細い人も注意!糖尿病の初期症状は?のどの渇きや体型、肌の変化など
『糖尿病』は、遺伝や環境も影響するため、太っている人だけでなく細く見える人も発症する可能性がある病気です。
食事から摂取した「糖質」は「ブドウ糖」となって血液中に流れますが、「ブドウ糖」が多すぎると「体脂肪」になってしまい、糖尿病の発症につながります。
この記事は、「糖尿病の初期症状」や対処法についてくわしく解説しています。
糖尿病について簡単に解説!なりやすい人は?
1.糖尿病ってどんな病気?
糖尿病とは、体内の血糖値が高くなっている状態のことをいいます。
血糖を体内に吸収させる『インスリン』というホルモンの働きが十分でない場合、ブドウ糖が有効に使われなくなってしまいます。
そして、このまま何も治療せずにいると、全身にさまざまな影響が起こってきます。
最悪の場合は失明したり、壊死によって足を切断しなくてはならない可能性が出てきたりする恐ろしい病気です。
失明や足の壊死が起こるのはなぜ?
失明が起こるのは、高血糖によって網膜の血管が痛めつけられることが原因です。足が壊死するのも同様に足の血管がつまってしまうためで、初期にしびれや冷感、だるさや痛みなどの症状があらわれます。
そのような場合は『透析』が必要になることもありますが、これは”血液中の余分な水分や老廃物を取り除いて血液をきれいにする働き”を膵臓に代わって人工的に行う治療法です。
2.糖尿病の種類と原因
糖尿病は、原因によってタイプがわけられます。
1型糖尿病
『1型糖尿病』は、おもに自己免疫によって起こるもので、子どもや若年層に多く見られます。
インスリンをつくるすい臓の「ランゲルハンス島のB細胞」の大部分を破壊してしまうことで発症します。体内でインスリンが作られなくなるため、注射で体外からインスリンを補給します。
2型糖尿病
糖尿病を発症している多くの方が『2型糖尿病』です。
「インスリンの分泌が調整できない」「インスリンの機能低下」「インスリン受容体の機能低下」などのさまざまな原因によって発症します。
また、遺伝的に糖尿病になりやすい方が、肥満・運動不足・強いストレスなどの要因が合わさることによって発症しやすくなるといわれています。
妊娠糖尿病
妊娠すると、体が胎児に栄養を与えようとします。そのため、血糖値が高くなり、胎盤からインスリンを効きにくくするホルモンが分泌されます。
妊娠中に診断された糖尿病や、糖尿病にまではなっていなくても妊娠中に血糖値が高めの状態になることを『妊娠糖尿病』といいます。
他の病気が原因で発症することも
ガンやすい臓の病気など、ほかの病気が原因で糖尿病を発症することもあります。
3.こんな人は要注意!
生活習慣が乱れている人は糖尿病にかかりやすいので要注意です。下記に当てはある方は注意して、精神的にも身体的にも健康的な生活を心がけてください。
- ストレスがたまりやすい
- 肥満気味
- 運動不足
- 暴飲暴食の傾向がある
糖尿病の初期症状
1.自覚症状はほとんどない…?周りが異変に気づくことも
糖尿病の初期症状はとてもわかりにくく、自覚症状はほとんどありません。気がつかないうちにどんどんと進行し、さまざまな合併症を引き起こしていきます。
下記の症状があったり、指摘されたりした場合は、病院の受診をおすすめします。
2.のどが渇きやすく、水をたくさん飲むように
のどが渇きやすく、水を飲む量が増えてきます。
私たちの体は血糖値を一定に保つため、体内の水分を血管内に引っ張ってくることで血中の糖の濃度を薄めています。
しかし糖尿病によって高血糖が起こることで、水分が血管に持っていかれる状態が続きます。そのため体は水分が足りていないと判断し、補給するためにのどが渇くようになります。
3.排尿の回数や量が増える
2.で説明したメカニズムで水を飲む量が増えるのに伴って、排尿の回数や量も増えてきます。
4.体がだるくなったり疲れやすくなったりする
糖尿病の初期症状として、体がだるく感じたり疲れやすくなったりすることがあります。
本来食べ物はブドウ糖(血糖)に分解された後『インスリン』と結合して、エネルギーとなります。
しかし高血糖状態が続くとインスリンの働きが低下するためブドウ糖と結合しにくくなり、エネルギー不足が起こります。
そのため体が疲れやすくなります。
5.体重の減少がみられることも
高血糖によりエネルギー不足が起こると、それを補うために私たちの体は脂肪や筋肉からエネルギーを得ようとします。
そのため体重の減少が起こります。
6.肌がべたべたする
血中のブドウ糖が多くなると、肌表面にまで汗と一緒に出てくることがあります。
その汗は糖分を含んでいるので、肌がべたつきやすくなります。
糖尿病が疑われるときの対処法
1.糖尿病かも?と感じたら何科へ行くべき?
まず『内科』で相談し、検査をうけることをおすすめします。
検査で糖尿病だとわかったら、『内分泌内科』『糖尿病内科』などで、その後の治療や食事指導などを受けることができます。
通院を考えると、自宅の近くの医院やなんでも相談しやすい医師を探すとよいですね。
2.糖尿病の検査って?
問診・体重・尿検査・血糖値・HbA1cなどの血液検査・75gOGTT(75gブドウ糖負荷試験)などの検査値をみて、総合的に判断します。
尿検査では、「尿にブドウ糖が排泄されていないか」を調べます。
また、血液検査では、「血糖値やHbA1cの数値」、75gOGTTでは、「ブドウ糖を飲んでから時間経過とともに血糖値がどう推移するか」を調べます。
3.初期の糖尿病の治療はどんなことをするの?
糖尿病の初期では、「生活習慣の改善」が基本です。おもに『食事療法』と『運動療法』を実施します。
血糖値の改善がみられた場合
食べ過ぎや運動不足の見直しによって、血糖値が正常レベルまで戻れば、薬を服用する必要はありません。
血糖値の改善がみられなかった場合
食事療法や運動療法で血糖値をコントロールできなければ、「薬の服用」と「インスリン注射」をすることになります。
4.自宅で気をつけること
生活のベースを整えることが大切
バランスの良い食事や適度な運動を心がけましょう。
ストレスをためてしまうと血糖値は上がりやすくなります。自分なりのリラックス法を見つけ、ストレスを解消するようにしましょう。
また、お酒は食欲を高める作用もあるため肥満の原因になり、糖尿病の悪化につながります。禁酒や節酒を心がけてください。
タバコはNG!禁煙をめざしましょう
喫煙は強力な血管収縮および気管収縮作用があるため、血管障害(血管がもろくボロボロになってしまう病気)を引き起こしやすくなります。
血管障害はその合併症として、糖尿病網膜症・糖尿病腎症・糖尿病神経障害を引き起こすことがあり、特に細い血管が集中しているところに注意が必要とされています。
このようなリスクを考慮すると、糖尿病患者の喫煙はおすすめできません。
まとめ
初期症状のサインを見逃さないで
糖尿病の初期症状は、とてもわかりにくく、自覚症状がありません。
「喉が渇きやすい」「水を飲む回数が増える」「排尿回数や量が増える」などの症状が見られた場合は、専門医を受診するようにしてください。
糖尿病は体型でなく遺伝や環境も関係している!
糖尿病は太っている人だけではなく、遺伝的要素や環境的要素も関係しています。
規則正しい生活、食習慣、適度な運動、ストレスをためないなど日常生活を見直していきましょう。
糖尿病は治療をしないとどんどん進行する
糖尿病と診断された場合、自覚症状がないからといって治療をやめないでください。
治療をしないでいると、どんどん進行して最悪の結果を招くことになるかもしれません。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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