過敏性肺炎の原因はカビや鳥のフン!症状や自分でできる対策とは?
『肺炎』は、肺の中の気道以外の部分に、炎症が及んだ状態です。
肺炎はさまざまな原因で起こりますが、『過敏性肺炎』の場合は『アレルギー反応』が原因です。
この記事では、過敏性肺炎を引き起こす原因物質や治療法、かかったら気を付けることについて解説します。
過敏性肺炎について
1.過敏性肺炎とは
『過敏性肺炎』は、肺にある『肺胞』や『細気管支』の、内部または周囲に炎症が起こる病気です。比較的30代~50代が発症することが多いですが、子どもにかかることもあります。
春から秋にかけて発症数が多くなります。特に夏は、過敏性肺炎を引き起こす「カビ」が繁殖しやすく、発症も増えます。
2.過敏性肺炎の原因
カビや鳥の排泄物、ポリウレタンの材料などが原因に!
過敏性肺炎の原因は、さまざまな有機性物質や化学物質を吸い込むことです。たとえば、『カビ』や『鳥類の排泄物』、『きのこの胞子』、『ポリウレタンの原料』などが挙げられます。
カビの中でも「トリコスポロン」が原因のことが多い
カビの中でも、特に『トリコスポロン』と呼ばれるカビが原因のことが多いです。
トリコスポロンは、小さく飛散しやすいカビです。湿気が多く、日当たりや風通しの悪い場所で発生しやすく、特に台所や浴室は要注意です。
原因物質に肺がアレルギー反応を起こして、発症する
これらの原因物質が、体内で異物である『抗原』と認識され、対抗するために『抗体』が作られます。
その状態でくり返し原因物質を吸い込むことで、肺がアレルギー反応を起こします。肺に慢性的に炎症が生じ、せきなどの症状があらわれるようになります。
3.過敏性肺炎の症状
せきや発熱、倦怠感、息切れなど
過敏性肺炎の症状は、『せき(乾いたせきで、痰はからまないことが多い)』や『発熱』、『悪寒』、『倦怠感(だるさ)』、『息切れ』などです。
少量を長期間吸い込み続けると、呼吸困難になることも
抗原を少量ずつ、長期間吸い込んでいる場合は、症状の出現が遅れて、徐々に病気が進行していくことがあります。
『慢性的なせき』や『体重減少』などがあらわれ、重症化すると『呼吸困難』や『呼吸不全』にもつながります。
大量に吸い込み、突然発症することもある
また、大量の抗原を急激に吸い込むことで、発熱などの症状が出て、せきや呼吸困難などの『急性発作』が起こることもあります。
こうした場合、原因物質から離れることで、数日内に症状の改善がみられるケースがほとんどです。
過敏性肺炎の検査や治療について
1.過敏性肺炎の検査
過敏性肺炎が疑われる場合、『胸部X線検査』や『胸部CT』によって、肺を撮影して画像を確認します。
加えて『肺機能検査』で、肺が吸い込む空気の量や肺機能を確認します。
さらに、『血液検査』では抗体の検出を行ない、原因となる物質を特定します。
2.過敏性肺炎の治療
まずは、抗原を避けることが大切
過敏性肺炎の場合、抗原から遠ざかることが治療になります。
症状が軽ければ、抗原を避けるだけで治まることもあります。一方で、入院したり仕事を休んだりして症状がよくなっても、再び抗原に触れるとまた症状があらわれたり、悪化したりしてしまいます。
安静にして、酸素吸入や解熱鎮痛薬を用いる
治療中は安静に過ごして、『酸素吸入』や『解熱鎮痛剤』などを用います。
重症の場合、ステロイド薬を使用することも
重症の場合は、ステロイド薬である『副腎皮質ホルモン剤』を使用することもあります。副腎皮質ホルモン剤を服用することで、炎症や免疫異常に対する治療効果が期待できます。
過敏性肺炎にかかった場合の対策
1.職場での対策
職場が原因となった場合の対策としては、粉じんの除去や減少、防塵換気設備を整える、防塵マスクの着用などが必要です。
必ずしも症状が治まるとは限りませんが、予防効果が期待できます。
2.カビを避けるために。空調や加湿器に注意!
自宅ではカビそうじを徹底する
カビは高温多湿を好むので、湿ったところや木造住宅などは、注意が必要です。
過敏性肺炎を予防するためには、住居のカビそうじを徹底することが大切です。エアコンなどの空調設備や加湿器、お風呂場は特に念入りにおこないましょう。
職場にカビが潜んでいることも…
また、自宅だけでなく職場にカビが潜んでいることもあります。その場合は、職場から離れることで改善がみられることが多いです。また、予防としてマスクを着用するようにしましょう。
3.鳥類のペット飼育について
鳥の排泄物が過敏性肺炎を引き起こすことも
鳩やインコ、ニワトリなど鳥類の排泄物中にあるタンパク質が、過敏性肺炎の原因となることもあります。そのため鳥を飼っている人や、周りの人にも発症する可能性があります。
症状が出たら、飼育は避けたほうが良い
症状が出た場合は、鳥類の飼育は避けることをおすすめします。少量の抗原を長期間吸入することで、症状が慢性化して、呼吸困難などを引き起こす恐れもあります。重症化することで、治療も難しくなってしまいます。
4.外出時はマスクを着用!
外出時はマスクなどを着用し、原因となる物質に接触しないよう心がけましょう。
まとめ
過敏性肺炎は、早期発見により、症状の悪化を防ぐことができます。
息苦しさなどの症状が続くと、食欲の低下につながり、全身の健康状態を悪化させてしまうこともあります。せきが続くなど、気になる症状があれば、早めに内科や呼吸器内科を受診し、治療をうけましょう。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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