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しろうせいひふえん脂漏性皮膚炎

更新日:2022/08/16 公開日:2019/02/07 view数:49,769

脂漏性皮膚炎とは?

脂漏性(しろうせい)皮膚炎は、皮脂腺(ひしせん、皮脂を分泌する器官)が多く集まっているところである脂漏部位(しろうぶい)でおこる炎症のことです。
頭皮に油っこい、または乾燥したフケが出たり、脂漏部位にぼろぼろと取れる鱗屑(りんせつ、うろこのような皮)の症状が出たりするのが特徴です。
痛みはほとんどありませんが、少しかゆみを伴います。

乳幼児期の脂漏性皮膚炎は自然治癒するものですが、成人が発症すると治癒まで時間がかかり、自然には治りにくいです。

病院での治療を受ければ症状は軽快しますが、根治することはありません。
一時的に症状がなくなったからと自己判断で治療薬の使用をやめてしまうと、再発してしまいます。

目次
  1. 脂漏性皮膚炎の症状
  2. 脂漏性皮膚炎の診療科目・検査方法
  3. 脂漏性皮膚炎の原因
  4. 脂漏性皮膚炎の予防・治療方法・治療期間
  5. 脂漏性皮膚炎の治療経過(合併症・後遺症)
  6. 脂漏性皮膚炎になりやすい年齢や性別

脂漏性皮膚炎の症状

脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、脂漏部位でおこる炎症です。
進行するにつれて、症状もひどくなっていきます。

初期症状

鼻の溝、顔、耳の裏、わきの下、胸、背中、髪の生え際などといった脂漏部位に炎症がおき、かゆみが出ます。頭皮で発症するとフケが多くなります。

進行したときの症状

炎症の広がり
脂漏部位に赤みがかった斑点が複数出てきます。

炎症部分はかさぶたになったり、ニキビに似たものができたりします。

ひどくなると、皮膚がぼろぼろ取れるような鱗屑となることがあります。(頭皮に発症している場合は、フケが多くなる)

脱毛
脂漏性皮膚炎は患部の脱毛に関係があるとされています。

皮脂が多くなると、毛穴が詰まったり炎症したりするため、毛根がダメージを受け脱毛につながります。

ニキビとの違い

症状のひとつに、ニキビに似た湿疹ができることがあります。

一見同じようにみえますが、ニキビはアクネ菌によってできるものであり、脂漏性皮膚炎の場合はマラセチア菌のひとつと考えられています。治療薬が異なるため、自己判断で薬を使用しても治らない場合があります。病院を受診し、原因に対して適切な治療を受ける必要があります。

主な脂漏部位

・頭部
・顔面
・額
・鼻の溝
・耳
・わきの下

上記箇所に赤い斑点や、乾燥した皮膚が張り付いたりすると脂漏性皮膚炎の可能性があります。

脂漏性皮膚炎の診療科目・検査方法

皮膚の炎症なので、皮膚科を受診します。子どもは皮膚に発疹ができやすく、病気の判断が難しいです。そのため、まずは小児科でみてもらったほうがよい場合があります。

問診

皮膚科で聞かれる問診で特に重要なことは以下のことです。

・いつから症状が出ているか
・きっかけだと思われることはあるか
・アレルギーを持っている、または家族が持っているか

病院での診断は脂漏部位と炎症の確認をし、マラセチア菌の有無、増加を顕微鏡で観察して診断します。

パッチテスト

アトピー性皮膚炎や接触性アレルギー皮膚炎(かぶれ)の可能性がある場合はパッチテストをおこないます。

接触性アレルギーの場合は、アレルギーの疑いがある複数の物質を背中に貼ります。次の日に反応をみて再度同じ検査をおこないます。翌日また反応をみて、3回目の検査をおこないます。3回目の検査を始めてから4~7日経ってから3度目の判定をしてアレルギー物質の特定をします。

脂漏性皮膚炎の原因

まだ、原因はすべて解明されていません。ストレスやホルモンバランスが影響していたり、生活習慣が原因になったりすると考えられています。さらに原因として考えられているひとつとして、「マラセチア」という常在菌(じょうざいきん)が活発に活動、増殖すると発症するといわれています。

常在菌とは人間や動物の身体に共存している菌のことで、マラセチアは皮膚に存在しているカビ菌の一種です。

マラセチア菌は皮脂を栄養分として繁殖し、皮脂を分解する際に脂肪酸を生み出します。この脂肪酸が皮膚に炎症を引きおこす原因になります。

皮脂量が多くなりすぎると、本来は害を示さないマラセチアが急激に増殖し、その結果皮膚に炎症がおきます。炎症がおきる異常な皮脂分泌量や成分は研究段階であり、明確にはわかっていません。

マラセチアの栄養源である皮脂の分泌が増えるのは、

ストレスや過労によるホルモンバランスの乱れ
ビタミンB不足
洗顔、洗髪方法が悪い

などが考えられます。

また、辛いものを食べたり刺激物を皮膚につけることでフケとかゆみが増すことがあります。

皮脂の過剰分泌のほかには、以下のような原因が考えられます。

神経伝達系の異常

脂漏性皮膚炎は、ほかの神経系の病気と合併しておこるケースが多いです。具体的には脳炎後パーキンソン病、顔面神経麻痺(がんめんしんけいまひ)、ガッセル半月神経節(はんげつしんけいせつ)の片側障害などが挙げられます。

神経による麻痺で皮膚が動かずに皮脂がたまってしまうことが原因とされています。

物理的因子

脂漏性皮膚炎の要因は、低温度、低湿度、紫外線といった物理的に影響があるものも原因とされています。低温度、低湿度は乾燥肌を招き、悪化すると鱗屑といった皮膚炎の症状を引きおこします。

また、紫外線は日焼けを代表として皮膚に悪影響をもたらします。そして本来、皮脂はこの紫外線から皮膚を守るために分泌されています。

そのため紫外線の影響が強いと皮脂の分泌も高まるということも原因となる可能性があります。

脂漏性皮膚炎の予防・治療方法・治療期間

脂漏性皮膚炎は、原因がマラセチア菌であれば、この菌ををどうにかしなければ治りません。そのため、治療の中心となるのはマラセチア菌の活動を抑える抗真菌薬や、皮脂の分泌を抑えるためのビタミン剤です。

根本的な治療にはなりませんが炎症を抑えるステロイド外用薬、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬も使用します。

治療薬の使用で一時的に症状が軽快しても、自己判断で薬の使用をやめないようにしましょう。治癒する前にやめてしまうとほとんどの場合、しばらくして再発してしまいます。

1.抗真菌薬

薬名:ケトコナゾール

マラセチア菌の活発化を抑え、皮膚の炎症を抑えます。使用は1日2回までと決められています。

副作用

塗り薬のため症例はほとんどありませんが、以下のような副作用が考えられます。

接触皮膚炎・・・俗にいう「かぶれ」。何か物に接触しておきる急性の皮膚の炎症
痒疹(ようしん)・・・ムズムズする症状
発赤(はっせき)・・・赤くなる症状
刺激感
紅斑(こうはん)・・・赤い斑点が出る症状
水疱(すいほう)・・・小さなぶつぶつができる症状
皮膚のべとつき感
亀裂
皮膚灼熱感・・・皮膚が焼けるように熱く感じる症状
発疹(ほっしん)・・・皮膚にできる病変。黒っぽい斑点や水疱など
蕁麻疹(じんましん)・・・皮膚が赤くなりくっきりと浮き出て、しばらくすると治まる症状

2.ビタミン剤

マラセチア菌の栄養源である皮脂の分泌を抑える、栄養素のビタミンを補うための薬です。

正常なビタミンバランスに修正するために処方されることがあります。

3.ステロイド外用薬

症状がひどい場合には弱めのステロイド外用薬を処方します。

ステロイド外用薬・・・ステロイドを軟膏にし、皮膚の炎症を抑える薬です。

ステロイドとは副腎皮質ホルモンの一つで、アレルギー反応や炎症を抑える働きがあります。

副作用

内服薬と違い、副作用が発症する可能性は極めて低いものの、過剰に塗布すると局所的に炎症を引きおこします。

また、非常にまれですが、免疫力が低下する可能性もあります。

顔面や頚部に強さが最大(strongest:Ⅰ群)のステロイドを4週間以上使用すると、局所副作用があらわれる危険が高まります。

しかし、ステロイド外用薬による副作用は、医師が指示した使用範囲であれば、おこることはまずありません。

脂漏性皮膚炎のように治療が長期間に渡る場合は注意が必要ですが、ステロイド薬は副作用の発現がおきないように、1日に使用できる量が定められています。

念のため、免疫低下によって出る症状を以下に解説します。

ステロイド痤瘡(ざそう)

男性ホルモンと細菌に対する抵抗力の低下でみられる、毛包(もうほう/体毛をつくる場所)でおきる炎症です。

痤瘡はニキビのようなものと考えて差し支えありません。小児ではおきにくく、思春期後の成人におきます。できる場所は脂漏部位が多いです。

感染症の誘発

免疫力低下により、ほかの真菌や細菌、ウィルスの感染を招きやすくなります。

抗ヒスタミン薬

かゆみがひどい場合には、抗ヒスタミン薬を処方します。かゆみはヒスタミンという物質が分泌されることによって感じます。

そのヒスタミンを脳が受け取らないよう、受容体を邪魔するのが抗ヒスタミン薬です。
副作用として眠気や集中力の低下がみられるため、車の運転や作業には十分に注意しなければなりません。

副作用

・眠気
・集中力の低下
・口渇(こうかつ/口が乾燥すること)

セルフケア

脂漏性皮膚炎は、薬でマラセチア菌や症状を改善するだけでは意味がありません。

日頃から、マラセチア菌を押さえ込む取り組みが必要になってきます。また、そのためにマラセチア菌の栄養源である皮脂を抑えることも重要です。

生活習慣

皮脂の分泌はホルモンバランスや食生活の乱れ、肌の乾燥が原因とされます。その原因を改善する取り組みをします。具体的な内容は以下の通りです。

脂物を控えた食生活を心がける

天ぷらや唐揚げといった脂物を食べると皮脂の分泌は多くなります。なるべく野菜も取り入れたバランスのよい食生活を考えます。

また、皮脂分泌を促進させる辛いものやコーヒー、甘いものも控えます。

ビタミンB、Cを摂り、皮膚の健康促進

ビタミンB2、B6、Cを摂ることで皮膚や筋肉の修復、炎症の防止につながります。ビタミンCはストレスを軽減する作用もあるので特に摂取したい栄養素です。

具体的な食材では、ビタミンBはレバーや牛乳、ほうれん草、しじみ、ビタミンCは果物(イチゴやレモン)、緑黄色野菜などが挙げられます。

皮膚への刺激を少なくする対策をして外出

紫外線も皮膚へのダメージを与える要因です。なるべく外出は控えたほうがよいですが、紫外線が強いときの外出は帽子をかぶったり、日傘を使ったりして紫外線を避けます。衣服でも紫外線をカットすることが望ましいですが、ムレにくい服装にすることも大切です。

身体を洗うときは優しく

肌への刺激が少なく、しっかりと脂を落とすことができる石鹸タイプのもので洗います。

洗うときはく泡立てて、優しく泡でなでるように洗いましょう。また、身体を拭く際も刺激をなるべく与えないよう、優しく押さえるように拭きます。

シャンプーやボディーソープを変える

脂漏性皮膚炎の原因はマラセチア菌の活性化ですが、日頃から抗真菌剤の入ったシャンプーやボディーソープで身体を清潔にすることが大切です。

また、刺激の強いものは皮脂が出やすくなるため低刺激のものが望まれます。

洗髪も優しく

洗髪をするときも、洗顔や身体を洗うときと同じく、頭皮に優しい洗い方を心がけます。

爪を立てず、指の腹で揉み込むように洗います。流すときはシャンプーが残らないように念入りに流しましょう。

洗った後は自然乾燥にまかせると、細菌を繁殖させやすいので、ドライヤーで乾かして繁殖を防ぎます。

睡眠を十分にとる

睡眠不足は肌へのダメージが顕著に出るので、夜更かしや短い睡眠は危険です。

就寝時間を決めて、十分な睡眠時間を確保します。

ストレスをためない生活を

皮脂の分泌はホルモンバランスが乱れたときにも増加します。

ストレスはホルモンバランスを乱す要因の一つです。運動や、趣味をすることでうまく解消しましょう。

脂漏性皮膚炎の治療経過(合併症・後遺症)

脂漏性皮膚炎は痛みを伴うことは少なく、目立たない場所に発症したり、酷似している病気にかかったりすると気づきにくい病気です。

そのうえ、皮脂の分泌量を変化させるのに時間がかかるということもあり、放っておくと慢性化します。

慢性化してしまうと、炎症によって見た目が悪くなってしまったり、皮脂の分泌が多い影響で悪臭を発したりして、周囲に不衛生とみられかねません。特に皮脂の分泌量が多い中年の男性は注意が必要です。

症状が酷似しているほかの病気の可能性

脂漏性皮膚炎は皮脂の分泌とマラセチア菌などが原因の皮膚の炎症ですが、症状によるほかの病気との判別が困難です。

ほかの病気にかかっている可能性も視野に入れて、医師と治療に取り組みましょう。

以下に挙げるのが、症状が似ている病気の例です。

1.尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)

全身に紅斑(こうはん/赤い斑点)があらわれ、その紅斑の上に鱗屑がつくのが尋常性乾癬という病気です。

中高生の時期に発症することが多く、全身の至る所に多発します。

原因は、遺伝子の異常による慢性的な疾患です。

体質的に発症しやすい人が、ストレスや疲れによって免疫力を低下させると症状が出てきます。痛みや感染の心配もなく、内臓や器官に影響が出ることもありません。かゆみは約半数の人にみられます。

2.カンジダ症

マラセチアと同じくカビ菌の一種である「カンジダ」という菌が、皮膚に感染しておこる病気です。

人の胃腸や女性の腟内にいる常在菌で、免疫力が低下すると病気を引きおこします。

症状は発症する部位によって異なり、脂漏性皮膚炎に似ている症状が出るのは皮膚カンジダ症です。

症状としてわきの下や股間といった動作時に擦る部位、乳幼児のおむつをしている部分、水仕事が多い人の手指、爪の周りに湿疹(しっしん)、紅斑、びらん(ただれること)ができます。

2.アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは、アレルギー反応をおこしやすい人や皮膚の乾燥が強い人、バリア機能が弱い人が発症する病気です。主な症状は、湿疹とかゆみです。

6ヶ月以上再発を繰り返す場合は、慢性と診断されます。

脂漏性皮膚炎になりやすい年齢や性別

発症傾向は男性に多い

脂漏性皮膚炎は生後2~3週間後に発症し4~8ヶ月で自然に消退していく乳児型と、思春期以降に長期間出る成人型があります。

男女比については、男性が女性より2.3倍多いとされています。主に20代〜60代に多くみられます。

執筆・監修ドクター

中島 由美
中島 由美 医師 Crystal 医科歯科 Clinic International 内科院長 担当科目 内科/アレルギー科

経歴2002年 金沢医科大学医学部 卒業
2002年 金沢医科大学病院 小児科、内科勤務
2004年~2018年大阪、神戸、東京、福岡の病院、クリニックで内科、皮膚科勤務
2018年 クリスタル医科歯科クリニックインターナショナル内に医科開設

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