便の色が「黒い・緑・白い・赤っぽいオレンジ」健康な便は何色?薬や食べ物、病気が原因?
“便は健康のバロメーター”とも言われるほど、私たちの健康状態を顕著に表すものです。
そのため便の色をみれば体にどんな不調が起きているか、ある程度特定することができます。
この記事では、便の色が表す体の状態について、緑・黒・オレンジ・白などそれぞれの色別に解説していきます。
健康な便とは?
健康な便は、一般的に下記のような状態と定義されています。
・茶色~黄色
・バナナ型
・強く力まなくても排出できる
・一度の排便で1~3本ほど出る
・1日1~3回程度の排便がある
ちなみに便は80%が水分でできており、残る20%には食べかす・腸内細菌・剥がれ落ちた腸内粘膜が含まれています。
1.便の硬さについて
水分量が85%を超えると軟便、90%を超えると水様下痢、75%を下回ると硬い便となります。
2.便秘について
排便には人それぞれペースがあるため、「1日何回以上排便がないなら便秘」というようなことは一概に言えません。
3日に1回の排便でもすっきりと便が出ていれば問題なく、逆に毎日出るけどすっきりしないという人は便秘の可能性があります。
緑色の便の原因
緑色の便は「緑便」ともよばれ、比較的よくみられる便です。
次のようなことが原因として考えます。
1.腸が弱っている
暴飲暴食や胃腸炎などで腸が弱っていると、緑色の便が出やすいと言えます。
そもそも便が茶色いのは肝臓でつくられる「胆汁」の作用ですが、その元となる「ビリルビン」が空気に触れると酸化して緑色になります。
腸が弱ると便中にビリルビンが増えるため、これが便を緑色にする原因です。
2.薬などの成分によるもの
「葉緑素」が含まれている胃薬などを服用すると、成分の影響で便の色が緑色になることもあります。
同様の理由で、青汁を飲んだ後にも緑色の便がみられることがあります。
3.ミルクが影響している
母乳やミルクを飲む赤ちゃんにもよくみられますが、これはミルクに含まれる乳糖が乳酸菌の生成を促し、便が酸性になるためです。
これによって胆汁が酸化し、緑色に変化するため緑色の便が出ます。
生理的なものなので問題ありません。
黒色の便の原因
黒い便が出る理由として、考えられるのは4つです。
1.腸内で悪玉菌が増えている
糖質や脂質を摂りすぎると悪玉菌が増え、腸内がアルカリ性に傾くことで黒色の便が出ることがあります。
特に消化の悪い肉中心の食生活は悪玉菌を増やし、黒っぽい腐敗便の原因となります。
2.消化管の上部から出血している
特に墨汁のような真っ黒な便は「タール便」ともよばれ、消化管の上部から出血している可能性があります。
この部分から出た血液は酸化し、便と一緒に排出されるため黒色となります(肛門付近からの出血なら赤い血液が出る)。
タール便が出たら病気の可能性も
以下の病気は、症状としてタール便が出ることがあります。
タール便に伴って胃痛・腹痛・倦怠感・疲労感などの症状が現れたら、すみやかに病院を受診してください。
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3.食べ物の色素や酸化
イカ墨・海苔・わかめなどの海藻類・紫色の野菜ジュースなど摂取すると、黒っぽい便が出ることがあります。
こちらも緑色の便と同様、飲食物の色素がそのまま反映されたか、酸化が原因です。
この場合は飲食したものが影響しているだけので、病的な問題は特にありません。
4.鉄剤の服用
鉄は酸化すると黒く変色します。
体内で酸化した鉄分が便に混ざって、黒くみえることがあります。
この場合も特に体に問題はありません。
オレンジ色(橙赤色)の便の原因
消化不良による腸炎は、オレンジ色(橙赤色)の便を出すことがあります。
特に乳幼児によくみられますが、そこまで深刻な問題ではありません。
また、にんじん・オレンジ色の野菜ジュースなどを口にすると、そのまま便に色が反映されることがあります。
白っぽく色が薄い便の原因
便の色が白っぽかったり薄かったりする場合、その理由として挙げられるのは次の4つです。
1.ロタウイルスなどの胃腸炎
5歳未満の乳幼児のうち95%が少なくとも1回は感染すると言われており、10人に1人程度は重症化するとされています。
ウイルスの影響で胆汁がうまくつくられなくなってしまうと、白っぽい水下痢が出ます。
2.消化不良
脂っこいものや乳製品をたくさん摂ると胃に負担がかかり、消化できずに白っぽい便が出ることがあります。
数回で治まる場合は特に問題ありません。
3.胆のうや肝臓の病気
白っぽい便が続く場合、下記の病気が考えられます。
胆のう炎、胆石症
胆管や胆のうに異常が生じると、便が白くなってしまいます。
これは胆汁の通り道である胆管に異常が起こることで、胆汁が流れなくなり便に色がつかなくなるために起こります。
肝機能障害、肝臓がん
肝臓が正常に機能しなくなると胆汁の合成ができず、便に色がつかなくなります。
先天性胆道閉鎖症
生まれつきか生後間もなく胆管がつまってしまい、胆汁を排泄できなくなることで薄い・白っぽい便が出る病気で、生まれたばかりの赤ちゃんに発症します。
また、血中のビリルビンが増加することで皮膚や目が黄色くなる「黄疸(おうだん)」の症状も現れます。
異変がみられたらすぐに診察を受けてください。
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4.バリウムの影響
人間ドックなどでバリウムを飲むと、その影響で便が白くなる可能性がありますが、この場合は特に問題ありません。
むしろ体内に残ってしまう方が問題なので、すべて出し切ることが大切です。
まとめ
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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