かさんどらしょうこうぐんカサンドラ症候群
カサンドラ症候群(かさんどらしょうこうぐん)とは、アスペルガー症候群のパートナーや家族などと過ごすなかで、心身ともに不安定な状態になる障害のことです。対象者とのコミュニケーションにひずみや違和感を覚え、情緒的な面で関係の構築が困難になります。
それにより自信を失ったり、精神的に不安定な状態になったりします。
カサンドラ症候群は、正式な医学的分類には含まれていません。そのため、医学的な正式病名ではありません。
- 目次
カサンドラ症候群の症状
身体的、精神的症状があらわれます。
以下のような症状があらわれるとされています。
- 抑うつ状態
- 自己評価の低下
- 不眠
- 頭痛
- 無気力になる
- 孤立感、孤独感をもつ
- パニック障害(不安障害)
- 体重の増減がおこる
- 情緒不安定
- 動悸(どうき)などの自律神経にかかわる症状
- 罪悪感
- 自己喪失感
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カサンドラ症候群の原因
アスペルガー症候群は、表面上の会話は問題なくできますが「言葉の裏にある思いを読み取れない」「言葉の理解力が乏しい」「相手の気持ちを理解できない」「場の空気を読むのが苦手」などの傾向があります。そのため、人を傷つける言動や自分勝手な行動をとることが多くなります。
こうしたアスペルガー症候群のパートナーの言動や行動に対して、意思疎通が思うようにできないことでつらさを感じます。周囲の誰に相談しても信じてもらえないことから、当人がつらい思いを抱えて孤立してしまうためにカサンドラ症候群がおこると考えられています。
具体的な原因の例として以下のようなケースがあります。
アスペルガー症候群の配偶者、パートナーなどとのコミュニケーションがスムーズにおこなえず、理解し合えない、共感できないことで精神的に追い込まれたり、自信を喪失したりします。
パートナーなどへの不満を口にしても、周囲の人々からの共感を得られず、相談をしてもしっかり聞いてもらえないといったことが続きストレスが蓄積されます。
周りの人々に理解してもらえないことで、孤立感が高まり、この状態は自分のせいなのではないかと自分を責めるようになります。
カサンドラ症候群の予防・治療方法・治療期間
どのような治療がおこなわれるかについては、出現している症状により異なります。
不安症状や抑うつ症状を緩和するために支持的カウンセリングや認知行動療法をおこなうことも多くあります。
また症状によって、抗うつ薬や抗不安薬が処方されるケースもあります。しかし薬物療法のみで完治を目指すのは困難です。
医師の診察、臨床心理士によるカウンセリングが症状改善の鍵となります。
カップルカウンセリングではアスペルガー症候群のパートナーや家族と一緒にカウンセリングを受けます。お互いの状態を理解し、関係性について考え直すことで現状改善に取り組みます。
カサンドラ症候群の治療経過(合併症・後遺症)
つらい現状を少しでも良い方向に向かわせるため、当事者の気持ちを相談できる場所を見つけることが重要です。
カサンドラ症候群やアスペルガー症候群についての知見や理解がある精神科医療機関、発達障害専門外来、地域の支援センター、自助グループなどで、率直な思いや考えを相談します。
共感を得ることで気持ちが楽になり、症状が快方に向かうこともあります。
カサンドラ症候群になりやすい年齢や性別
アスペルガー症候群は、男女比がおよそ8:1と男性が多いため、そのパートナーにおこるカサンドラ症候群は女性に多い傾向にあります。
結婚後におこることが多いため成人以降におこる可能性が高い障害といえます。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター

経歴昭和61年3月 青山学院大学文学部教育学科心理学専修コース卒業
平成6年3月 東邦大学医学部卒業
平成6年4月 東京女子医大病院で臨床研修を終え、
東京女子医大精神神経科入局
平成8年7月 武蔵野赤十字病院心療内科勤務
平成11年10月 しのだの森ホスピタル入職
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