HbA1cが高いリスクは？血糖値は低いのに…痩せていても糖尿病になる？

1.HbA1cとは？

HbA1c（ヘモグロビンエーワンシー）は、酸素の運搬にかかわってい赤血球の色素である『ヘモグロビン』のうち、ブドウ糖と結合しているものの割合を示した数値のことです。

HbA1cの値は、血糖値が高い状態が続くと高くなるとされています。

2.そもそも、血糖値ってなに？

血糖値は、血液中に含まれるブドウ糖の量を示した数値です。

血糖値は満腹時に高くなり、空腹時に低くなります。診断で出た血糖値は検査をした時点での値となります。

〈ブドウ糖がつくられるまでの流れ〉

• 食べ物を摂取すると、体内で消化・吸収される
• 糖質はその消化の過程でブドウ糖に分解され吸収される
• 吸収されたブドウ糖は血液で全身に運ばれる
• インスリンというホルモンによって細胞に取り込まれ、エネルギー源になる

3. 『HbA1c』と『血糖値』のちがい

HbA1cは過去1か月～2か月間の血糖値の状態

血糖値とのちがいは、血糖値が一時点での数値を示していることに対し、HbA1cは過去1か月から2か月間の血糖値の状態を示しているということです。

HbA1cは直前の食事の影響を受けない

血糖値は直前の食事の影響を受けますが、HbA1cの値は食事の影響を受けません。

つまり、HbA1cの値が高ければ、過去1か月以上にわたり血糖値が高い状態が続いているということです。

HbA1cは、血糖コントロールにも用いられる

HbA1cは上のような特性から、糖尿病患者の血糖コントロールにも用いられます。

また、血糖値が低くてもHbA1cが高ければ、ふだんは血糖値が高いのに検査時にたまたま血糖値が低かったということになります。

1.HbA1cはどこからが高い？

以下の表 (単位%)からわかるように、HbA1cの基準値は年齢、性別によって異なります。

数値はバラバラですが、だいたい6.2%を超えると基準より高いといわれています。

2. 糖尿病の可能性がある、HbA1cの値は？

健康診断ではHbA1cの値が4.7%以上6.2%未満が正常値で、6.5%以上だと糖尿病の可能性があるとされています。

そのため、6.5%を超えた場合は病院で検査を受けた方がよいでしょう。糖尿病の診断は、血糖値とHbA1cの値の両方を見ておこないます。

3.HbA1cの値が高いことによるリスク

HbA1cの高さは血糖値が高い状態を示している！

HbA1cが高いということは、1か月~2か月間、つねに血糖値が高いということです。

血糖値は一定の値に保たれており、食後は一時的に上がりますが正常であれば時間とともに下がります。

血糖値が下がらないということは…

血糖値が下がらないということは、血液中のブドウ糖を細胞に取り込むインスリンが不足しているか、うまくはたらいていないということです。つまり、糖尿病の可能性が高くなります。

4. HbA1cが高い状態を放っておくと…

糖尿病は気づかない間に進行する！

HbA1cが高い状態を放っておくと、気づかない間に糖尿病にかかっている可能性があります。

最初こそ症状はありませんが、病状が進むとのどの渇き・倦怠感・多尿・体重の減少などがあらわれます。

血糖値が高いと、全身が砂糖漬けに！？

血糖値が高いということは、簡単にいうと全身が砂糖漬けになっている状態です。砂糖漬けになると血管や細胞壁硬くなり、もろくなってしまいます。

血糖値が高いことによる、全身の影響

血管や細胞壁が硬くなることによって影響を受けやすいのは、末端の細い血管（毛細血管）や神経です。

目の網膜や腎臓に影響が出て、合併症を引き起こすことがあります。また、神経が障害されて足の壊疽（えそ）を起こすこともあります。壊疽とは一般的に壊死といわれる状態です。

1.血糖値は低いのに…問題ある？

血糖値は検査時のみの一時的な値です。そのため、直前の食事制限で一時的に血糖値を下げることができますが、HbA1cの値は短期間で下げることはできません。

血糖値は検査時にたまたま低かった可能性もあるため、過去にさかのぼれるHbA1cの値を確認することが重要です。

2.痩せているのに、HbA1c値が高い！なぜ？

糖尿病と肥満の関係

結論からいうと、肥満と痩せの目安となるBMIが標準（18～25）の人でも糖尿病になることがあります。

糖尿病と肥満の関連が高いとされているのは、脂肪が多すぎるとインスリンのはたらきが悪くなるためです。

とくに、内臓の周りにつく内臓脂肪がインスリンのはたらきを悪化させます。脂肪細胞の増加は動脈硬化を引き起こすため、内臓に脂肪がつくことによって、肝臓や筋肉などでもインスリンが正常にはたらかなくなってしまいます。

見た目ではわからない内臓脂肪に要注意！

皮膚の下につく皮下脂肪とちがって、内臓脂肪の量は見た目ではわかりません。

BMIはあくまで身長と体重から見る値です。BMIが低いから、見た目が痩せているからといって、脂肪が少ないとは限らないので注意しましょう。

3.代表的な糖尿病の検査について

糖尿病にはさまざまな検査がありますが、代表的なものについて説明します。

空腹時血糖値

採血をして血糖値を計り、10時間以上何も食べない状態で測定。

※採血の時間は医師によって違うこともあるので指示に従ってください。

75g経口ブドウ糖負荷試験

75gのブドウ糖を溶かした水を飲み、その後の血糖値の推移を観察。空腹時にブドウ糖液を飲んだ1時間後と2時間後に採血をして、血糖値とインスリンの濃度を測定。

この検査はインスリンのはたらきを見ることができるため、糖尿病の診断には欠かせません。

血糖値とともに、HbA1cの値は糖尿病の診断には欠かせません。血糖値は一時的なものですが、糖尿病は自覚症状が出るころには病状が進行していることが多く、早期発見と血糖コントロールが重要な病気です。

血糖コントロールがうまくいけば重症化を防ぎやすいため、HbA1cの値が気になったら早めに病院を受診して、検査を受けましょう。