日焼け後にかゆくなる理由。対処法は?かゆみ止め薬は使っていい?
うっかり日焼け対策をせずに外出した後、肌がかゆくなってしまったことはありませんか?
日焼けによるかゆみはブツブツを伴うこともあり、適切な処置が必要です。
この記事では日焼け後にかゆみが出る理由や、かゆみを抑える対処法について解説します。
日焼けとかゆみの関係とは?
1.日焼けで肌がかゆくなる原因
日焼けで肌がかゆくなる原因は、おもに下記のふたつが考えられます。
炎症部分の修復
日焼けによって皮下組織まで炎症がおよぶと、炎症部分の修復をしようとリンパ液が集まってきます。
リンパ液は健康な皮膚には刺激となるため、その液が水ぶくれをつくるとかゆみの原因となります。
特に治りかけの頃に、水ぶくれの周りがかゆくなることが多いです。
乾燥
日焼けは軽度のやけど状態なので、皮膚が熱を持つことで水分不足となり、乾燥しやすくなっています。
そして乾燥はかゆみの原因となります。
2.かゆみが出る人と出ない人の違い
日焼けは紫外線を浴びたことで皮膚が炎症を起こしている状態です。
日焼けには「サンバーン」と「サンタン」の2種類があります。
- サンバーン:肌が赤くなって元に戻り、黒くはならない。色白の人に多い。
- サンタン:肌が赤くなることはなく、黒く変化する。色黒の人に多い。
この違いはその人が持っているメラニンの量によって生じるものです。
かゆみが起こるのはメラニンの少ないサンバーンのみで、日焼けからおよそ2~3日後がかゆみのピークとなります。
湿疹やブツブツを伴うかゆみについて
かゆみの他に湿疹やブツブツがみられる場合、『日光皮膚炎』を発症している可能性があります。
日光皮膚炎は紫外線アレルギーともよばれ、紫外線への抵抗反応としてかゆみや湿疹が起こります。
日光皮膚炎の原因
日光皮膚炎の原因はメラニンの量です。メラニンは紫外線によるダメージから肌を守ってくれる役割を果たしますが、その量は人によって違います。
特にサンバーンになりやすい色白の人は、メラニンの量が少ないため紫外線への抵抗力が弱く、色黒の人よりも日光皮膚炎を起こしやすいと言えるでしょう。
皮膚にとって有害とされる紫外線は2種類あり、主にB派が日光皮膚炎の原因となります。
- A波(UVA):肌の奥まで届くのでシミやしわの原因になる
- B波(UVB):肌表面を集中的に傷め、細胞を傷つけ炎症を起こす
日焼けによるかゆみの対処法
1.かゆみを抑える処置を!
掻くと皮膚を傷つけて細菌感染を起こす恐れがあるため、かゆくても掻いてはいけません。
かゆみは熱によって強くなる性質があるので、まずは患部を冷やします。保湿も効果的です。
それでもかゆみが治まらなければ、かゆみ止めを使用しましょう。赤みやほてりがあれば、炎症を抑える薬を塗ります。
2.炎症部分をしっかりケア
日焼けで炎症している部分は、放っておかずすぐにケアをすることが大切です。
冷やす
日焼けをしたら、患部を濡れタオルや氷嚢でしっかり冷やしましょう。
日焼けの範囲が広い人は水風呂に入るのもおすすめです。
保湿
患部の熱がとれたら、乾燥を防ぐために保湿をしましょう。化粧水やワセリンなどを使用して、水分と油分を補います。
水分補給
長時間日光に当たっていたことで脱水症状になっている可能性があるため、水分補給はしっかり行いましょう。
経口補水液やスポーツドリンクがおすすめです。
3.紫外線を避けて過ごす
日光に直接当たらない
さらに日焼けしないように、しっかり紫外線を避けて過ごしましょう。
つばの広い帽子や日傘、長袖の服、サングラスなどを利用して、日光を避けましょう。できるだけ紫外線を直に浴びないことが大切です。
日焼け止めを使う
どんなに気を付けても、紫外線を完全に避けることはできません。外出時は日焼け止めを使うようにしてください。
市販の日焼け止めには必ず『SPF』と『PA』の表記があるので、購入前にチェックすると良いでしょう。
- SPF:主にUVBカット効果がどれほどあるかを表す。数値が大きいほど効果が高い。
- PA:主にUVAカット効果がどれほどあるかを表す。+の多さが効果の高さを表す。
現時点ではSPF50、PA++++が最大値とされており、最もUVカット効果が高くなっています。
シーン別に日焼け止めを使い分ける
SPF値が高いと肌への負担も大きくなるので、次のように状況に応じて使い分けるのがおすすめです。
- プールや海:SPF50、PA++++(2時間ごとに塗り直しましょう)
- 軽い屋外でのレジャーやスポーツ:SPF30、PA++
- 短時間の買い物や散歩:SPF10~30、PA+
最近では、飲む日焼け止めも
最近では飲む日焼け止めもあり、美容皮膚科等で販売していることもあります。こんな方は試してみると良いでしょう。
- 長時間にわたるレジャーなどの予定がある人
- 肌が弱くて日焼け止めを塗れない人
- こまめに日焼け止めを塗る手間を省きたい人
また日焼け止めの使用を嫌がるお子さんにもおすすめです。気になる方は一度病院で相談してみてくださいね。
4.ビタミンを摂る
紫外線のダメージを受けてしまった肌を体の内側から修復するには、ビタミンが欠かせません。特にビタミンC、E、Aを含む食品を多く摂りましょう。
ビタミンC
ビタミンCは、肌老化の原因となる『活性酸素』の働きを抑えてくれます(抗酸化作用という)。
またビタミンEの吸収を促進する効果もあるので、併せて摂るようにしましょう。
レモンやキウイフルーツ、いちごなどの果物に多く含まれています。
ビタミンE
ビタミンEは、血行を良くして皮膚の新陳代謝を高める効果があります。ビタミンCと一緒に摂って吸収率を上げましょう。
アボカド、アーモンドなどのナッツ類に多く含まれています。
ビタミンA
皮膚や粘膜を保護し、皮膚を丈夫にする効果があります。
うなぎ、レバー、にんじんなどの緑黄色野菜などに多く含まれています。
日光皮膚炎の治療について
かゆみの他に湿疹やブツブツを伴う『日光皮膚炎』は、皮膚科でしっかり治療しましょう。
治療法としては、主に外用薬を使用します。
炎症の程度に応じて非ステロイド性消炎鎮痛剤やステロイド剤が処方されますが、範囲が広い場合にはスプレータイプの薬が処方されることもあります。
炎症が治まった後も皮膚の乾燥を防ぐために、化粧水やワセリンで水分と油分を補いましょう。
まとめ
日焼け後にかゆみやブツブツが出やすい方は、日頃から日焼け止めをしっかり塗って意識的に紫外線を避けましょう。
それでも日焼けを避けられなかった場合は、すぐに冷やしたり保湿をしたりして対処してくださいね。
何日もかゆみや湿疹が引かないときは、皮膚科を受診することをおすすめします。
執筆・監修ドクター
経歴北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
を経て横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長 就任
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