薬や感染によって起こる!尿細管間質性腎炎とは?治療や合併症について

『尿細管間質性腎炎』は腎臓に炎症が起こる病気です。
腎臓は、血液をろ過して尿を作る機能のほか、体内の老廃物や有害物質を排泄する大切な役割も担っています。
この記事では、尿細管間質性腎炎とはどんな病気か、薬物治療や透析療法について解説します。
尿細管間質性腎炎について

1.尿細管間質性腎炎とは
「尿細管」とその周りの「間質」に炎症が起こる
『尿細管間質性腎炎』は、腎臓の中にある『尿細管』という管と、その周りの『間質』に炎症が起こる病気です。
尿細管のはたらき
尿細管は、腎臓にある無数の細い管で、尿のもとや栄養成分、水分などを再吸収するとともに、不要なものを運ぶはたらきをしています。
尿細管は2つにわけられる!損傷するとどうなる?
尿細管は、『近位曲尿細管』と『遠位曲尿細管』とにわけられます。
〈近位曲尿細管〉
腎臓のネフロンを構成する組織で、グルコース、アミノ酸、ビタミンなどが再吸収されるところ。
近位尿細管が損傷すると、『カリウム』や『ナトリウム』などの再吸収が妨げられ、これらの血中濃度が低下します。
〈遠位曲尿細管〉
腎臓の尿細管のヘンレループから集合管までの部分で、水やナトリウム、イオンなどが再吸収されるところ。
遠位曲尿細管が損傷すると、うまく尿を濃縮することができなくなり、尿量が増えることがあります。
2.原因について

急性尿細管間質性腎炎の原因
薬に対する「アレルギー反応」が原因のことが多い
急性尿細管間質性腎炎は、薬に対する『アレルギー反応』が原因であることが多いです。
原因となる薬には、『抗生物質』(スルホンアミド、ペニシリンなど)や『利尿薬』、『非ステロイド性抗炎症薬』などが挙げられます。薬を飲み始めてから症状が出るまでには、1ヶ月以上かかることもあります。
「腎盂腎炎」という病気も原因になる
また、『腎盂腎炎(じんうじんえん)』という、腎臓に細菌感染を起こす病気が原因のこともあります。この病気は女性に多く、尿道から膀胱に入った細菌が炎症を起こすことで起こります。
慢性尿細管間質性腎炎の原因
非ステロイド性抗炎症薬による損傷
慢性尿細管間質性腎炎は、『非ステロイド性抗炎症薬』による、組織の損傷が原因になります。非ステロイド性抗炎症薬は、アレルギー反応と別に、組織の損傷を起こすことがあります。それから1年以上をかけて、慢性尿細管間質性腎炎を発症します。
腎盂腎炎が原因のことも
急性尿細管間質性腎炎と同様に、腎盂腎炎が原因で、慢性尿細管間質性腎炎にかかることもあります。
3.合併症について
尿細管間質性腎炎によって、尿路が閉塞した場合や、両方の腎臓に尿細管間質性腎を発症している場合は、『腎不全』にかかることがあります。腎不全まで進行すると、腎機能の回復が難しくなります。そのため、早期発見・早期治療が大切です。
尿細管間質性腎炎の治療について

1.尿細管間質性腎炎の検査
『血液検査』で、血液中の老廃物の濃度を確認したり、『尿検査』で腎機能の状態をみたりします。
また『超音波検査』では、アレルギー反応による腎臓の腫れがないかどうかを確認します。
2.尿細管間質性腎炎の治療
薬の使用を止めたら、症状が改善することも
薬に対するアレルギー反応が原因であれば、薬の使用を中止することで、症状が改善することもあります。
アレルギー反応が強ければ、ステロイドを使う
アレルギー反応が強い場合は、『ステロイド剤』を使用することもあります。
感染が原因であれば、病気に対して治療する
腎盂腎炎など、感染が原因の場合は、病気に対する治療をおこないます。病気を治すことで、腎機能の回復をはかります。
慢性尿細管間質性腎炎は、腎機能が回復しないことも
慢性尿細管間質性腎炎は、徐々に進行し、体のさまざまな場所で炎症を起こすため、腎機能の回復が難しいケースもあります。その場合は『透析』や『腎移植』が必要になります。
3.透析療法について

腎不全になると「透析」が必要
治療によって腎機能が回復すれば、透析をおこなう必要はありません。
しかし、炎症が広がって腎機能の回復がみられない『腎不全』になると、『尿毒症』を引き起こす恐れがあり、透析が必要です。
腎不全が引き起こす「尿毒症」とは?
尿毒症とは、体内の老廃物を排出できず、有害な物質が体中をめぐる病気です。吐き気や嘔吐、疲れやすい、食欲低下、むくみ、呼吸がしづらいなどの症状があらわれます。
「血液透析」と「腹膜透析」について
透析療法は、人工腎臓を使う『血液透析』と、自分の腹膜を使う『腹膜透析』にわけられます。
〈血液透析〉
血液を体外に取り出し、透析器を通してから体内へと戻すものです。透析器によって、血液中の余分な水分や老廃物を取り除きます。週3回通院する必要があり、3~5時間ほどかかります。
〈腹膜透析〉
横隔膜の下にある『腹腔』に『透析液』をいれて、老廃物を透析液に移行させます。自分の腹膜を使って血液をきれいにするものです。自宅でおこなうことができます。
まとめ

「尿細管間質性腎炎」自体の自覚症状はほとんどありません。
膀胱炎や腎盂腎炎などにかかったとき、また副作用を起こす可能性がある薬を服用したときなどは、病院で検査を受け、腎臓についても気にかけることが大切です。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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