ゲップが止まらない…考えられる原因や病気とは?4つの方法で改善を
仕事中や授業中、人と話している時など、急にゲップが出そうになったり、お腹が張ってガスが出そうになったりして慌てたという経験はありませんか?
食後にゲップが出ることはあっても、急にゲップが出そうになる、ゲップが止まらない等の症状がある場合は、何らかの病気が潜んでいる可能性があります。
この記事では、ゲップが止まらない場合に考えられる原因や、自分でできる対処法をお伝えします。
なぜゲップは出るの?
1.ゲップは胃の中にたまった空気が出ている!
そもそも、ゲップは体の中でどういうことが起こっている時に出るのでしょうか?
ゲップは、胃の中に溜まった空気が食道から出てくることによりおこる生理現象です。
2.なぜ胃の中に空気がたまるの?
胃の中には、何もない状態であっても、その大きさを維持できるように胃の中にはある程度の空気が入っています。
また、食べた物を消化するときには、ある程度空気が入っていた方が胃液が撹拌されて胃の中全体に行き渡らせることができるといえます。
3.ゲップが出る原因
通常、胃の中の空気は、逆流を防ぐために弁が機能します。
しかし、食べ物とともに侵入してきた空気の体積が増大すると、食道に逆流しゲップとなって出てきます。
ゲップがよく出る病気とゲップが出やすい人
1.ゲップがよく出る病気
逆流性食道炎
食べた物が消化不良のまま胃酸とともに食道の入り口付近まで逆流することで食道に炎症が起こる疾患です。
一過性ストレス
何も異常が見つからないのに、ゲップが多く出る場合に考えられるのが、強い緊張などからくる一過性のストレスです。
ストレスには、身体の中の血管を収縮させる作用があり、それに伴い胃も収縮するため、腹圧が上昇しゲップにつながります。
呑気症
呑気症は、主に精神的ストレスにより、空気を大量に吸い込むことで、消化器内にも空気が溜まり、ゲップとして出る疾患です。
慢性胃炎
ストレスが原因の一つになり、慢性的に胃酸の分泌が増加し、胃の粘膜を傷つけることで起こる疾患です。
胃潰瘍
胃潰瘍は、ストレス、ピロリ菌感染、慢性胃炎などが原因で胃酸過多になって、胃粘膜が傷つけられ、そこが潰瘍になり発病します。
機能性ディスペプシア
異常なほど出るゲップ、胃の痛み、嘔吐など、明確に消化器の異常が見られるにも関わらず、内視鏡検査では異常が見つからないというものです。
原因は解明されていませんが、ストレスが起因するとも考えられています。
胃がん
胃粘膜の内部組織がガン化する疾患です。
初期胃がんでは、胃酸分泌が増加し、胃内部にガスが溜まりやすくなり、ゲップがよく出るようになります。
胃下垂
胃下垂は、胃が正常な位置より下がっている状態のことです。そのため、食べた物の消化不良が起こりやすくなり、ゲップもよく出るようになります。
呼吸器の疾患
ポリープや悪性腫瘍により気道が狭くなり、吸った空気の一部が肺に行かず、逆流してゲップとなります。また、一度食道の方に行ってから胃に溜まっているガスと共にゲップとして出ます。
歯の噛みしめ
無意識下で歯をかみしめていると、唾液量が増えます。その唾液を飲み込むときに、空気も一緒に飲み込むことでゲップが出やすくなります。
2.ゲップが出やすい人
暴飲暴食、早食いをする人
食べ物を口に入れるのと一緒に空気も飲み込んでいることが原因である場合が多いです。
緊張やストレスにさらされている人
緊張感が高まったり、ストレスが溜まったりすると、自分でも気づかないうちに空気を飲み込むことがあります。すると、空気が胃の中にたまりやすくなります。(呑気症)
胃腸の調子が優れない人
胃腸の機能が低下すると、蠕動運動が抑制され空気の移動も滞り、逆流して口からゲップとして出てきます。
ゲップが止まらない場合の対処法
1.自分でできる4つの対処法
水を飲む
過剰摂取したガスを中和するために水を飲むことは有効です。
胃に刺激を与えないように、常温の水をゆっくり飲むことで、ゲップを抑えることができます。
顎を引く
ゲップが出そうなときは、顎を引き、気道を狭くすることで、ゲップを抑制する効果が期待できます。
姿勢を正す
胸を張り、姿勢を良くすることで気道が確保され、食べたものがスムーズに食道に運ばれ、それと同時に空気も流れていくためゲップを抑えることができます。
便秘を解消する
便秘が続くと、ガスが溜まりやすくなり、ゲップも出やすくなってしまいます。規則正しい食生活や適度な運動をし、便秘を解消するように心がけましょう。
2.病院へ行くべき症状
こんな時は病院を受診しましょう
- 毎日ゲップが多発する
- ゲップをすると、酸っぱい感じや苦い感じがする
- ゲップに加えて胸やけもある
上記のような場合は、呼吸器や消化器に何らかの異常が起きている可能性が考えられるので、医療機関を受診することをおすすめします。
3.病院でうける検査や治療
何科にかかればいい?
気になる場合はお近くの内科や消化器内科にかかりましょう。
病院で受ける検査
・胃内視鏡検査
食道から胃の内部にかけて映像で病変部位を確認することができます。
食道裂孔ヘルニアや胃がん、食道がんなども発見しやすい検査です。
・腹部超音波検査、腹部レントゲンなど
腹部超音波検査は炎症、結石、腫瘍などを見ます。腹部レントゲンでは腸管内外のガス、石灰化、腹水などがわかります。
原因に応じて治療を行なう
げっぷが止まらない原因は多岐にわたるため、病気に応じた治療を行っていきます。
ゲップを予防するには
1.市販薬(OTC医薬品)を使用する
ゲップが出るのは、往々にして胃の機能が弱っていることが考えられます。市販薬(OTC医薬品)の胃薬にも、胃の機能を促進したり、胃酸を正常に調節したり、胃の粘膜を保護したりする効果が期待できるものがあります。
ただし、市販薬(OTC医薬品)を使用しても、症状の改善が見られない場合は、できるだけ早く医療機関を受診するようにしましょう。
2.食生活の見直し・改善
ゲップが出やすくなる食習慣を改める
次のような食べ方は、いずれも胃酸分泌を促進したり、胃に過剰な負担をかけてしまい、消化不良を起こしゲップを出やすくしてしまうので気をつけましょう。
- 香辛料や脂っこい食べ物の摂りすぎ
- 早食い・食べ過ぎ
3.運動をする
運動不足は胃腸の機能を弱めてしまいます。また、自律神経も整わないため、ストレスが溜まりやすくなり、ゲップの原因につながります。
4.姿勢に気をつける
猫背は消化不良を招きやすいため、間接的にゲップの原因になることがあります。
背筋を伸ばすことを意識しましょう。
まとめ
ゲップは生理現象で、食後に消化器に溜まった空気が1~2回出る程度は異常ではなく健康な証拠です。
また、いつもよりゲップが多いなという場合でも、ほとんどが一時的な胃の不調や、逆流性食道炎が原因であることが多いので、過剰に心配しすぎる必要はないと考えられています。
しかし稀に、頻度の多いゲップが、実は胃がんなどの重大な疾患であるということがあるため、気になる症状があるときは迷わず病院を受診してください。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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