胃が膨れて重い「膨満感」の原因は病気?自分でできる改善法も解説!
胃の膨満感とは、胃もたれや胃のむかつきなど、胃が膨れて重たい感じがする状態のことをいいます。
飲み会などで、たくさん食べたり飲んだりした後に、後悔する人も多いのではないでしょうか。しかし、そのような心当たりがなくても、胃の膨満感が気になることがあります。
それは、胃の運動機能に関係しており、慢性的に胃に食べたものが溜まりやすくなっていることが原因だと考えられます。
では、どのような場合に胃の運動機能が低下してしまうのでしょうか。胃の膨満感の症状と原因についてご紹介します。
胃の膨満感の原因について。病気?
1.胃の膨満感の主な症状
『胃の膨満感』とは、具体的にどのような症状のことを指すのかについて解説します。
胃に違和感がある
胃の膨満感とは、胃がもたれたり、胃が重い感じがしたり、胃が張っているように感じるなど、胃に違和感がある状態をいいます。
他によく見られる症状
胃の膨満感に伴って、上腹部痛や胸やけ、悪心(おしん)、嘔吐、食欲不振といった症状が見られることがあります。
胸やけとは、みぞおちから胸骨の下あたりのチクチクした痛みや締め付けられるような感じ、あるいはジリジリと」焼け付く感じをいいます。
悪心は胃から胸にかけてこみあげてくる吐き気のことをいいます。
2.胃の膨満感の原因
脂の多い食べものや、食べ過ぎ、不規則な食事
胃の膨満感や胃もたれの原因の多くは、普段の生活において、揚げ物や肉類などの脂っぽい食事を食べていたり、量を食べ過ぎていたり、食事の時間が不規則であったりすることが挙げられます。
これらの生活習慣は、一時的に胃に負担を与えるため、胃の運動機能が低下し、食物の十二指腸への排出が遅れます。
その結果、胃に長時間食物が残るため、胃が重い感じや張っている感じが続きます。
病気・慢性的な消化管運動異常の可能性も
上記のような心当たりがないにも関わらず、胃の膨満感や胃もたれを感じている場合、病気や慢性的な消化管運動機能異常が関係している場合もあります。
3.胃の膨満感を引き起こす病気とは?
胃炎や胃潰瘍
普段の生活の中で、暴飲暴食などの胃に負担をかけるようなことをしていないにも関わらず、慢性的に胃もたれやむかつきがある場合、考えられる病気の一つとして胃炎や胃潰瘍などの病気があります。
それぞれの病気の説明は以下になります。
- 胃炎 胃の粘膜に炎症が起こる病態
- 胃潰瘍 胃壁内側の組織に欠損が生じる病態
NUD(非潰瘍性胃腸症)の場合も
胃炎や胃潰瘍は、胃カメラや腹部超音波検査、血液検査などによって病気が認められることがほとんどです。
しかし、症状があるにも関わらず、検査をしても問題がない場合、『NUD(非潰瘍性胃腸症)』であるケースもあります。
NUDは、慢性的に胃の動きが悪くなっていたり、逆に良すぎてしまったりすることで(栄養が吸収されないまま体外に排出されてしまうことがまれにある)、 食べたものが胃から十二指腸、小腸へと進んで行かず、長時間にわたり胃の中に停滞します。
NUDには以下のような分類があります。
- 運動不全型:胃もたれ、むかつき、嘔吐、腹部痞満感、食欲不振
- 胃食道性逆流症:胸やけ、胃酸逆流
- 潰瘍症状型:空腹時腹痛、夜間腹痛
- 非特異型:上記に当てはまらないもの
この中でも、胃の膨満感の原因となるのは運動不全型です。
胃の膨満感にはどう対処する?
胃の膨満感を覚えた場合に病院でうける治療法や、自分でできる対処法などについて解説します。
1.病院でうける治療
まずは内科で相談!
胃の膨満感を感じたら、まずは内科で相談してみましょう。
胃の膨張感の他に、胃の痛みや悪心が気になる場合は、胃炎や胃潰瘍の可能性を調べることのできる、消化器内科を受診してもよいですね。
食事やストレスなどについて指導をおこなう
慢性的な胃の膨張感は、精神的なストレスによっても起こることが分かっています。
病気にかかったのではないかという不安感が悪循環を起こしてしまうケースです。
ですから、まず病院では食事の量や内容の見直しと、ストレスのかかる環境に対する改善についての指導をおこなうことが多いです。
基本的に、投薬治療を行うのは、それらの環境要因を取り除いてもなお症状が続く場合です。
2.病院で処方される、胃の膨満感の薬
胃の運動を促進する薬
低下している胃の運動機能を助けるため、胃の運動機能を促進する薬を処方されます。
- 抗コリン系
- 抗ドーパミン系
- オピエイト作動薬
消化管運動を促進し、吐き気を抑える薬
胃の運動を促進する薬の一つであるドーパミン(ホルモンの一種)は消化管を抑制するため、 吐き気や胸やけ、食欲不振などの症状が現れる場合があります。
その場合はドーパミンを抑える薬を服用します。
ドンペリドン(ナウゼリン)、メトロクラプミト(プリンペラン)といった薬が処方されます。
症状が続く場合は病院を受診しましょう
病院を受診せず、市販薬で対処したい場合は上記の処方薬の成分を参考にして、薬剤師にも相談のうえ薬を購入しましょう。
しかし、症状が続く場合は、胃に異常が認められる場合があります。なるべく早く病院を受診しましょう。
3.胃の膨満感がつらいときに。自分でできる対処法
副交感神経を優位にする
自律神経における、副交感神経を優位にすることは、消化の働きを助けます。
副交感神経を優位にするためには、リラックスすることが大切です。
横になったり、優しくお腹をマッサージしたり、ゆったりと過ごすように心がけて下さい。
無理に食事を摂らないで
胃が重たい状態で食事をすると、さらに胃の運動を妨げてしまいます。胃の膨満感が気になる時は無理に食事をせず、胃を休めることも必要です。
胃の膨満感を予防するには
1.食べ過ぎ・飲み過ぎに気をつけましょう
胃の膨満感を予防するためには、まずは食べ過ぎや飲み過ぎに気をつけることが大切です。
また、早食いや脂肪分の多い食べものや甘い物などの飲食、就寝前の間食にも注意が必要です。
毎日決まった時間にバランスの良い食事を、ゆっくり時間をかけて摂るようにしましょう。
2.ストレスをためない生活を心がける
精神的なストレスによって症状が引き起こされている場合は、ストレスをうまく発散する方法を見つけましょう。
そのためには、忙しすぎる毎日を改め、日々の暮らしにゆとりを持つことが大切です。
精神的なストレスが関係している人の中には、病院の検査で異常がないと分かると、安心し、症状が消えるという人も少なくありません。
まとめ
胃の膨満感は食べ過ぎ飲み過ぎによる一時的なものから、胃炎・胃潰瘍、NUD(非潰瘍性胃腸症)など慢性的に胃に異常がみられるものまであります。
すべてに共通して言えることは、胃の運動機能が下がることで胃が重くなることです。
消化管運動を促進するためにも、食生活の見直しとストレスの緩和を生活の中で考えていくことが大切です。
生活を工夫してもなお胃の膨満感が続く場合は、早めに病院を受診するようにして下さい。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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