止まらない鼻血…病院へ行くべき?対処法や急を要する症状とは
突然鼻血が…!そんなときの正しい対処法を知っていますか?
また、頻繁に鼻血が出る、30分以上出血が止まらないなどの鼻血は、病気のサインかもしれません。
こちらの記事では、鼻血が出たときの対処法や、病院へ行くべき症状について解説します。
鼻血が出るしくみと危険性
1.鼻血はどこから出るの?
鼻血のほとんどが、鼻の入り口すぐの『キーゼルバッハ』というところから出ています。
キーゼルバッハは、鼻の入り口から1~2cmほどのところに位置し、細かい血管が集中しています。そのため、鼻をかむ、すするなど少しの刺激で粘膜が破れ出血します。これが、鼻血が出るしくみです。
2.鼻血が出やすいとき
・鼻をいじったとき
・熱いお風呂に入ったとき
・お酒を飲んだとき
・刺激物をたべたとき
鼻に直接刺激を与えなくても、血圧が高くなると鼻血が出ることがあります。血圧の上昇にともなって血管に圧力がかかり、粘膜が破れることで鼻血が出ます。
3.鼻血が病気を引き起こすことも
鼻血が出ることで、鼻の中の毛穴の奥へ菌が入り『毛嚢炎(もうのうえん)』という病気を起こすことがあります。
毛嚢炎は、毛穴の奥にある毛包に細菌(ブドウ球菌)が入り、炎症が起こる病気です。白ニキビのような状態になり、膿がたまったり、その箇所に熱をもったりします。
また、鼻から脳へ菌が入ると、『脳炎』や『髄膜炎』になることもあります。脳炎や髄膜炎は命に危険を及ぼすこともある病気です。
鼻の中をむやみにいじったり、強く鼻をかんだりすることは避け、鼻血が出ないように注意しましょう。
鼻血が出た!対処法と病院へ行くべき場合
1.自分で行う対処法
両小鼻をつまんで下を向く
鼻血が出たら、圧迫して止血をしてください。
椅子などに座り、顔を下に向けて、指で両小鼻あたりをつまみましょう。10分間ほど圧迫を続けてください。
上を向いたり、横になったりするのはNG
鼻血が出ると上を向いたり、横になったりするかたもいるかもしれません。しかし、これは鼻血が口へ逆流する可能性があるので避けましょう。
2.要注意!病院へ行くべきケース
すぐに鼻血が止まれば、病院へ行く必要はありません。
しかし、次のような症状がみられた場合や、特定の薬を飲んでいる場合は病院で診療を受けましょう。
30分以上出血が止まらない
通常、鼻血は10分以内に止まります。もし30分以上出血が続くようであれば、何か病気にかかっている可能性があります。また、出血が長時間続くと貧血を起こしかねません。
頻繁に鼻血が出る
鼻に刺激を与えていないのに、頻繁に鼻血が出る場合も、病気が原因の可能性があります。
数日ごとに鼻血が出るような場合は注意が必要です。
抗凝固剤や抗血小板剤を服用している
他の病気の治療のために、血液が固まりにくくなる抗凝固剤や、血液の流れをよくする抗血小板剤を服用している場合も、病院で診療を受けてください。
出血量が通常より多かったり、止血に時間がかかったりしやすく、貧血になる危険性があります。
3.病院は何科へ行くべき?検査や治療法は?
何科を受診する?
鼻血で病院へ行く場合、通常は耳鼻咽喉科を受診しましょう。
緊急の場合は救急科へ行きましょう。
鼻血の治療法
出血が止まらないときは、出血している箇所にレーザーを当てて血液を固まらせたり、ガーゼなどを当てたりして止血します。
出血部位や症状によっては、薬を塗って止血することもあります。
鼻血の原因を調べる検査
鼻血の原因を調べるときは、内視鏡(先端にカメラのついた細長い管)を鼻の中に入れて、傷の有無を確認します。
また、血液や脳に病気がないか調べるために、血液検査や脳のCT、MRI検査を行う場合もあります。
鼻血が頻繁にでる…どうして?
1.子どもの鼻血の原因
鼻の粘膜が弱い、鼻のさわりすぎ
子どもは大人に比べて鼻の粘膜が弱く、鼻血が出やすいです。
また、無意識に手を鼻の中に入れてしまったり、鼻をかむときに加減が分からず思いっきりかんだりすることも、子どもがよく鼻血を出す原因です。
鼻をぶつけることが多い
また、子どもは外で遊んでいて転んだり、ぶつかったりして鼻血を出すことも多いです。
大人になるにしたがって、鼻をぶつけることも減り、鼻血が出る回数も減っていきます。
白血病など、病気の可能性も
先に解説したように、30分以上出血が続く場合や頻繁に鼻血が出る場合は他の病気にかかっている可能性があります。
まれに白血病が原因のこともありますので、病院で診療を受けることをおすすめします。
2.大人の鼻血の原因
鼻のかみすぎや鼻毛処理
子どもと同様に、花粉症やアレルギーなどのときに鼻を強くかみすぎ、鼻血が出ることがあります。
また、大人の場合は鼻毛の処理をしたときに、傷をつけ、鼻血が出ることもあります。
白血病やがん、糖尿病などの病気
鼻を刺激した覚えがないのに頻繁に鼻血がでる場合は、白血病や糖尿病、高血圧、HIVなどの病気が原因のこともあります。
早めに医療機関を受診しましょう。
3.高齢者の鼻血の原因
高齢者は、動脈硬化が原因で、鼻の奥から出血することがあります。動脈硬化は血管がもろくなるため、ちょっとしたことで出血しやすくなります。
止血が難しい場合もあるので、鼻血が出たらすぐに主治医へ連絡してください。
まとめ
鼻血を出さないようにするためには、極力鼻に刺激を与えないようにすることが大切です。
花粉症などのアレルギー症状や風邪にかかると鼻がムズムズしたり、鼻水が出たりして、鼻を刺激してしまいがちです。そのようなときこそ、優しく鼻をかむなど、鼻に刺激を与えないよう心がけてください。
また、あまりに頻繁に鼻血が出るときや出血が止まらないときは、病気が隠れていることもあります。何か心配な症状があれば、迷わず病院で診療を受けましょう。
執筆・監修ドクター
経歴2002年5月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科臨床研修医
2004年5月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科助教(院外)
2006年6月 幕内会 山王台病院 外科
2007年6月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科助教
2008年6月 関東労災病院 外科
2009年6月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科 助教
2012年10月 横浜旭中央総合病院 外科、昭和大学藤が丘病院 兼任講師
2017年11月 しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開業、院長に就任
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