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アスベストが引き起こす…悪性胸膜中皮腫とは?症状や治療法について

更新日:2017/08/10 公開日:2017/08/10 view数:847
悪性胸膜中皮腫

『悪性胸膜中皮腫』は珍しいがんの一種です。発症には、『アスベスト(石綿)』が大きくかかわっています。

この記事では、悪性胸膜中皮腫はどんな病気か、原因や治療法について解説します。

目次
  1. 悪性胸膜中皮腫について
  2. 悪性胸膜中皮腫の検査について
  3. 悪性胸膜中皮腫の治療について
  4. 悪性胸膜中皮腫の転移や再発、補償制度について
  5. まとめ

悪性胸膜中皮腫について

1.悪性胸膜中皮腫ってどんな病気?

悪性胸膜中皮腫

『中皮腫』とは、胸部の肺や心臓、胃腸、肝臓などをつつむ『中皮』という膜に腫瘍ができることです。その中でも、胸膜に発生し、悪性の腫瘍を『悪性胸膜中皮腫』と呼びます

悪性腫瘍は、1か所にかたまって大きくなるものもあれば、腫瘍が他の場所に広がることもあります。

男女ともに発症する病気ですが、比較的、中年以降の男性がかかることが多いです。

2. 悪性胸膜中皮腫を発症する原因について

悪性胸膜中皮腫の原因の多くを占めるのが『アスベスト(石綿)』です。全体の70~80%がアスベストによるものです。そのため、アスベストをどれくらい吸い込んでいるかが、発症にかかわってきます。

また、ウイルスに感染することで、悪性胸膜中皮腫にかかる恐れもあります。

3.悪性胸膜中皮腫の症状とは?

悪性胸膜中皮腫

胸の痛みや咳、胸に水がたまる胸水など

悪性胸膜中皮腫の症状は、『胸の痛み』や『咳』、胸膜からできる空間(『胸膜腔』)に異常に液体がたまる『胸水』などがあらわれます。

発熱や体重減少がみられることも

加えて、ほかの悪性腫瘍と同様に、『発熱』や『体重減少』がみられることもあります。しかし、これは悪性胸膜中皮腫に限った症状ではなく、これだけで悪性胸膜中皮腫だと言い切ることはできません。

悪性胸膜中皮腫の検査について

1. どこの病院へ行くべき?

悪性胸膜中皮腫

大きい総合病院か、ひとまず近くの内科へ

悪性胸膜中皮腫の診断には、『CT検査』などが必要になることが多いため、大きい総合病院などを受診するとよいです。

また、近くの内科で相談し、問診を受けるのもひとつの方法です。そこからさらに検査や治療が必要な場合は、紹介状を書いてもらいましょう。

アスベストを吸い込んだかも…その場合は医師へ相談

また、先に解説したように、悪性胸膜中皮腫はアスベストと非常に深くかかわる病気です。アスベストを吸い込んだと思われる経験があれば、医師に話しましょう

アスベストを扱う工場で働いたことや、建築業の仕事をしたことはないでしょうか。また、居住環境も重要です。工場周辺や、産業廃棄物処理用周辺での居住歴の確認も、病気をみつける手がかりになります。

アスベストを吸ってから40年ほど経って発症する!

悪性胸膜中皮腫は、アスベストを吸ったと思われる時期から、40年ほどの長い期間を経て発症します。過去の仕事や居住地について思い出しておくとよいでしょう。

2. 悪性胸膜中皮腫の検査

レントゲンで、胸膜の肥厚や胸水を調べる

まずは、『レントゲン』を撮ることが多いです。レントゲンで、胸膜の肥厚や胸水がたまりすぎていないかなどを確認します。

CTで他に腫瘍がないか確認する

『CT』を使用して、肺周辺に他の腫瘍がないかも調べていきます。

病名の確定には生検が必要

また、病名の確定には、胸膜の『生検』が必要です。そのほか、『胸腔鏡』や開胸によって診断することもあります。

悪性胸膜中皮腫の治療について

悪性胸膜中皮腫

悪性胸膜中皮腫は、治療の難しい病気です。

5年生存率は全ステージの平均でおよそ10%です。また、なかなか見つかりにくいことから、気づいたときにはステージが進行しており、手術後も転移や再発がみられることも多いです。

1.化学療法

悪性胸膜中皮腫

悪性胸膜中皮腫で多くの場合、治療の候補となるのが『化学療法』です。

2つの薬剤を併用しておこなわれる

化学療法は、『ペメトレキセド』と『シスプラチン』という薬を併用した投与法がおこなわれることがほとんどです。この併用療法は、3週間を1クールとして、治療効果が認められるかぎり、くり返しおこないます。

副作用について

化学療法の副作用として、『吐き気』や『嘔吐』、『食欲不振』などの症状があらわれることがあります。

副作用の予防

また、治療の副作用を極力抑えるために、治療を受ける前から、葉酸とビタミンB12を投与します。化学療法の前日や当日、翌日にはステロイドを内服し、発疹の予防もおこないます。

緩和ケアがすすめられることも

重症化していたり、高齢で手術が受けられなかったりする場合は、『緩和ケア』をおすすめされることもあります。緩和ケアとは、根本的な治療ではなく、痛みを和らげたり、精神的なサポートをしたりして、質の高い療養生活を目指す治療のことです。

2.摘出手術

悪性胸膜中皮腫

手術療法には、胸膜と肺、それとともに横隔膜と心膜の一部を切除する『胸膜肺全摘出』と、胸膜だけを切除して、肺は温存させる『胸膜切除/肺剥皮術(はいはくひじゅつ)』があります。

根治できる可能性が!胸膜肺全摘出

胸膜肺全摘出は、悪性胸膜中皮腫を根治的に治療できる可能性がある、唯一の方法です。

手術が成功すれば、数年以上生きられる可能性があります。一方で、手術自体が長時間にわたる大手術になるため、体力があって、手術に耐えられると判断された患者しか受けることはできません。広範囲にわたって切除をおこなうため、手術によって死亡する確率も、6~30%と高いです。

しかし、合併症や生活の質に影響することも…

また、手術を受けても、『気胸』や『気管支漏』といった、合併症を発症する可能性もあります。

また、片肺を全摘出するため、術後は人工呼吸器が必要になります。そうすると気管切開をおこない、声が出せなくなるなど、生活の質が保たれない可能性もあります。

胸膜切除/肺剥皮術の方が軽度な手術

胸膜肺全摘出に比べて、肺を温存する胸膜切除/肺剥皮術のほうが、手術は軽度です。根治度、という点では胸膜肺全摘出に劣りますが、手術関連死亡率や合併症発生率を抑えることができます。

外科療法単独での治癒は難しいのが現状

これらの外科療法で、病巣を完全に切除できたとしても、外科療法単独での治癒は難しいのが現状です。そのため、悪性胸膜中皮腫の予後は厳しいと言えます。

3.放射線治療

放射線治療は、胸痛や背部痛などの痛みの緩和、骨や脳などの遠隔転移した病巣の制御のために用いられることが多いです。

手術後に放射線治療をおこなうことも多く、重要な治療手段だといえます。

悪性胸膜中皮腫の転移や再発、補償制度について

悪性胸膜中皮腫

1.転移の可能性について

悪性胸膜中皮腫は、根治的な治療が難しいため、転移の可能性は多いにあります。

また、発見された時点でステージが進行していて、その時点で転移が認められる、ということもあります。

2.手術をしても再発することも

先に解説した胸膜肺全摘出をおこなっても、再発する可能性は十分あります。

また、胸膜肺全摘出以外の方法で、根治させることは現在の医療では不可能です。そのため、まずは症状の悪化を少しでも食い止めることが大切です。

3.アスベストによる健康被害の補償・救済制度

アスベストによる健康被害を受けられたかたには、2つの補償・救済制度があります。

・労働者災害補償保険法による保険給付

・労働者災害補償保険法による保険給付

詳しくは、都道府県の労働局、労働基準監督署に問い合わせてみるとよいでしょう。

まとめ

悪性胸膜中皮腫は、悪性腫瘍のなかでも珍しい病気です。

いまだ明確な治療法や予防法はありませんが、いくつかの治療を組み合わせることで、再発を防ぐ対策をすることはできます。医師と相談しながら治療に取り組みましょう。

執筆・監修ドクター

岡村 長門
岡村 長門 医師 岡村クリニック 院長 担当科目 心臓血管外科/循環器内科/内科

経歴1996年 埼玉医科大学卒業
1997年 埼玉医科大学第一外科入(一般外科、呼吸器外科、心臓血管外科)終了
1999年 戸田中央総合病院心臓血管外科医として就職
2000年 埼玉医科大学心臓血管外科就職
2006年-2012年3月 公立昭和病院心臓血管外科就職
2012年4月 岡村医院、医師として勤務
2012年7月 岡村クリニック開院

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