収縮する状態を「心房細動」、心房の収縮は規則正しいものの1分間に250~400回動く状態を「心房粗動」といいます。
どちらもドキドキと心拍数が早くなる、不規則に脈が打つ動悸があり、めまい、胸が痛む、胸苦しいなどの症状をともないます。
狭心症
狭心症とは、心筋に血液を送る冠動脈の血流が滞る病気です。
症状としては動悸・息切れや、胸痛などが発作的にあらわれます。
特に胸の中央部が締め付けられるように痛む特徴があり、左肩や左腕、顎までひろがることもあります。
狭心症は進行すると心筋梗塞に至り、命に関わる危険性もあるため注意が必要です。
心不全
心不全(しんふぜん)とは心臓の機能が正常に働かないことで、全身に血液を送り込めない状態のことをいいます。
大きくは「慢性心不全」と「急性心不全」に分かれます。
慢性心不全は、長期間にわたって徐々に心臓の機能が悪化します。
初期の段階では運動したときに動悸・息切れがみられますが、次第に階段を上り下りする程度でも症状があらわれます。
疲労感、頑固な咳(せき)、下半身のむくみをともない、横になると動悸がひどくなることもあります。
さらに進行すると安静にしていても息苦しく、睡眠時に呼吸困難などが起こるようになります。
急性心不全は、慢性心不全でみられるような症状が突然あらわれ、呼吸困難を引き起こし、命に関わる危険性が高いため救急処置が必要です。
心膜炎
心膜炎は心膜(心臓を外側から包む膜)が炎症を起こしている状態をいいます。
細菌やウイルスの感染によることが多く、薬物、アレルギーなどの場合もあります。
まれにコロナウイルスに感染したときの合併症、ワクチン接種時の副反応として発病する場合があります。
最初は悪寒、発熱、頭痛など風邪と似た症状、吐き気、下痢といった胃の不調から始まります。
数日間のうちに、動悸、息切れ、胸や背中の痛みなど心臓の症状があらわれます。
病状の程度は個人差がありますが、急激に悪化してショック状態になったり、重い心臓機能障害を引き起こすことがあるため、入院での治療が必要になります。
ストレス・心の病気
過度なストレス
心拍は交感神経と副交感神経によって調整されています。
過度なストレスによって、交感神経が活発になると心拍数が増加しやすくなります。
ストレスによる動悸であっても長引く場合は、心臓の病気に移行することがあるため、病院で診察を受けることをおすすめします。
パニック障害
パニック障害は突然、不安発作が起こり何度も繰り返される病気です。
動悸、呼吸困難、吐き気、手足の震え、めまい、発汗といった症状が引き起こされます。
脳機能の異常やトラウマ(心的外傷)、蓄積されたストレスが原因とされています。
過換気症候群
過換気症候群は突然、呼吸過多になる発作を起こす病気です。
呼吸が必要以上に早くなり、呼吸困難に襲われて、動悸、けいれん、めまいや、口周辺および手足のしびれなどの症状が引き起こされます。
重症の場合は、全身がけいれんして失神することもあります。
不安・緊張感や極度の疲労が原因となることが多く、若い女性に発症しやすい傾向があります。
うつ病
うつ病は脳のエネルギーが欠乏して、意欲の低下、憂うつな気分といった心の症状と、身体の不調があらわれる病気です。
身体的な症状として動悸、疲れやすい、身体がだるい、食欲不振、胃のもたれ、睡眠障害、頭痛、肩こりなどのトラブルがみられます。
自律神経失調症
自律神経失調症は、ストレスのために自律神経が正常に働かないことで起こる、さまざまな症状の総称です。
内臓を調整する働きをもつ自律神経がバランスを崩すため動悸、疲れやすい、めまい、耳鳴り、頭痛、腹痛、下痢、便秘などさまざまな不調が引き起こされます。
心臓神経症
心臓神経症は、心臓に異常がないにも関わらず、心疾患にみられる症状が繰り返される病気です。
原因はストレスや過労などが考えられています。動悸、胸痛、息切れ、呼吸困難、めまいなどがあらわれ、特に更年期の女性に多くみられます。
ホルモンの異常
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進(こうしん)症は甲状腺が活発に活動し、甲状腺ホルモンが体内で過剰になる病気です。
原因の大半は、自己免疫疾患のひとつであるバセドウ病です。動悸、息切れ、疲れやすい、よく汗をかく、体重減少といった症状がみられます。
目が飛び出してくるという特徴もあります。
20~30代の女性に多い病気です。
更年期障害
動悸は更年期障害において、よくみられる症状のひとつです。
閉経にともない、女性ホルモンのひとつである「エストロゲン」の分泌量が低下し、自律神経が乱れることによって動悸や胸が締め付けられるといった症状が引き起こされます。
そのほかの病気
高血圧症
高血圧症は心臓や血管に大きな負担を与えるため、動悸の原因になることがあります。
高血圧症は目立った自覚症状は少ないですが、合併症の危険性がある場合には動悸、息切れ、めまい、頭痛があらわれる傾向があります。
貧血
貧血になると心臓が少ない血液で、体内の循環機能をまかなうために働きが過剰になります。
その結果、心拍数が速くなり、動悸として自覚されることがあります。
低血糖症
低血糖症は、血糖値が必要以上に下がった状態をいいます。
糖尿病の薬による治療の際に起きることが多く、初期の段階では動悸、冷や汗が出る、吐き気がするといった症状がみられます。
さらに低下が続くと脱力、ろれつが回らない、目のかすみといった症状があらわれ、意識不明になる場合もあるため注意が必要です。
生活習慣
睡眠不足、カフェイン、アルコール、たばこの過剰摂取は自律神経の乱れを引き起こし、動悸の原因になりやすいため、気を付けましょう。
薬の副作用
薬の副作用で動悸が起こる場合もあります。
血管拡張薬、気管支拡張薬、降圧薬の一部に脈拍を速くするものがあるため、気になる場合は医師や薬剤師に相談しましょう。
動悸の対処法と救急車、往診が必要な場合とは

動悸が起きた場合、すべてが命に関わるものではないので、冷静に対応しましょう。
ただし、「危険な動悸」の場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。
まず、楽な姿勢で深呼吸をする
動悸がしたら、まず、椅子に座ったり、横になったりして楽な姿勢をとり安静にしましょう。
不安になって慌てふためくと、自律神経が乱れて心拍が早くなり、悪化してしまうことが多いためです。
気持ちを落ち着けるために深呼吸を心がけると、症状がやわらぐ場合もあります。
脈拍をとってみる
安静にしたら、脈拍をとってみましょう。
手首の脈を感じられる場所に人さし指、中指、薬指の3本をおいて、時計をみながら15秒間、脈拍の数をカウントします。
この数値を4倍にして、1分間あたりの安静時脈拍数を導きます。
1分間に約50~100回、規則正しく脈拍が打ち、息苦しさや胸の痛みを感じない場合は、精神面が原因となっている可能性が高い動悸です。
脈拍数が1分間に50回以下あるいは100回以上、脈が飛ぶ、不規則な場合は不整脈が疑われます。
しばらくして症状が落ち着いたら、早めに病院を受診しましょう。
危険な動悸の場合はすぐに救急対応を
すぐに医療機関を受診すべき危険な動悸もあります。
以下のような症状がみられる場合は、心筋梗塞、心不全など命に関わる危険性があるため、すぐに救急車や往診を呼ぶなどの対応を行いましょう。
危険な動悸
- 安静にしていても脈拍が1分間に140回以上打っている
- 動けないほど激しい動悸
- 胸が痛む
- 呼吸困難
- 冷や汗が出る
- 吐き気がする
- ふらつき・めまい
- 意識が遠のく
動悸があって呼吸が浅く、息苦しい場合は気管支炎など肺のトラブルも考えられる
動悸に加えて息苦しい、呼吸が浅いといった症状をともなう場合は、心臓ではなく肺の疾患も考えられます。動悸から考えられる肺の病気は、主に以下のようなものが挙げられます。
気管支喘息
気管支喘息は、気管支が収縮して狭くなり呼吸困難になる病気です。アレルギーなどなんらかの物質に反応して引き起こされます。
症状としては、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音がする「喘鳴(ぜんめい)」が続いて息が苦しい、咳、胸の痛み、動悸などがみられます。また、夜間や早朝に発作が起きやすい傾向があります。
急性気管支炎
急性気管支炎は、気管支の粘膜が炎症を起こしている状態をいいます。ウイルスの感染などが原因で引き起こされ、咳、痰、発熱、倦怠感といった症状があらわれます。
また、のどから胸にかけての痛み、あるいはヒリヒリするような感じや、動悸がみられる場合もあります。
肺炎
肺炎は、細菌やウイルスなどの感染で肺胞(はいほう 肺に存在する袋)や、その周辺組織に炎症が起こる病気です。
細菌やウイルスなどの感染によって引き起こされ、痰が絡んだ咳が出る、息苦しい、動悸、胸が痛む、発熱、頭痛、悪寒、息切れといった症状がみられます。
自然気胸
自然気胸(ききょう)とは、肺に穴が開いて空気がもれ、胸腔(きょうこう)にたまった状態をいいます。肺が縮んでしまうため息苦しくなり、酸素不足で動悸が引き起こされます。
また、胸や背中、肩などに痛みをともなうこともあります。明らかな原因がなく発症し、若いやせ型の男性に多くみられる疾患です。
肺塞栓症(肺梗塞/エコノミークラス症候群)
肺塞栓(そくせん)症は、体内にできた血栓(血のかたまり)によって、肺の血管が詰まってしまった状態のことをいいます。
飛行機や車で長時間同じ姿勢をとっていることが原因で起きる「エコノミークラス症候群」は肺塞栓(そくせん)症の別名です。呼吸困難、胸の痛み、動悸、血痰(けったん)、むくみといった症状があらわれます。
新型コロナウイルス
新型コロナウイルスに感染すると、熱や、咳、のどの痛み、倦怠(けんたい)感、筋肉痛、といった風邪のような症状、下痢、腹痛、吐き気、食欲不振といった消化器系のトラブルがあらわれます。
そのほか、息苦しい、胸が重苦しい、動悸といった症状もみられることがあります。また、治療後にも後遺症として動悸、息切れ、胸の痛みが続くことがあります。
動悸が気になるときはまず内科、循環器内科の受診を
執筆・監修ドクター
経歴1989年 関西医科大学卒業
1989年 関西医科大学附属病院内科 研修医
1992年 関西医科大学大学院医学研究科博士課程(循環器内科学専攻)入学
1996年 同大学院博士課程単位習得
1997年 関西医科大学附属病院第二内科(助手)
2003年 有隣会 東大阪病院内科 (副院長)
2010年 じくはら医院(内科・循環器内科) 開設(院長)
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