尿酸値が高い原因は食べ物?遺伝?痛風のリスクや子どもについても解説
尿酸値が高いと聞くと、『痛風』という病気を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
確かに、痛風を引き起こしやすくなるのは事実です。しかし、尿酸が影響を与えるのはそれだけではありません。
この記事では、尿酸値が高いことによる影響や、その原因、子どものケースについても解説します。
尿酸値って何?高い原因を解説!
1.尿酸とは?
まずは、そもそも尿酸とはどんな物質なのかについて解説します。
プリン体が、代謝の過程で変わったものが尿酸
尿酸は、『プリン体』という物質を代謝した時に生じる『最終代謝産物』です。
つまりは、プリン体が代謝の過程で変わったものが尿酸です。
「プリン体」と聞くと、あまりいいイメージを持たないかたも多いかもしれません。しかし、プリン体は、生物に必要なエネルギーや核酸の原料となる、体に必要な物質です。
尿酸が結晶化し、関節にたまると痛風の原因に
プリン体は、先に解説したように、代謝の過程で尿酸へと変わります。
尿酸は、溶けにくく排泄もされにくいため、血液中の濃度が高くなると結晶化します。その結晶が関節にたまることで、痛みをともなう『痛風』の原因になります。
2.尿酸値は、どれくらいから「高い」といえる?
尿酸の血清中濃度の基準値は、次の通りです。
- 男性 3.8〜7.5mg/dl
- 女性 2.4〜5.8mg/dl
尿酸の血清中濃度が、7.0mg/dl以上になると、高いといえます。
これは、尿酸の濃度が高い状態にある『高尿酸血症』の基準値でもあります。高尿酸血症になると、尿酸が結晶として蓄積されやすくなります。
3.尿酸値が高い原因について
食生活が原因のひとつ
尿酸値が高くなる原因として、まず挙げられるのは『食生活』です。
先に解説したように、尿酸値の上昇にかかわる原因のひとつに、プリン体があります。
注意!プリン体が多く含まれる食品
体内のプリン体の8割は体の中で作られるもので、残りの2割は食事由来のものです。
プリン体が多く含まれる食品は『魚の干物』や『動物の内臓』、『ビール』などです。
アルコールのとりすぎも、尿酸の産生を促進する!
また『アルコール』には、体内でプリン体の分解を促進する作用があります。
アルコールをとりすぎることで、プリン体が多量に分解され、尿酸の産生も促進されます。
こうして尿酸値が高くなってしまうのです。
4.尿酸値が高いのは、体のどこが悪い?
尿酸値が高いことと、体との関係
尿酸値が高いことから考えられる原因は、『体内での過剰な生成』、『腎臓のろ過能力の低下』、『薬剤』、『肥満』など、さまざまです。
高尿酸血症は、病気が原因のことは少ない
高尿酸血症のほとんどは、持病がなく発症する『原発性』です。
しかし、『腎不全』や『白血病』、『骨髄腫』などに続いてかかる場合もあります。
痛風にかかるリスクと他の病気の可能性について
1.なぜ、痛風のリスクが上がる?
『痛風』の発作を引き起こすのは、関節の中に生じる『尿酸塩結晶』です。
先に解説したように、高尿酸血症の状態にあると、結晶ができやすくなります。
つまり、尿酸値が高いことで、尿酸塩結晶が関節の内面に沈着し、痛風発作を引き起こしやすくなるのです。
2.痛風だけじゃない!かかりやすい病気
その他、尿酸値が高いことでかかりやすい病気は、『慢性腎臓病』です。
腎臓は、血液をろ過して、尿を作るはたらきをしています。
高尿酸血症の場合、高い尿酸値の血液が腎臓を通過します。腎臓では、ろ過する過程で、血液が濃縮されます。
そのため、他の部位よりさらに尿酸値が高い状態になります。それにより、尿酸の結晶が沈着しやすく、腎臓の機能低下につながります。
尿酸値が高いまま放っておくと?下げる生活習慣とは
1.尿酸値が高いまま放っておくとどうなる?
尿酸値が高いまま放っておくと、『痛風』や『腎機能の低下』、『メタボリックシンドローム』、『高血圧症』、『脂質異常症』、『動脈硬化』、などを引き起こす原因になります。
今の段階では症状を自覚していなくても、徐々に体へ影響している可能性があります。
また症状を自覚したときには、かなり病気が進行していることも考えられます。自覚症状がなくても、早めに治療することが大切です。
2. 自然に尿酸値が下がることはある?
何もせずに、自然と尿酸値が下がることはほぼありません。
しかし、ダイエットや禁酒、運動を始めるなどをして生活習慣が改善されると、いつのまにか尿酸値が下がっていることはあります。
3.尿酸値を下げる生活習慣とは
尿酸値と生活習慣は深くかかわっており、食生活の改善や運動療法により、尿酸値は下がりやすくなります。
また、糖分を含まない『お茶』や『水』といった水分をこまめにとることで、尿酸を排泄する助けになります。
尿酸値が高い場合は、一度生活習慣を見直しましょう。
4.尿酸値が高い場合は、内科で相談!
「尿酸値が高い」と健康診断等で指摘をうけたら、『内科』を受診しましょう。まずは、尿酸値が高い原因を調べる必要があります。
「少しだけだから大丈夫」、「最近ビールを飲み過ぎていたからその影響」などと、安易に自己判断することは危険です。
しっかりと医療機関で検査、治療を受けましょう。
子どもの尿酸値が高いケース。下げられる?
1.子どもの尿酸値が高い原因
子どもの尿酸値が高い原因として考えられるのは、『遺伝』です。
先に解説したように、プリン対の8割は体内で合成されています。そのため、尿酸が作られやすい体質である、ということが考えられます。
2.子どもの尿酸値、下げることはできる?
体質が原因の場合でも、体型や食習慣、運動などに気を配れば、下げられる余地はあります。特に子どもの場合は、食事や運動の習慣づけが大切です。
もちろん、しっかり食べることは大切ですが、野菜を食べないなど偏った食事や、肥満体型にならないよう注意する必要があります。また、水分をしっかりとって、運動することも大切です。
3.子どもの尿酸値が気になる場合は病院へ
子どもは成長期でもあるため、自己流の食事制限はおすすめできません。
小児科などを受診し、医師の指示の元で改善につとめましょう。
まとめ
尿酸値が高いと、痛風だけでなく、他の病気にかかる可能性もあります。
「少しだから大丈夫」という考えは危険です。病院を受診し、生活習慣を見直しましょう。
特に、食事や運動などが影響していることも多いです。尿酸値を下げる生活習慣を心がけ、病気を未然に防ぎましょう。
執筆・監修ドクター
経歴1996年 埼玉医科大学卒業
1997年 埼玉医科大学第一外科入(一般外科、呼吸器外科、心臓血管外科)終了
1999年 戸田中央総合病院心臓血管外科医として就職
2000年 埼玉医科大学心臓血管外科就職
2006年-2012年3月 公立昭和病院心臓血管外科就職
2012年4月 岡村医院、医師として勤務
2012年7月 岡村クリニック開院
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