低尿酸血症とは
低尿酸血症(ていにょうさんけつしょう)とは、尿酸の排泄量が増加し、血液中の尿酸の値が2.0ミリグラム/dl以下になってしまう、珍しい遺伝的疾患です。
近位尿細管が遺伝的要因で機能が落ちることにより尿酸が再度吸収されず、体内に戻ることなく尿中に尿酸が排泄されます。低尿酸血症の中でも「腎性低尿酸血症」が特に割合が高いです。
血液中の尿酸は腎臓には糸球体という場所があり、糸球体を通る際に、濾過されてほとんどが原尿となります。原尿は、糸球体を通った後、近位尿細管という場所を通ります。
その際、尿酸は再度吸収されて、尿として排出されずに、体内に戻ります。尿酸が尿として排泄されるのは大体6〜10%です。
腎性低尿酸血症は、健康診断などで血清尿酸値が低いことから偶然見つかることが多くあります。
低尿酸血症の症状
低尿酸血症そのものには自覚症状がありません。しかし、症状がないため、知らないうちに合併症を起こしていることも多いです。症状が出ているときにはすでに合併症が起きている場合もあります。
合併症として中でも特に多い病気に「運動後急性腎不全」があります。運動後急性腎不全は運動後、数時間経過した後、吐き気や嘔吐、急激に腰背部が痛くなるなどの症状が出ます。
また、尿路結石も合併症の1つであり、血尿や背部の痛みといった症状が出ます。
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低尿酸血症の原因
低尿酸血症は、腎性低尿酸血症の割合が高いことから、病名の通り、腎臓での機能不全が起因していると考えられています。
本来、尿酸は「一部が再度吸収されて、尿として排出されずに、体内に戻る」という流れをとっています。
ところが、近位尿細管が遺伝的要因によって機能が落ちてしまうと、尿酸が再度吸収されなくなることで体内に尿酸が戻らなくなり、尿中に排泄されます。その結果、血清尿酸値が低くなってしてしまうのです。
低尿酸血症の予防・治療方法・治療期間
低尿酸血症は特に治療方法がないことから、日常生活に置いて、合併症を起こさないように留意する必要があります。
合併症の1つである、運動後急性腎不全を引き起こすことを防ぐため、激しい運動や無酸素運動を避ける必要があります。
また、脱水も運動後急性腎不全の引き起こす要因となるため、運動前はしっかり水分補給を行い、脱水にならないように注意します。
ウイルスや細菌などによって引き起こされる風邪などの場合、抗炎症薬を内服する事があります。
抗炎症薬は運動後急性腎不全を発症しやすいため、抗炎症薬を飲む場合は、注意が必要です。運動後急性腎不全の症状が重い場合は、透析を行う場合があります。
低尿酸血症の治療経過(合併症・後遺症)
低尿酸血症になりやすい年齢や性別
腎性低尿酸血症の有病率は、低尿酸血症を血清尿酸値2.0 ミリグラム/dl以下とした場合、日本人の0.2〜0.5%程度の割合と推測されています。
性別での割合は、男性では約0.2%、女性では約0.4%です。
閉経前の女性の有病頻度が高いと考えられており、その反面、年齢が上がるにつれて、有病率が低くなります。
その背景として、閉経に伴い女性ホルモンの関係で血清尿酸値が低くなると考えられています。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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