しんきんしょう心筋症
心筋症とは?
心筋症は心臓の筋肉の病気です。心筋の異常によって「心不全」の症状を発症します。
原因不明のものも多く、完全に治療するのは難しいケースもあります。
原因の疾患がわかっている2次性心筋症の場合は、原因を改善することで治療が可能な場合があります。
心臓移植をしなければ完治しないケースもあり、難病というイメージもありますが、治療薬も開発されており、病気の状態を確認しながら治療します。
心筋症と心臓の血管が詰まることでおこる「心筋梗塞」は別の病気ですが、心筋梗塞を虚血性心筋症とよぶこともあります。
心筋症を放置していると、心不全が慢性化した慢性心不全になります。
すぐに疲労を感じやすくなったり、息切れをするようになります。
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心筋症の症状
無症状の場合も少なくありませんが、軽労作での息切れ、呼吸困難、動悸(どうき)、むくみ、疲れやすさなどが特徴です。
心筋症の診療科目・検査方法
いずれも診断のきっかけは身体所見および心電図、胸部写真ですが、心臓超音波含め総合的に判断します。
心電図や胸部写真で異常を認めた場合には、循環器内科受診が推奨されます。
心筋症の原因
原因がわかっている場合かどうかで分かれます。
(原因不明の)特発性心筋症:肥大型心筋症(※1)、拡張型心筋症(※2)、拘束型心筋症(※3)、不整脈源性右室心筋症(※4)などが挙げられます。
(原因のはっきりしている)二次性心筋症:虚血性、弁膜症(※5)性、高血圧症性などに分類されます。
心筋症の予防・治療方法・治療期間
特発性の場合はその病気に対して特異的な治療法はなく、まず薬物治療が選択されます。慢性心不全には心不全治療薬の投与継続が必要です。
心筋症の重症度、種類によって治療期間は異なります。主治医の指示に従って通院を続ける必要があります。
心筋症の治療経過(合併症・後遺症)
一般的には薬物治療が全例必要です。継続した治療が必要になるケースもあります。
心筋症になりやすい年齢や性別
心筋症の種類により、頻度や発症しやすい年代、性差が異なります。
参考・出典サイト
編集部脚注
※1 肥大型心筋症
肥大型心筋症は、「心臓の筋肉が厚くなる病気」です。
心筋は内側に向かって厚くなるので、心臓内の空間が狭くなります。
・血液の流れが妨げられる
・心臓の収縮力が下がる
などの理由から、全身に血液を送り出す機能が低下します。
※2 拡張型心筋症
拡張型心筋症は、「心臓が大きく拡張する病気」です。
心臓のポンプ機能が落ちてくると、徐々に心臓の容積が大きくなります。
ポンプ機能の低下を補うため、1回の収縮で多くの血液を送ろうとするからです。
しかし、心臓が拡大すると、心臓の筋肉は引き伸ばされて薄くなります。
心筋が薄く伸びれば、それだけ収縮力は低下します。
こうして、「収縮力低下⇒拡大⇒収縮力低下⇒拡大…」という悪循環に陥り、心臓のポンプ機能はどんどん落ちていきます。
※3 拘束型心筋症
拘束型心筋症は、「心臓の筋肉が硬くなる病気」です。
「心臓の大きさ」「心筋の厚さ」に変化はありませんが、心筋のしなやかさが失われます。
心臓が拡張しにくくなり、心臓に入る血液量が少なくなります。
「心臓に入る血液量=心臓から送り出される血液量」ですから、やはり心臓のポンプ機能は低下します。
※4 不整脈原性右室心筋症(ふせいみゃくげんせいうしつしんきんしょう
不整脈原性右室心筋症(ARVC)は、「右心室の不整脈・拡大・機能低下が起こる病気」です。
1978年にはじめて報告された病気で、その当時は「右室異形成」と呼ばれました。
心臓は4つの部屋にわかれています。それぞれ、「右心房」「右心室」「左心房」「左心室」と呼ばれています。
・右心房⇒全身から返ってきた血液を受けとる
・右心室⇒肺に血液を送り出す
・左心房⇒肺から返ってきた血液を受けとる
・左心室⇒全身に血液を送り出す
ARVCは、このうち右心室に「不整脈・拡大・機能低下」が起こります。
※5 弁膜症(べんまくしょう)
弁膜症は、「心臓内の弁が正常な機能を果たせなくなる病気」です。
まず、心臓は「右心房」「右心室」「左心房」「左心室」という4つの部屋にわかれています。また、「心臓⇒全身⇒心臓」と循環する体循環のほか、「心臓⇒肺⇒心臓」とめぐる肺循環の2ルートが存在します。
その上で、(心臓⇒全身を起点に考えたとき)血液は次のように循環します。
左心房
↓
左心室
↓
大動脈
↓
全身
↓
大静脈
↓
右心房
↓
右心室
↓
肺動脈
↓
肺
↓
肺静脈
↓
左心房
血液は、この順番で循環します。当然、逆流があってはいけません。
そのため、
・三尖弁(右心房⇒右心室の間)
・肺動脈弁(右心室⇒肺動脈の間)
・僧帽弁(左心房⇒左心室の間)
・大動脈弁(左心室⇒大動脈の間)
という4つの弁が存在します。これらの弁が
・うまく開かない(血液がうまく通過できない)
・うまく閉じない(血液の逆流を防止できない)
などの状態を「弁膜症」と呼んでいます。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 近畿大学医学部卒業
東京都老人医療センター(現:健康長寿医療センター)初期研修医
2008年 独立行政法人 国立病院機構 東京医療センター 後期研修医
2010年 日本医科大学付属病院 循環器内科入局 同大学院生、久保田クリニック副院長
2014年 日本医科大学付属病院 循環器内科助教
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