貧血で病院に行くべき症状は?何科?検査から治療まで詳しく解説
女性の多くが悩む『貧血』ですが、病院に行くか行かないかで悩んでいる方は多いですよね。
めまいや吐き気、だるさ、頭痛など、貧血には多くの症状があり、どんな症状が出るかは人によってちがいます。
また、女性は生理の影響で貧血を起こしていることもあるでしょう。
この記事では、『貧血』で病院に行くタイミングや、検査法、治療法について解説していきます。
『貧血』についてくわしく教えて!
貧血の原因や、自分では気づきにくい鉄分不足のサインについて、解説します。
1.貧血はなぜ起きるの?
原因は“血液中の鉄分不足”だった!
貧血はおもに、血液中の鉄分が不足することで起こります。
鉄分は血液中の「ヘモグロビン」を形成する重要な役割を果たしています。
ヘモグロビンは次の2つから成る複合タンパク質で、血中で酸素を運搬する働きをします。
- ヘム…赤血球にある鉄を含んだ色素
- グロビン…タンパク質
つまり鉄分が不足するとそれに比例してヘモグロビンも少なくなるので、全身が酸欠状態となり貧血が起こる仕組みです。
貧血が女性に多い理由は?
ほとんどの貧血は『鉄欠乏症』によるもので、赤血球の産生に必要な『鉄』の貯蔵量が不足・欠乏することで起こります。
これは女性が約7割を占めていますが、その理由としては女性は「生理」があり出血量が多くなるためです。
そのため、倒れるほどの貧血ではなくても、女性の1割が「貧血」による症状に悩んでいるといわれています。
2.貧血を起こしたときにあらわれる症状
貧血の症状は体全体にあらわれ、倒れるまでいかなくてもさまざまな不調を引き起こします。
この症状が出ている人は要注意!
ふだんから、疲れやすい・だるい・めまいがするなどを感じている人は貧血の症状が出始めている可能性があるといえます。
ほかに、眠気・吐き気・胃痛・頭痛なども貧血が原因かもしれません。重症化していると、動悸や息切れを感じる人もいます。
こんな症状も、じつは貧血かも?
肩が凝りやすくなった・顔色が悪い気がする・食べ物が飲み込みづらいなど、なんとなく不調を感じる場合も貧血の可能性があります。
ほかの症状もいくつか当てはまっていれば、貧血の可能性が高いでしょう。
えっ?これも“鉄分不足”による症状!?
肌が乾燥してツヤがなくなる、口の端が切れるなどの場合は鉄分不足が考えられます。
また、舌に苔が生えておらずツルツルしている場合も、鉄分不足の可能性が高いです。
貧血を放置するとどうなる?病院には行くべき?
1.貧血を放置すると…
貧血の症状が出ているまま放置すると、重症化して嘔吐や意識をなくして倒れてしまうなどの症状が出る可能性があります。
日常生活が送れないような症状が出たら、その時点ですぐに病院を受診しましょう。
貧血には鉄欠乏症だけでなく、ガンなどの大きな病気が潜んでいる可能性もあります。
2.男性の貧血は、病気の可能性が高い!?
女性は生理によって定期的に血液を失いますが、一時的なもので適度な量であれば貧血を起こすことはありません。
しかし、男性に貧血の症状があらわれた場合は、ほかの病気が潜んでいる可能性が高いといえます。
一度病院を受診するなどして、十分に注意しましょう。
3.病院へ行くべき貧血の症状
こんな人はすぐに病院を受診してください!
次のように日常生活が送れないほどの症状に悩まされている方、一度でも倒れたり意識がなくなったりした方はすぐに病院を受診しましょう。
- めまいで立ち上がれない
- 歩いていてもフラフラする
もしかして貧血?と感じているなら一度受診を
ふだんから貧血っぽいと感じている方や、すでに慢性的な貧血に悩まされている方は、一度病院を受診してほかの病気がないか確認するほうがよいでしょう。
貧血であれば、薬で鉄分を補うなどの対処法が見つかるかもしれません。また、サプリメントで補う場合もあります。
4.何科の受診がおすすめ?
総合病院の『血液内科』か、お近くの『内科』へ!
総合病院などの大きな病院には、貧血の専門の『血液内科』があります。家の近くにそのような病院がなければ、まずは近くの『内科』に相談しましょう。
内科でも、血液検査や貧血かどうかを調べる検査はできます。必要であれば大きな病院や血液内科への紹介状を書いてくれます。
生理と関係している場合は『産婦人科』でもOK
女性の場合、貧血が生理時に起こりやすいなど、生理と関係している場合には『産婦人科』を受診してもよいです。
原因がわからない場合や、生理とは関係なく貧血の症状が出ている場合は内科でよいでしょう。
病院で受ける貧血の検査や治療
1.貧血の検査方法
『血液検査』で鉄分の量をチェック!
日本人で貧血の症状が出ている人の7割は『鉄欠乏症』だといわれています。
そのため、鉄分が欠乏しているかどうかを『血液検査』で調べる必要があります。
検査では、ヘモグロビンの数値だけでなく、赤血球が製造されるスピードや流れるスピード・赤血球の大きさ・身体に貯蓄されている鉄分の量などで判断していきます。
『鉄欠乏症』になっているかどうかで、治療が分かれます
鉄欠乏症でないとわかればほかの病気の可能性があるため、血液検査による赤血球・好中球・血小板の確認や、胃内視鏡検査などが必要です。
鉄欠乏症だとわかれば、「慢性的な出血があるかどうか」、「鉄分の摂取不足ではないか」などを調べ、治療法を決定していきます。
2.“鉄分不足”による貧血の治療法
『鉄剤』を服用するのが一般的な治療
治療法は原因や度合いによって人それぞれですが、『鉄剤』という薬を服用するのが一般的です。
女性は、生理のタイミングに合わせて服用することが多いですが、症状がひどいときには1日1~2回の服用が必要になることもあります。
服用後、1ヶ月前後でヘモグロビンが増加!
薬を飲み始めて1ヶ月前後でヘモグロビンが増加するといわれています。
症状を確認しながら薬の量を調節し、具体的な数値を見るときは血液検査をおこないます。
慢性的な貧血を完治させるには、長期的な鉄剤の服用が必要となるでしょう。
重い症状が出ている場合の治療
吐き気などの重い症状が出ている場合は、点滴や注射で鉄剤を身体の中に補充することもできます。
この場合、入院は必要ありませんが、定期的な通院が必要です。
まとめ
『貧血』は、体全体に不調を引き起こす、あなどれない症状のひとつです。
その多くは『鉄欠乏症』によるものですが、まれにガンなどの重い病気が潜んでいることもあります。
慢性的な貧血に悩まされている方や、吐き気や意識がなくなるなどの重い症状を抱えている方は、まず近くの内科で血液検査をしてください。
また、普段の食生活では肉や魚などに含まれる「ヘム鉄」と、海藻や野菜などに含まれる「非ヘム鉄」をバランス良くとるよう心がけましょう。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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