尿糖の原因は糖尿病?疑われる病気や、自分でできる検査法を解説!
尿検査は、一般的に、病気の原因を調べる際におこないます。『尿糖検査』もそのひとつです。
「尿糖」というと、『糖尿病』を連想する人も多いかもしれません。
この記事では、尿糖とは何のことか、尿糖が検出される原因について解説します。
尿検査で尿糖値に数字が出た…尿糖とは?
1.尿糖って?糖尿病ってこと?
尿糖は、尿の中に混ざったブドウ糖のこと
『尿糖』とは、尿中に混ざったブドウ糖のことです。
尿は、腎臓で血液をろ過して作られます。通常であれば、このときに、血液に含まれるブドウ糖(『血糖』)は再吸収され、尿としては排出されません。
しかし、血糖が増加して限界値を超えると、再吸収されずに、尿に糖が漏れ出て、『尿糖』として検出されます。血糖値が160~180mg/dlを超えると、尿糖が検出されることが多いです。
血糖値にも異常があれば、糖尿病が疑われる
尿糖検査は、『糖尿病』の早期発見に役立ちます。
尿糖が検出されたからといって、すぐ糖尿病だと診断されるわけではありません。
しかし、同時に血糖値の異常も確認されるケースが多いです。その場合、糖尿病や糖尿病予備群であることが疑われます。
2.尿糖値と血糖値とのかかわり
先に解説したように、尿糖値と血糖値は密接にかかわっています。
尿糖値には、排尿から次の排尿までの血液状態が反映されます。そのため、尿糖値から『糖代謝能力』を推定することができます。
3.尿糖が検出される原因やしくみについて
血糖値が異常に上昇している
尿糖が検出される原因として考えられるのは、『血糖値の異常な上昇』です。
糖質は体のエネルギー源です。人間の体は、大事なエネルギー源である糖を無駄にしないようにできています。
そのため、尿糖が検出されるということは、糖を排泄せざるを得ないほど血糖値が上がっていることを意味します。
高血糖の状態が続くと…体の中で起こること
血液中の糖の値が多い『高血糖』の状態が続くと、過剰な糖とたんぱく質とが反応し、体内が毒されてしまいます。
これを『糖化』といい、『動脈硬化』や『白内障』、『アルツハイマー』などの病気を引き起こしやすい状態です。
余った糖が尿とともに排出される
通常であれば、血糖値が一定以上高まったら、一部はエネルギーとして貯蓄し、残りは腎臓で回収して再利用します。
しかし、先にも解説したように、腎臓の糖質回収が追いつかないほど血糖値が上昇すると、余った分が尿とともに排出されてしまいます。
4.糖尿病以外の疑われる病気
検査の結果、尿糖が高い値を示した場合、糖尿病以外には次の病気が疑われます。
腎性糖尿
腎性糖尿の場合、血糖値は正常でも尿糖が検出されます。
糖を再吸収する『尿細管』という器官のはたらきが低下することで、尿中に糖が排出されることがあります。
腎性糖尿は、生まれつきの体質や、遺伝によって発症します。
甲状腺機能亢進症
甲状腺の機能が促進される(亢進)と、血糖値が上昇し、尿糖が検出されることがあります。
腎臓疾患
腎臓疾患にかかると、まれに、尿細管に治療が必要な障害が生じて、尿糖が検出されることがあります。
膵臓疾患
膵炎など膵臓疾患により、インスリンの分泌が不足すると、血糖値が上昇して、尿糖が検出されることがあります。
食餌性(しょくじせい)糖尿
一度に大量の糖質を摂った場合に尿糖が検出されることがあります。
これは、胃の切除をした人に多くみられるといわれています。摂取した食べ物が胃に留まらず、ダイレクトに小腸で吸収されるので血糖値が上昇するといわれています。
尿糖が検出された場合の検査、治療について
1.尿糖が検出されても、自然に治る?
尿糖が検出された場合、自然治癒は難しいです。内科などの医療機関で相談することをおすすめします。
2.尿糖が検出されたときの検査はどんなもの?
定性検査
試験紙を使用してブドウ糖の有無を判定する検査です。
『陰性(-)』を示せば正常です。『陽性(+)』を示すと、尿中にブドウ糖が出ていることを意味し、糖尿病や腎臓疾患の可能性があります。
また、試験紙の色が少しだけ変わる『疑陽性』の場合は異常があると捉えます。
定量検査
尿中に含まれるブドウ糖の量を調べる検査です。1日あたりの尿糖量が40~85mgであれば正常です。
血液検査
採血をおこない、血糖値を調べる検査です。血糖値が160~180mg/dl以上だと、尿中に糖が出ていると判定されます。
3.普段からできる!尿糖セルフチェック
尿糖をセルフチェックするには、『尿検査薬』や『尿糖計』を使います。どちらも薬局やドラッグストアなどで購入することができます。
尿検査薬を使用した検査方法
試験薬を、尿に約1秒浸します。その後、判定時間が経つと試験紙の色が変化します。
変化の度合いを付属の判定表で照合して、判定します。
電子尿糖計の測定方法
尿糖計のセンサー部に尿をかけます。すると測定後、電子音が鳴って測定結果が表示されます。
50未満であれば尿糖の検出はほぼありません。50~100未満は少量、100以上は多量の尿糖が検出された、ということです。
4.尿糖が検出されたら…食事や運動習慣を見直そう
尿糖の値は『食事』や『運動』とも深くかかわっています。
日常的に尿糖が検出されるようであれば、食生活や生活習慣の改善に取り組む必要があります。
食事では甘いものや脂っこいものを控え、『野菜』や『海藻類』を多めにとりましょう。また、軽い運動をおこなうことも大切です。
さいごに
尿は私たちの健康状態を示してくれる、一種のバロメーターです。尿糖が検出されたら、糖尿病などの病気にかかっている可能性があります。
健康診断などの尿糖検査で陽性反応が出たら,早めに医療機関を受診することをおすすめします。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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