頭が臭くなるのはなぜ?病気のこともありますか?
人間にはにおいがあります。
実際に自分のにおいを常に意識することはなくても、ほかの人が臭いとすごく気になるということはよくあります。
もし自分の頭が臭かったらどうしようと心配になる人も少なくありません。
こういったにおいの話はちょっとした知人程度ではなかなか話すことも難しい繊細な内容です。
また、においがあることは必ずしも病気とはつながりませんが、万が一、病気で頭のにおいが強くなっているのであればどんなことに気をつければいいのでしょうか。
においの原因などと一緒に一度、頭のにおいについて考えてみましょう。
頭のにおい、原因は分泌物とよごれ
分泌物にもにおいがある
頭は人間の体の中でもにおいが強い部位といえます。その理由は皮脂線や汗腺が多いことと関係があります。皮脂線は皮脂を分泌するためにあります。
頭皮は体のほかの部位と比べると皮脂腺が圧倒的に多くあります。また、汗を分泌する汗腺は手のひらや足の裏についで多くあります。
皮脂腺や汗腺が多いということは、それだけ分泌物が多いということになります。こうした分泌物のにおいは普段食べているものなどの影響をうけます。
つまり、「皮脂や汗などのにおいが臭い」ということがにおいの原因としてまずはあげられます。
皮脂の分泌量は男性のほうが女性よりも多い傾向があります。そのため、男性のほうが臭くなりやすいといえます。
においの話題で出てくる加齢臭はこうした分泌物が原因です。よく加齢臭は男性だけにあると思われていますが、実際には女性にもあります。
頭は微生物が増えやすい
次に原因になるのは頭皮が不衛生な状態になっている場合です。皮脂の酸化や、皮脂を養分にする微生物が増えて臭くなります。
皮脂はその名のとおり、油分を多く含んでいます。そのため水だけでは洗い流すことが困難です。これが硬く固形化して頭皮にくっつくといつまでも頭皮に残ります。
「頭をよく洗っているのに臭い」という人もいるかもしれません。そうした場合は、洗髪に問題があったり、しっかり乾いていなかったりすることがあります。
頭皮にシャンプーが残っていると、それが微生物の繁殖する原因になり、においのもとになります。
また、生乾きや汗などでしっかり頭皮が乾いていない状態になっていると微生物は繁殖しやすい環境になります。
においはこうした原因が、いくつもからみあって独特のにおいを作り出したりします。そのため、人によってもにおいに違いが出てきます。
頭のにおいと関係のある病気
頭が臭くなることと関係のある病気もいくつか考えられます。
臭い状態が続いているということ自体が、何かの症状をおこす前触れになっている可能性もあります。
もし自分で臭いと感じたなら、においが強くなっているかもしれないので注意する必要があります。
内臓の病気でも臭くなる
胃腸や、肝臓、腎臓の病気があると頭皮が臭くなることがあります。
こうした病気が分泌物自体を臭くするためです。ほかにも糖尿病などで臭くなることがあります。
わかりやすい例でいえば便秘です。排せつできずに体内に老廃物がたまった状態になると分泌物の中ににおいの原因になる物質がしみ出します。
それが皮脂腺や汗腺から出てくることでにおいの原因になります。
においが特徴的なものとしてはトリメチルアミン尿症という病気があります。トリメチルアミンは魚のにおいの原因物質です。
これは肉や魚などのタンパク質を含む食品を食べるとトリメチルアミンが発生して生魚のようなにおいがあらわれる病気です。
こうした内臓の病気で臭くなる場合、頭皮はにおいを確認しやすいので、そうした症状が確認されます。
しかし、こうした場合は頭皮だけでなく、全身の皮脂腺や汗腺からにおいが出ます。
また、においをかぐことで原因になっている病気を診断することは医師でも簡単ではありません。なんらかの病気が疑われる場合はすぐに医療機関へいきましょう。
頭皮に症状がでる病気が原因のことも
頭皮に症状があらわれる病気でにおいが強くなることもあります。こうした病気による場合は、放置していると髪の毛が抜ける脱毛症の原因にもなります。
代表的なものに脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)があります。頭皮だけでなく、体のいろんな部位におこることがあります。赤い発疹ができて、フケが増えるのが特徴です。
粉瘤(ふんりゅう)もよくみられる病気です。粉瘤とは皮膚下に垢(あか)や皮脂がたまった嚢腫(のうしゅ)という袋状のできものができることです。
嚢腫が炎症をおこすことがあり、化膿(かのう)するとにおいの原因になります。
ほかにもアトピー性皮膚炎など頭皮に炎症をおこす病気は少なくありません。
そうした頭皮にできた炎症が臭みのもとになっているかもしれません。頭皮に炎症を発見した場合は治療を検討しましょう。
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病気でなければ頭皮のスキンケアと生活を見直して
もし、内臓に病気もなく、頭皮に炎症も見つからないのであれば、頭皮のスキンケアを心がけてみましょう。
皮脂は常に分泌され、頭皮にいきわたると髪の毛へと広がっていきます。入浴時に髪の毛を定期的に洗い、すすぎもしっかりおこなってください。
注意するポイントもいくつかあります。
まず、洗い過ぎはよくありません。頭皮を傷つけて炎症をおこす可能性があります。また、皮脂の分泌量が増える原因になることもあります。
次にしっかり乾かすことです。水分が多いと微生物が繁殖しやすい環境になります。ただし、乾燥させすぎるのも頭皮によくありません。
ドライヤーを使う場合は温度をあまり高く設定せず、直接連続して頭皮に風を当てないようにしてください。
また、普段の生活を規則正しく整えることも重要です。
不規則な生活や暴飲暴食は胃腸にも疲労を生み、においの原因をつくる可能性があることを覚えておきましょう。
もし病気が原因と疑われる時は
頭皮が臭いという場合は、医師に相談しましょう。変に気をつかわれることもなく客観的に判断してくれます。
通常であれば皮膚科を受診することになります。そこで、もし皮膚の炎症などが発見されれば、そのまま治療も可能です。
もし、何かの病気を治療していて「自分の頭皮が臭いかも」と思った場合は、かかっている病院で聞いてみましょう。
もし、それが原因でなければやはり皮膚科を受診するのがよいでしょう。
臭いにおいが体の調子の悪さや何かの病気を知らせているのかもしれません。
恥ずかしいからと自分でできる対策だけで済まさず、専門家の意見を聞いてみることも重要です。
また、自分のにおいを強く気にしながら生活するのは、とてもストレスになります。
気になるようであれば、一度病院で確認してすっきりとした日常生活を送ってください。
執筆・監修ドクター
経歴2002年 金沢医科大学医学部 卒業
2002年 金沢医科大学病院 小児科、内科勤務
2004年~2018年大阪、神戸、東京、福岡の病院、クリニックで内科、皮膚科勤務
2018年 クリスタル医科歯科クリニックインターナショナル内に医科開設
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