不安障害の原因はストレスや遺伝も!病院でうける治療と食事の改善法
日頃ささいなことで不安を感じる…というのは多くの人に経験があるのではないでしょうか。
しかし、不安がいつまでも続く、不安によって外出できない、仕事に行けないなど、日常生活を送れなくなる場合は不安障害の可能性があります。
この記事では、気になる不安障害の種類や対処法、過ごし方などについて解説します。
不安障害の原因は?
1.不安障害とは?簡単に解説!
不安障害とは、不安が異常に高く生活に支障をきたすもので、とくに小児期から思春期の若い世代で発症しやすい症状です。
誰しも不安や恐怖を感じることはありますが、その不安や恐怖が大きく、何も手につかないほど精神的に苦しい状態になります。
種類としては、パニック障害・社会不安障害・全般性不安障害・恐怖症(閉所恐怖症、高所恐怖症)などがあります。
2.不安障害のさまざまな原因
さまざまな原因が重なり発症しますが、おもに次のような要因が考えられます。
性格
心配性や完璧主義、神経質、こだわりが強い性格であると、発症しやすくなります。
ストレス
日々のストレスが蓄積されると余裕がなくなり、ささいなことでも感情的になり、不安におちいります。
過去に大きな不安や恐怖を感じた体験
過去にあった大きな不安や、幼少期に受けた虐待の恐怖などを抱えたまま生活している場合は発症しやすくなります。
遺伝
ご家族に不安障害の方がいる場合は、発症するリスクが高まるとされています。
この場合は親の感覚が遺伝することで、生まれつき他人よりも不安を感じやすい傾向があります。
不安障害の症状や、うつ病とのかかわり
1.不安障害の種類別の症状
パニック障害・社会不安障害・全般性不安障害・恐怖症(閉所恐怖症や高所恐怖症)のそれぞれの症状について解説します。
パニック障害
めまい、動悸、胸痛、呼吸がしづらくなる 、発汗、震え、意識を失うなどがあります。
社会不安障害
人前で話す、目上の人と会話をするなど、注目を浴びる場面で恥をかいてしまうのではないかと恐怖を感じます。
ひどい場合は、それらが原因で外出できなくなることもあります。
全般性不安障害
さまざまなことに不安を感じ、不安で眠れないなど日常の生活に支障があります。
恐怖症
特定のもの、対象、状況などに過剰に恐怖を感じます。
そのなかに高い所に恐怖を感じる「高所恐怖症」や、閉ざされたせまい空間に恐怖を感じる「閉所恐怖症」、「先の尖ったものや鋭いものに恐怖を感じる先端(尖端 )恐怖症などがあります。
2.不安障害は、うつ病を併発しやすい
不安障害と併発しやすいのがうつ病です。
さまざまな出来事で気持ちが沈んで憂うつになり、落ち込んだまま気分が回復しないこともあります。
そのため、うつ病を併発すると、ふだんの生活が送りづらくなります。
不安障害の治療について。何科を受診する?
1.何科に相談したらいいの?
不安障害の治療は精神科や心療内科などでおこないます。
行くことをためらう方もいらっしゃるかもしれませんが、不安障害は少しでも早く治療にとりかかることが大切です。
2.不安障害の治療法
薬物療法
<抗うつ剤>
抗うつ剤は、「セロトニン」というホルモンに似た物質を増やす作用があり、少しずつゆっくりと不安を改善させます。
<抗不安薬>
抗不安薬は即効性が高く、服用後15~20分ほどで効くものもあるため、不安が強まったときにすぐに服用することができます。
しかし、長期間で大量に服用すると身体が慣れてしまうことがあります。依存性があるため、継続する場合は注意しましょう。
<漢方薬>
漢方薬は薬物療法の中でも比較的ゆっくり効果があらわれます。
不安障害にとってお薬は有効ですが、これだけでは不十分ともいえます。
生活習慣の改善
<このような生活習慣がある人は注意!>
- 夜更かしや睡眠不足
- 運動不足
- ストレスを発散させられない
- 喫煙
- 過剰なアルコール
- 食生活の乱れ
<規則正しい生活を心がけましょう!>
睡眠不足はイライラや不安が高まる原因のひとつです。
早寝早起きを心がけ、ストレッチや散歩などを日課にすると、ストレスが発散され気持ちが落ち着いてきます。
<喫煙やアルコールもイライラのもと>
喫煙やアルコールも量が増えると落ち着きが無くなり、イライラしやすくなります。
<食生活を整えましょう>
食事が不規則な場合や過食や偏食がある場合は、栄養バランスが悪くなります。
とくに腸内環境が整っていないとセロトニンといわれる幸福物質がつくられず、イライラや不安を感じることがあります。
カウンセリング
不安や恐怖を感じる場面を確認し、そのような状況にどう対処していけばよいかを客観的に見直していきます。
また、不安を感じる状況にチャレンジし少しずつ慣れていくなど、いくつかの治療があります。
3.治療期間はどのくらいか
個人差があり治療期間はさまざまですが、治療を始めると何も手につかなかった状態から1年以内で少しずつ改善が見られることが多いです。
無理をしてしまうと再発する場合もあるため、ゆっくり根気よく治療していきましょう。
日常で気をつけたいこと
1.食事や体調管理について
食事は適量を見直しましょう
漠然とした不安から過食や拒食を招くことがあります。過食や拒食が罪悪感となり、さらに落ち込む場合もあるため、毎食適度に食べることが大切です。
朝食を抜いていたり、おやつや間食が多い場合も気をつけましょう。
一汁三菜を目標に!
一度の食事で次のメニューを摂ると栄養バランスがよくなり、心身も整ってきます。
- ご飯
- みそ汁(スープ)などのお汁
- お肉・お魚・豆腐・卵などのたんぱく質が入った主菜
- 野菜の和え物や煮物、サラダなどの副菜を2品
2.よく噛んで食べましょう!
噛むことで規則的なリズムができ、ストレスが解消されるだけでなく、栄養素を腸でしっかり吸収できます。
3.大豆や豆腐を食べて「ドーパミン」や「セロトニン」を摂取
幸福物質であるドーパミンやセロトニンを体内でしっかり作るためには、チロシンやトリプトファンというアミノ酸を食物から積極的に摂取することをおすすめします。
チロシンは、高野豆腐や大豆、豆腐、豚肉や鶏肉に多く含まれます。
4.自分の心地よいストレス解消法を!
ストレスの蓄積が不安につながる
日々のストレスが蓄積されると心の余裕がなくなり、感情的になることでまた不安を感じます。
そうならないためにも、自分なりのストレス発散法をいくつか見つけておきましょう。
ストレス発散は自分が心地いいことが大切
気軽にできる運動なら、たまには一駅先まで歩く、休日にのんびり散歩してカフェでゆっくりコーヒーを飲むなどはどうでしょうか。
お風呂に好きな入浴剤を入れてリラックスするなど、5分ほどでできることでも効果があります。
5.ひとりで悩まないで
不安障害かもしれない…と思ったらひとりで悩まず、少しでも早く専門家にカウンセリングしてもらうか、誰かに相談しましょう。
話すことで気持ちが安定し、少しずつ良い方向に向かっていきます。適切な治療を続けることで改善していきます。
まとめ
不安を感じてしまうのは自分の気持ちの持ちようなどと思い、先延ばしにしてがんばりすぎてしまうと、どんどん症状が悪化します。
症状に応じた適切な治療を、少しでも早くはじめましょう。
執筆・監修ドクター
経歴1986年 浜松医科大学 ・同大学院修了 博士(医学)卒業
埼玉医科大学精神医学教室,
2003年 石心会狭山病院(現埼玉石心会病院)精神科部長,
2007年 医療法人弘心会 武蔵の森病院副院長
2011年 医療法人弘心会 武蔵の森病院 院長
2019年 日本医療科学大学兼任教授
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