その喉の渇き…大きな病気のサインかも!?適切な水分量について医師が解説
このところ喉が渇いて、水分をよく摂るということはありませんか?
特に以前に比べ、異常に喉が渇くという方は、もしかしたらそれは病気のサインを意味しているかもしれません。
この記事では、1日に必要な水分量と喉の渇きについて、考えられる病気や病院へ行くタイミングについて解説していきます。
喉の渇きについて
皆さんは、どんなときに喉の渇きを感じますか?
暑いとき、運動したとき、お風呂上がり、風邪をひいて熱が出たときなどでしょうか。このように、体の水分が減ったときに、我々は喉が渇いたと感じます。
しかし、なぜ喉が渇いたと感じるのでしょうか?
喉が渇いたと感じるのはなぜ?
喉が渇くのは、身体の中の水分が通常よりも約2%失われたときに、脳の視床下部の口渇中枢が刺激されるからです。そして、その刺激が「喉が渇いた」と感じる理由です。
ちなみに約3%水分が失われると、強い喉の渇きや食欲不振に陥り、約5%水分が失われると、頭痛などの症状が引き起こされることがあります。
1日に必要な水分量は?
「水分は1日に2L摂りましょう」と耳にされたことがあるかと思います。具体的に、1日に必要な摂取水分量は、食事による摂取量も含め、体重1Kgに対して33mlといわれています。
体重60Kg の人を例に挙げると60×33=1980mlとなることから、食事から摂れる水分も含め、1日で約2L摂りましょうといわれているようです。(食事でおおよそ800ml~1,000mlほどの水分が摂れます)
一般的に、水分は摂れば摂るほど良いように思われがちですが、実際は自分の適正量にあわせて飲むことが必要です。
なぜなら、水分を過剰に摂ると水中毒の危険などがあるからです。水中毒とは、身体に余分な水分を摂取することで、むくみや冷え、低ナトリウム血症や倦怠感を感じる症状です。
異常に喉が渇く病気
異常な喉の渇きを感じるときは、なんらかの病気の可能性があります。
喉の渇きが主な症状として表れる病気としては、糖尿病や尿崩症(にょうほうしょう)、シェーグレン症候群、慢性唾液腺炎などがあります。
それぞれの病気の特徴と症状を見てみましょう。
糖尿病
食事で摂った糖分は、ブドウ糖として吸収されます。しかし、それを処理できず、血中に過剰に残ることにより血糖値が高い状態になるのが糖尿病です。
血糖値が高くなることで脱水症状になりやすくなるため、喉が渇く症状が表れます。
尿崩症
我々は尿の量をコントロールするために、脳から「抗利尿ホルモン」という尿を減らすホルモンが分泌されています。しかし、なんらかの影響でこの抗利尿ホルモンの分泌ができず、腎臓で尿の再吸収ができなくなると、尿量が増えてしまいます。この病気を、尿崩症といいます。
尿量が増えるため、体の水分が減り、喉が渇きます。
慢性唾液腺炎
なんらかの原因で唾液腺から菌やウイルスが侵入し、唾液腺に腫れや痛みを感じます。唾液が出にくくなるため、喉の渇きがでてきます。
シェーグレン症候群
慢性的な唾液腺炎が主な原因の難病です。唾液が出にくくなるために喉の渇きを感じます。
病気以外の原因
薬やストレス、風邪、緊張や不安、生理、更年期障害、加齢、塩辛いものを食べた、アルコールの過剰摂取などが原因で喉が渇くことがあります。
異常に喉が渇くときの対処法
対処法としてまず、おすすめの飲み物は水です。しかし、普通の水は味気なく、そんなに飲めないという方も多いと思います。その場合は、カフェインの入っていないハーブティーやルイボスティー、麦茶などを飲むと良いでしょう。
カフェインの入っているコーヒーや紅茶などは利尿作用があるため、飲んだ水分が尿として出やすくなります。このため水分を取っていても尿量が増えてしまうので、水分摂取の面からするとあまり向いていません。
水分を摂る量やタイミング
水分は一度にたくさんの量を摂るのではなく、少量をこまめに摂ることがポイントです。
1回につき約200mlを2〜3時間ごとに飲むのが良いでしょう。1日の中で合計7回近くは摂取できると良いです。
病院へ行くべき症状とは?
異常な喉の渇きは、さまざまな病気が隠れている可能性があります。そんなときは、まず内科を受診してみましょう。
運動やダイエットをしているわけでもなく、頻尿でもないのに、喉の渇きとともに痩せてきたというような症状があれば、糖尿病の可能性があります。
また、喉の渇きとともに、頻尿、皮膚の乾燥、痩せて疲れやすい症状があれば尿崩症の可能性が考えられます。
喉の渇きとともに、口や目、鼻を中心とした全身の乾燥や肌荒れ、関節痛、息切れ、疲労感、頭痛などがあればシェーグレン症候群の可能性があります。
まとめ
喉の渇きといえども、異常なほどの渇きの場合は、病気が隠れている可能性があります。喉が渇いてよく水分を摂るようになった、という自覚症状があれば、喉の渇き以外に症状がないか確認してみましょう。
もし、他の症状もあれば早めに内科を受診し、検査することをおすすめします。
普段の生活では自分にあった適切な水分量を摂るようにし、健康に過ごしましょう。
執筆者:荒牧内科 荒牧竜太郎 先生
執筆・監修ドクター
経歴1998年 埼玉医科大学 卒業
1998年 福岡大学病院 臨床研修
2000年 福岡大学病院 呼吸器科入局
2012年 荒牧内科開業
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