血圧で左右差があるのはなぜ?差が大きいと危険!考えられる病気とは
日常生活を送るうえで、血圧の左右差を気にする方は少ないかもしれません。
しかし血圧を測定するときは、どちらか一方の腕(特に右側)で行うことが多く、そのことに疑問を感じている方もいるかと思います。
この記事では血圧の左右差について、病気の可能性と併せて解説していきます。
血圧は左右差があるの?
1.右腕の方が多少血圧は高い
健康な人でも血圧は左右で異なり、身体の構造上左よりも右の方が若干高くなる傾向があります。
これは大動脈から上腕に向かう鎖骨下動脈が、右側の方が少し早く分岐するためです。
また血管の大きさも左右非対称なので、基本的に左右でまったく同じ結果が出ることはないと言えます。
2.右腕で血圧を測定する理由
一般的に血圧は右腕で測定しますが、これには理由があります。
既述の通り、身体の構造上右腕で測った方が血圧は多少高く出ることだけでなく、右腕の方が高いことが臨床データとしても多く、一番高い数値を知ることでリスクを配慮できるためです。
3.左右差が大きい場合は要注意
血圧の左右差が「10㎜Hg」以上ある場合は要注意です。
この場合、血管の病気が影響している可能性があります。
血圧の左右差が大きい場合に考えられる病気
最も可能性が高いのは、動脈硬化や動脈炎です。
1. 動脈硬化とは?
動脈硬化は動脈の壁が厚くなることで、弾力性が低下する病気の総称です。
通常、血管はしなやかで弾力があります。弾力があるからこそ、細い組織まで健康な血液が届き、血液が通過する際も血管がふくらみ、血液の圧力を受け止めることができます。
動脈硬化は自覚症状のないまま進行し、動脈を閉塞させることもあるため、「サイレントキラー」とも呼ばれます。
症状
初期の症状は、無症状のことがほとんどです。
動脈硬化の部位や進行具合により違いますが、痛みや筋肉のけいれんが起こることがあります。
血管内が狭くなったり、詰まったりして、必要な酸素や栄養がいきわたらず、臓器や組織が正しく機能しなくなります。
さらに血管が詰まると、臓器や組織に血液が流れないため、壊死してしまうこともあります。
原因
高血圧・脂質異常症・糖尿病などの病気のほか、飲酒・喫煙・ストレスといった生活習慣も原因となります。
そもそも高血圧や脂質異常症、糖尿病なども生活習慣の乱れからくるものなので、飲酒や喫煙を控えたりストレスをためこまないようにしたりすると、動脈硬化の予防にもつながるでしょう。
2. 動脈炎とは?
原因不明の疾病で、慢性の血管の炎症を引き起こし、主に直接心臓につながる「大動脈」と、そこから分岐する「肺動脈」に起こり、その血管から繋がっている組織へ十分な血液を送ることができなくなります。
通常は繰り返して発症することはありませんが、食欲不振、体重減少などが起こります。
血圧が左右で大きく異なる場合の対処法
血圧の左右差が大きい場合、血管の内側の空間が、どこか狭くなって、動脈硬化が隠れていることがあります。
左右の血圧の差が、15~20mmHg以上もある場合は注意が必要です。
1.病院で検査を受ける
血圧が左右で10㎜Hg以上ある場合は、血管の病気が隠れている可能性があるため、病院を受診しましょう。
何科を受診すれば良い?
循環器内科を受診すると良いでしょう。
心不全・心筋梗塞・不整脈などの心臓の病気や、大動脈・末梢動脈といった血管の病気を専門的に扱っているため、血圧の左右差についても詳しい検査を受けられます。
循環器内科が近くにない場合、内科やかかりつけの病院で血圧の状態について相談してみてもOKです。
血圧の状態を循環器内科で相談
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2.生活習慣を見直す
血圧が左右で大きく異なる場合、動脈硬化や動脈炎など主に血管に異変が生じている可能性が高いです。
そのため、この原因となる生活習慣の乱れを改善していくことが重要です。
食生活を見直す
減塩、低脂肪、高食物繊維、適切なカロリーの、栄養バランスがある食事がおすすめです。
高塩分、高脂肪、高カロリーといった肥満を招く食事は控えます。
適正体重を維持する
適正体重とはいわゆる標準体重のことで、BMIが22前後だとベストです。
BMI=体重(㎏)÷身長²(m)で算出できます。
これを大幅に上回っている場合、その原因は主に食べ過ぎです。
食べすぎは血中の糖や脂質を増加させ、高血糖から糖尿病、高コレステロール、高中性脂肪となり、脂質異常症となりやすくなります。
動脈硬化のリスクを高めるので、食事の量には気を付けましょう。
運動をする
運動は筋力を保つ効果があるため、減量や適正体重の維持のために大切です。
筋力がしっかり維持されていると、動脈硬化だけでなく高血圧の対策にもなります。筋肉は効率よく脂肪を消費させるため、動脈硬化を予防します。
適度な運動は肥満を防ぐだけでなく、血圧を正常に保ちます。
運動をすることで血管の柔軟性を高められるだけでなく、それによって血圧を下げることができます。
喫煙を控える
喫煙は毛細血管を縮小させる作用があるため、血圧を上昇させて動脈硬化を助長します。
左右で血圧の差が大きい場合、喫煙は控えるようにしましょう。
こまめにストレスを発散する
ストレスを受けると、副腎から「副腎皮質ホルモン」が大量に分泌されます。
このホルモンは中性脂肪の合成を促したり、血圧や血糖値を上昇させたりするはたらきがあり、動脈硬化の発症率を高めます。
そのためストレスはためこまず、自分に合った方法でこまめに発散するようにしましょう。
まとめ
身体の構造上、血圧に多少左右差があるのは普通のことです。
しかしその差が大きい場合は血管の病気が潜んでいる可能性があり、注意が必要です。
動脈硬化の場合は生活習慣が大きく関係しているため、自身でできることから改善していきましょう。
執筆・監修ドクター
経歴1998年 埼玉医科大学 卒業
1998年 福岡大学病院 臨床研修
2000年 福岡大学病院 呼吸器科入局
2012年 荒牧内科開業
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