なぜ?尿酸が低い原因について。体のどこが悪い?食べ物で改善を!
健康診断などで、「尿酸値が低い」と診断を受けたことはありませんか?
尿酸値が低いと『腎性低尿酸血症』が疑われます。あまり聞きなれない病名ですが200~300人に1人が発症するといわれている病気です。
今回は、『尿酸値が低い』場合の原因・問題点・病気などについて解説します。
尿酸値が低いのはなぜ?原因について
1.尿酸とは?
プリン体が肝臓で分解されるときに作られる!
尿酸は、『プリン体』が肝臓で分解されるときに作られます。プリン体のほとんどは体内で作られ、約2割が食べ物から取り込まれます。
そうして作られた尿酸の約8割は「腎臓」から排泄され、残りは便や汗などで排泄されます。
腎臓のはたらきと、尿酸のはたらき
腎臓は、体内に残った尿酸の「産生量と排泄量」のバランスをとり、常に一定の量を保つために大きな役割を担っています。
また、尿酸には老化やがんなどの原因となる『活性酸素』(酸素が体内で変化して強い酸化作用をもったもの)を抑える『抗酸化作用』があるといわれています。
2.尿酸は、どの値から「低い」と診断される?
尿酸値の基準値は『2.1~7.0mg/dl』です。
尿酸値が、『2.0g/dl以下』の場合に尿酸値が低い、つまり『低尿酸血症』と診断されます。
3.尿酸が低い原因。体のどこに異常がある?
腎臓は、老廃物や余分な水分を外へ出して、血液をろ過する働きがあります。
腎臓に運ばれた尿酸は『糸球体』でろ過されたあと、尿細管で必要なぶんだけ吸収され、その残りが膀胱へ送られ尿として排泄されます。
この働きがうまくいかず、尿酸が大量に排泄された場合に尿酸値が低くなると考えられます。
尿酸が低いことの問題点
1.低尿酸血症になる可能性が!
尿酸が低すぎる場合を、『低尿酸血症』といいます。
女性のほうがもともと尿酸値が低いため、低尿酸血症と診断されやすいといわれています。
低尿酸血症は、尿素を作る酵素が生まれつき欠けている場合もありますが、ほとんどは腎臓から尿酸を排泄しすぎる『腎性低尿酸血症』です。
2.尿酸値が低くても痛風になる?
痛風と似た症状があらわれる
腎性低尿酸血症の場合、尿中の尿酸濃度が非常に高くなり尿酸が結晶化しやすくなるため、尿路結石をおこしやすくなります。
『痛風』も、血中・尿中の尿酸値が高く尿路結石をおこしやすく、どちらの場合も、尿路結石が体内を傷つけて血尿が出ることがあります。
自覚症状は?
尿路結石の多くは腎臓で作られますが、腎臓にあるときには自覚症状はありません。
しかし、尿とともに降りてきたときに、尿路で詰まると激痛が起こります。
3.尿酸値が低いまま放っておいても大丈夫?
低尿酸血症に対する治療は、とくにおこないません。
しかし、腎性低尿酸血症の場合は、重い合併症として運動後に『急性腎不全』をおこすことがあります。そのため、運動前にはじゅうぶんな水分補給が必要です。
4.尿酸値は自然に『正常値』になる?
低尿酸血症に対する治療はありませんが、体の状態によって尿酸値が基準値内になることもあります。
そのため、定期的に測定をして体の状態を把握することが大切です。
尿酸値が低い場合の対処法
1.尿酸値を上げる食べ物
尿酸値を上げる食べ物として、「揚げ物」や「ラーメン」などの高エネルギーの食事や「お酒」があげられます。
しかし、塩分や脂肪分も多いため、食べ過ぎると『高血圧』や『肥満』になり、ほかの病気になる恐れもあるので適量を摂るようにしましょう。
プリン体を多く含む、『レバーなどの内臓類』『真いわし』『かつお』『干ししいたけ』などは尿酸のもとになるので、上手に料理に取り入れるとよいでしょう。
2.食べ物以外で尿酸値を上げる方法
尿酸のもととなる『プリン体』を増やすために以下の方法を取り入れるのがおすすめです。
細胞の新陳代謝をよくする
「適度に体を動かす」「体を冷やさない」「栄養バランスのよい食事を摂る」「ストレスをためない」「じゅうぶんな睡眠をとる」などを意識して生活しましょう。
筋肉の新陳代謝が活発にする
たんぱく質を補給し、体をこまめに動かすことです。
ATP(アデノシン三リン酸)を使う運動をする
「ATP」はプリン体を合成する材料になるため、尿酸に分解されます。「筋トレ」など、ハードな無酸素運動を取り入れるとよいでしょう。
しかし、『腎性低尿酸血症』の場合、激しい運動は合併症のリスクを高めることもあります。必ず主治医に相談してからとり組みましょう。
3.病院を受診するタイミングは?
自覚症状がないため健診で尿酸値が低ければ、内科や腎臓内科で継続して検査をおこないます。
定期的に、腎臓の機能低下や尿路結石ができていないかを確認することが大切です。
まとめ
高尿酸血症も低尿酸血症もあまり自覚症状がないので、健診で気づいたらまず病院を受診してみましょう。
とくに、『低尿酸血症』は合併症が非常に危険です。運動後に急性腎不全になった場合は、「腰や背部の痛み」、「吐き気」や「嘔吐」などの症状があらわれます。
ふだんから水分をじゅうぶんにとって予防に努め、定期的な受診で合併症がないか確認することをおすすめします。
執筆・監修ドクター
経歴1996年 埼玉医科大学卒業
1997年 埼玉医科大学第一外科入(一般外科、呼吸器外科、心臓血管外科)終了
1999年 戸田中央総合病院心臓血管外科医として就職
2000年 埼玉医科大学心臓血管外科就職
2006年-2012年3月 公立昭和病院心臓血管外科就職
2012年4月 岡村医院、医師として勤務
2012年7月 岡村クリニック開院
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