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医師が提案する5つの熱中症予防対策

医師が提案する5つの熱中症予防対策|夏の特集

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虎溪則孝 先生

【執筆ドクター】

虎溪医院 虎溪 則孝 先生

目次
  1. 重症度別!熱中症の症状
  2. Ⅰ度(応急処置と見守り)
  3. Ⅱ度 (医療機関へ)
  4. Ⅲ度 (入院加療)
  5. 熱中症が疑われる場合の対処法
  6. 熱中症の5つの予防方法
  7. 熱中症に分類される病名
  8. 熱中症に関する統計

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重症度別!熱中症の症状

熱いところに居た後の体調不良は、熱中症の可能性があります。
従来から熱けいれん、熱失神、熱疲労、熱射病という症状による病名(国際分類)が使用されてきましたが、熱疲労の中にも生命にかかわるような状態が含まれることを懸念し、我が国では2015年に日本救急医学会が重症度による分類(Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度)が提唱され、全体を総称して「熱中症」と呼ぶようになりました。

重症度Ⅰ度Ⅱ度Ⅲ度、それぞれの状態で起こりうる症状を解説します。

熱中症重症度

Ⅰ度(応急処置と見守り)

Ⅰ度は、現場にいて対処可能な病態です。
意識の状態
はっきりしている
症状
めまい/立ちくらみ/生あくび/大量の発汗/筋肉痛/こむらがえり

Ⅱ度 (医療機関へ)

Ⅱ度は、速やかに医療機関への受診が必要な病態です。
意識の状態
集中力や判断力が低下している
症状
頭痛/嘔吐/だるさ/虚脱感

Ⅲ度 (入院加療)

Ⅲ度は、入院(場合により集中治療)が必要な病態です。
意識の状態
呼びかけたり体をゆすったりしないと眠ってしまう、またはそれ以上に悪い
症状
けいれん発作/座っている姿勢が保てない/歩けない/うまく話ができないなど
血液検査
肝・腎機能障害、血液凝固異常(播種性血管内凝固症候群)
※臓器の状態と血液の状態を調べる検査を実施します。
体温が上がると血管が拡張する一方で、多汗により水分が失われたため血液が少ない状態に陥ります。そのため血液の循環が悪くなり、臓器に影響が出ます。

熱中症が疑われる場合の対処法

熱中症が疑われる場合の対処法

熱中症に陥った人(熱中症が疑われる人)が出た場合、次のような手順で対処してください。

Check1:呼びかけたとき、応答はあるか?

応答あり
1 涼しい場所に移動してもらい、衣服をゆるめて身体を冷やします。
2 「氷」「保冷剤」「濡れタオル」などを「首 / わきの下 / 太ももの付け根」にあてると効果的です。
応答なし
1 まず、119番に電話をかけて救急車を要請します。
2 付近に涼しい場所があれば、速やかに移動させましょう。
3 患者の衣服をゆるめて、「氷」「保冷剤」「濡れタオル」などで、「首 / わきの下 / 太ももの付け根」を冷やしましょう。
※「意識がない」または「意識がはっきりしない」状態の場合、無理に水を飲ませようとするのはよくありません。

要チェック!
呼びかけに応答があってもⅡ度の症状がある、もしくはⅠ度でも適切な処置の後改善が見られない場合は速やかに医療機関に搬送が必要です。
呼びかけに応答がない場合はすでにⅢ度です。
集中治療を要する可能性が高いためすぐに救急車要請が必要です。

Check2:水分を自分で摂取できるか?

摂取できる
可能なら「経口補水液」を摂取させます。経口補水液がない場合は、「スポーツドリンク」「食塩水(濃度0.2%程度)※」を飲ませてください。
※1Lの水に1-2gの食塩と砂糖大さじ2-4杯(20-40g)の糖分を加えたものが理想です。
摂取できない
早急に医療機関を受診する必要があります。
移動手段がなければ、迷わず救急車を要請します。

Check3:症状は十分に改善したか?

改善した
しばらくの間は、そのまま安静を保ちます。
十分に休息した状態で、帰宅させます。
改善しない
医療機関を受診します。
上記の対応をする際、基本的に「判断に迷ったら救急車を呼んで医療機関へ」という選択をしてください。
また、熱中症は短時間のうちに悪化する例も多いので、必ず誰かが付き添って、様子を確認し続けるようにしましょう。
熱中症はⅠ度、Ⅱ度であれば回復する可能性が高いですが、Ⅲ度では生命にかかわります。
「悪化しないうちに対処すること」が何より重要です。
Ⅱ度で医療機関を受診した場合の多くは、点滴治療を行い症状の改善の具合を確認します。
必要に応じて血液検査を行い、肝機能障害、腎機能障害、血液凝固能の異常がみられた場合は入院治療、場合によって集中治療が必要となります。
体の外からだけではなく、体内からの冷却を追加します。
重症例では呼吸、循環管理が必要になります。
Ⅲ度の段階に至ると、医療機関に搬送しても救命できないケースが出てきます。
猛暑の時期では10~15分で急激に悪化する恐れもありますから、判断に迷ったときは救急車を呼びましょう。

熱中症の5つの予防方法

熱中症の5つの予防方法

熱中症を予防するために、5項目に注意すると良いでしょう。

1 夏場はこまめに水分補給をする。

喉が渇いていない場合でも、1時間に1回は水分を摂取するようにしてください。

推奨される飲水量

学童から成人および高齢者: 500~1000mL/日

幼児: 300~600mL/日

乳児: 30~50mL/日

発汗によって塩分と水分が失われるので、補給が必要。
経口補水液、スポーツドリンク他、梅昆布茶やみそ汁などもミネラル、塩分が豊富に含まれており、熱中症予防に有効である。

水分補給のとき、カフェイン、アルコールが含まれる飲み物はNG?

アルコールは利尿作用が強いので水分補給には適していません。
一方で緑茶、ウーロン茶などに含まれるカフェインには利尿作用があり、注意が必要ですが一概に水分補給に適していないということは言い過ぎかもしれません。

お茶、水、スポーツドリンクなどの水分摂取内容は来院時の重症度に影響しなかったとの報告(※参考)もあります。

他に適切な水分摂取方法がない状況であれば、これらの飲料の他に塩飴や梅干しなどの塩分を同時に摂取するよう心がけましょう。

※参考文献:労働中に起こる熱中症の来院時重症度に影響する因子 ICUとCCU 集中治療医学
著者:永田功、三宅康史、有賀徹

2 エアコン・扇風機などを適度に利用する。

熱中症が起こりやすいのは「気温・湿度が高く、風のない場所」です。
近年、自宅などの室内で熱中症を起こす例も増えてきました。さ
熱中症を「炎天下で運動をしている人の病気」と考えていると、対処が遅れる恐れもあります。
室内で安静にしていても、熱中症のリスクは存在します。

3 直射日光を避ける工夫をする。

頭部に直射日光を浴びると、熱中症にかかりやすくなります。
帽子、日傘などを活用して、直射日光を避けるようにしましょう。

4 急激な気温の上昇に警戒する。

熱中症が起こりやすいのは、「気温が急激に上昇した日」です。
たとえば最高気温が30℃未満だった日の翌日、急に35℃を超えるような場合は、その日からしばらく熱中症が増加すると言われています。
急激な気温上昇があったときは、ふだんより一層の注意が必要です。

例年梅雨明け直後、または梅雨明け前の連続した晴天に熱中症の発生ピークがあります。
同じ気温であれば湿度が高いほど危険度が高い傾向です。

5 睡眠をしっかりとる。

睡眠不足が続くと自律神経の働きが低下し、熱中症をおこしやすくなります。
早寝早起きを心がけることはもちろんですが、質の良い睡眠を確保するために、エアコンなどで寝室の温度を調整しましょう。

熱中症に分類される病名

1.熱失神

具体的な症状

立ちくらみ / めまい / 失神
身体が熱くなると、(外気に近い)皮膚表面の血管が拡張します。
血液の熱を逃がし、体温上昇を防ぐためです。
しかし、「血管拡張の継続」に加えて「多量の発汗」が起きると「血管が拡張しているのに血液量が少ない状態」に陥ります。
脱水で血液量(血管中の水分量)が減るからです。

その結果、血液の循環が悪くなり、特に脳の血流が低下します。
そのため「低血圧症状」「立ちくらみ」が起こります。
熱失神の段階では、基本的に体温の上昇はありません。

 

2.熱痙攣(ねつけいれん)

具体的な症状

筋肉痛 / 筋肉のこわばり / 足がつる / 筋肉の痙攣 / 口が乾く / 気分が優れない

発汗では、水分だけでなく塩分(塩化ナトリウム)も失われます。
大量発汗のあと、水分だけを補給すると「極端な塩分不足」に陥ります。
塩分が欠乏すると「血液中のナトリウム濃度」が下がり、低ナトリウム血症を起こします。
ナトリウムが欠乏すると、痙攣などの症状をきたします。
熱痙攣の段階になると、若干、体温が上昇する場合があります。

 

3.熱疲労

具体的な症状

頭痛 / 吐き気 / 嘔吐(おうと) / 全身倦怠感 / 軽度の錯乱(さくらん)頻脈(ひんみゃく:脈が速くなる) / 尿量減少

「脱水」「血液循環不全」が顕著になると、全身症状が目立ってきます。
体温は正常な場合もあれば、大きく上昇する場合もあります。
熱射病の手前の状態と考えられていますが、重症(Ⅲ度)のこともあり注意が必要です。

 

4.熱射病

具体的な症状

意識障害(昏睡、呼びかけに応えない、言動がおかしい)/ 全身の痙攣 / 歩行困難 / 体温上昇 / 皮膚の乾燥

「脱水」「血液循環不全」がさらに悪化すると、意識障害が現れます。
「現在の日時がわからない」「今いる場所がわからない」などの症状が出ることもあります。
著しい脱水で発汗が止まり、皮膚表面は乾燥してきます。
体温が上昇し、40℃以上に達します。
体温が42℃を超えた場合、多臓器不全により生命にかかわる恐れもあります。

熱中症に関する統計

総務省(※)は「熱中症による救急搬送状況」を公表しています。
そこで、2015年以降における「5~9月の救急搬送人員数」を確認してみましょう。

※救急搬送をおこなうのは消防署であり、消防庁を管轄しているのが総務省であるため。

救急搬送された人数 死亡者数
2015年5~9月 5万5852人 105人
2016年5~9月 5万412人 59人
2017年5~9月 5万2984人 48人

例年、5万人以上が熱中症により救急搬送されています。死亡者数は50~100人程度で推移しています。

次に、熱中症で搬送された人の年齢区分です。

18歳未満 18歳以上65歳未満 65歳以上
2015年5~9月 14.0% 35.8% 50.2%
2016年5~9月 14.0% 36.0% 50.0%
2017年5~9月 15.4% 35.6% 48.9%

熱中症全体では男性で頻度が多く、若年男性ではスポーツ、中壮年男性では仕事中の発生頻度が高いです。
高齢者では男女とも運動ではなく日常生活の中で起こる熱中症(非労作性熱中症)が多い傾向です。
屋内で発症する熱中症の頻度が増えており、一人暮らし、エアコン未使用者では特に注意が必要です。
高血圧糖尿病認知症などの持病がある人は重症化しやすいので特に気を付ける必要があります。

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