中性脂肪の基準値は?女性と男性の違いや、年代ごとの変化について
健康診断をうけて、中性脂肪が基準値より「高い」もしくは「低い」と診断されると、気になってしまいますよね。
この記事では中性脂肪の基準値はどれくらいか、また女性と男性の違い、年齢による変化について解説します。
高すぎも低すぎもだめ!中性脂肪の基準値について
1.中性脂肪とは?
血液の中を流れる脂肪のこと
『中性脂肪』とは、血液を流れる脂肪のことです。体のエネルギーともなる、大切な成分です。
血液検査の結果表などでは、『トリグリセライド(TG)』と表記されています。
中性脂肪とコレステロールとはどう違う?
『コレステロール』も、中性脂肪と同じく脂質です。
中性脂肪が体のエネルギーとなるのに対して、コレステロールは、『細胞膜』や『ホルモン』、『胆汁酸』を作る材料になります。
2.中性脂肪の基準値
中性脂肪の正常値は、『50~149mg/dl』です。
中性脂肪は、低すぎても高すぎても、健康に支障をきたしてしまいます。
3.中性脂肪は年齢とともに変化する
若年期(20代~30代)
若年期の中性脂肪の値は、ほとんどが正常値です。
しかし、ファーストフードなど外食の機会が多く、食生活が乱れやすい人は注意する必要があります。
また、若年期は食事の習慣を身につける、『食形成』の時期でもあります。
この時期に食生活が乱れると、後々、中性脂肪が高いことでかかる『脂質異常症』という生活習慣病を起こす可能性が高くなります。
壮年期(40代~64歳)
壮年期は、若いころについた筋肉が『飲酒』や『運動不足』によって、脂肪へと変わります。
基礎代謝が低下しやすく、中性脂肪の数値が高くなる傾向があります。
高齢期(65歳~)
高齢期に入ると、年齢とともに中性脂肪の値はゆるやかに下がっていきます。
食事の栄養バランスが崩れたり、1日2食になっていたりすると、中性脂肪が低くなりすぎることがあります。
4.男性と女性で中性脂肪の高くなる時期が違う?
男性は30代から中性脂肪が高くなる!
男性は、30代から中性脂肪の数値が高くなる傾向があります。
考えられる原因は、アルコールのとりすぎや運動不足、喫煙などです。
仕事の付き合いなどで、ついつい飲み過ぎてしまうこともあるかもしれません。飲み過ぎた時は休肝日を作るなどして、中性脂肪を正常に保つよう心がけましょう。
女性は更年期に入ると中性脂肪が高くなる!
女性の場合、更年期になると『エストロゲン』という女性ホルモンが減少します。
エストロゲンには、中性脂肪を抑制するはたらきがあります。そのため、閉経を迎えて更年期に入ると、中性脂肪の値が高くなります。
更年期に入って中性脂肪の値が高くなったら、食事量を見直し、よく噛んで食べるよう心がけましょう。
中性脂肪が高い・低い場合の原因とリスク
1.中性脂肪が基準値より高い原因とリスク
糖質や脂質のとりすぎ、運動不足が原因
中性脂肪は、食事で『脂肪』や『糖質』をとりすぎたり、『運動不足』であったりすることで数値が高くなります。
特に、過剰摂取に気をつける必要がある食品は、『牛肉や豚肉の脂身』や『ベーコン』、バターをたっぷり使った『洋菓子』や『パン』、糖質が多く含まれる『ジュース』、『アルコール』などです。
動脈硬化や心筋梗塞を引き起こすことも
中性脂肪やコレステロールの値が高いと、『脂質代謝異常』と診断されることがあります。
この状態が続くと、『動脈硬化』にかかる危険性が高まります。さらには『狭心症』や『心筋梗塞』、『脳卒中』などの病気を引き起こすこともあるのです。
2.中性脂肪が基準値より低い原因とリスク
エネルギーが足りなくなっているサイン!
中性脂肪は、体の中で『ブドウ糖』の次に使われるエネルギー源です。その値が低いのは、エネルギーが足りなくなっているというサインです。
遺伝やダイエット、病気などが原因
中性脂肪が低い原因としては、『遺伝』や『体質』、『栄養不足』、『無理なダイエット』、『過度な運動』などがあります。
また、『甲状腺ホルモンの異常』や『肝臓疾患』など、病気が原因で中性脂肪の値が下がっている、というケースもあります。
中性脂肪の基準値を超えたとき、下回ったときの対処法
1.それぞれのリスクに備えて検査をうける
基準値を超えたときの検査
中性脂肪が基準値を超えた場合は、『動脈硬化』が進行していないかを調べる検査を受けましょう。
動脈硬化は、放っておくと『心筋梗塞』や『脳卒中』を引き起こすこともあります。
基準値を下回ったときの検査
中性脂肪が基準値を下回った場合は、栄養状態を確認するために『血液検査』を受けるか、もしくは医師の診断を受けましょう。
肝臓や甲状腺に異常があることも考えられるので、その検査をおこなうこともあります。
2.生活習慣を見直す!
中性脂肪は、生活習慣を少し変えることで、数値に改善がみられることも多いです。
基準値を超えたら、糖質や脂肪、アルコールに注意
中性脂肪の値が基準値を超えた場合は、動物性脂肪の多い食品や、糖質、アルコールをとりすぎていないか振り返ってみましょう。
糖質は、特にお菓子やパン、ごはん、芋、くだものの摂取量を見直してみましょう。特に、夜くだものを食べると、くだものに含まれる『果糖』が中性脂肪に変わりやすいです。
また、運動不足から中性脂肪の数値が高くなっていることもあります。生活の中に運動を取り入れられると良いですね。
基準値を下回ったら、食事の量やバランスを見直す
中性脂肪の値が基準値を下回った場合は、食事のバランスや、量自体が足りているかについて、見直してみましょう。
あまり食が進まないときに、食事量を増やすのは、減らすよりも難しいこともあります。
一度に量を食べられないようであれば、5食などに分けてもかまいません。少しお腹がすいたら食べられるような、おにぎりなどを準備しておくことをおすすめします。
まとめ
中性脂肪は、高くても低くても、病気にかかるリスクがあります。
高い場合、低い場合、それぞれに合わせた対策が必要です。健康診断の結果をきっかけに、普段の食生活をいま一度見直してみましょう。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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