胃潰瘍の時に摂るべき食事。食べて良い食品と避けるべきメニューは?
胃潰瘍は、基本的に内服治療または点滴治療が必要となります。
出血や穿孔の恐れもあり、重度の潰瘍の場合は、絶食による入院加療が必要になることもあります。
外来通院にて治療のできる潰瘍の場合は、食事は食べていただいても問題ありませんが、食事内容は気をつけなくてはなりません。
胃の負担になるものは避け、胃にやさしく消化の良いものを食べるようにしましょう。
この記事では、具体的に食べて良い食品と避けるべきメニューについて紹介します。
治療中の過ごし方や注意点についても、併せて解説していきます。
胃潰瘍のときに避けるべき食品
基本的に、胃潰瘍がある時は消化の悪いものや胃に刺激を与える食品は避けます。
1.消化の悪い食品
揚げ物のような脂っこいものやお菓子類は、胃の負担になるので控えてください。
また、肉や魚なども消化しにくいので避けるようにしましょう。
2.刺激の強い食品
香辛料(カレーなど)や香味野菜(ニラやニンニクなど)は刺激が強いので、控えめにしてください。
食品以外にも次の飲み物は胃に刺激を与えるので、摂りすぎないよう注意が必要です。
- カフェインを含むもの(コーヒーや紅茶など)
- 炭酸飲料
- アルコール類
特にアルコールは胃粘膜をただれさせる作用があり、胃潰瘍を悪化させる原因となります。
治癒期に入ればそこまで制限しなくても良いですが、体調によっては控えるようにしましょう。
3.酸味や塩分の多い食品
漬物や干物といった胃の粘膜を刺激する塩分が多い食品やお酢など酸味のあるものは控えましょう。
中でも梅干しは、塩分と酸味のどちらも含まれていて胃に負担をかけやすいのでおすすめできません。
また、酢飯を使用したお寿司も避けるようにしてください。
4.冷たいもの、熱すぎるもの
食品だけでなくその温度にも注意が必要です。
冷たいものや、逆に熱すぎるものは胃の刺激となるので控えるべきです。
胃潰瘍のときに食べても良い食品
暴飲暴食や食習慣の乱れは胃を過剰に刺激するだけでなく、胃酸過多を招く恐れがあるので、一度に食べる量が多くならないよう気をつけましょう。
1.たんぱく質
胃に負担をかけないためにも、脂肪分の少ない良質なたんぱく質を選んで摂ってください。次の食品がおすすめです。
- 卵
- ささみや鶏もも肉などの柔らかい肉
- すけとうだらやクロカジキなどの脂身の少ない魚
2.炭水化物
炭水化物は、特に柔らかくて消化にも良いおかゆ・うどん・そうめんなどがおすすめです。
硬めのものや油を多く使った料理は胃の停滞時間も長く、消化に悪いため避けた方が良いでしょう。
3.野菜
生野菜より柔らかく煮た野菜の方が、消化しやすく胃にやさしいと言えます。
特におでんの大根は、食べやすく胃に負担をかけないのでおすすめです。
4.海藻
わかめ、昆布、めかぶ、モズクなどの海藻のネバネバした成分はアルギン酸で、粘膜保護作用もあり潰瘍面からの出血を予防する効果があるため、摂取すると良いでしょう。
治療中の過ごし方と注意点
1.無理して食べない
胃潰瘍のときは、胃に負担をかける食事を控えることが重要です。
胃痛等の症状があるときは無理して食べないようにしましょう。
脱水にならないよう水分摂取は重要です。
2.日頃から健康的な食生活を!
胃潰瘍は、治療の進歩によって大幅に治癒率が向上しました。ヘリコバクター・ピロリ菌が原因となることが多く、除菌治療により再発も少なくなってきています。
しかし、ピロリ菌以外の原因で潰瘍ができたり再発したりすることもあるため、普段から健康的な食生活を心がけて予防しましょう。
3.ストレスをためない
ストレスは胃粘膜を刺激し、胃潰瘍の進行を助長します。またストレスが暴飲暴食を引き起こすと、胃に負担がかかってしまいます。
日頃からストレスを発散できる環境をつくって、ためない工夫をしましょう。
胃潰瘍治療中の食生活がストレスとなる場合もあるので、無理に食事を制限しすぎないことも大切です。
4.タバコはできるだけ吸わない
タバコは胃潰瘍の治癒を遅らせるだけでなく再発の原因にもなります。
ちなみにこんなデータもあるので、禁煙のきっかけにしてもらえたらと思います。
- 喫煙を続けた人の約半数は胃潰瘍を再発
- 禁煙をすることで再発率は16%まで低下
- 市販薬の使用に注意
市販薬には潰瘍の原因となる成分が含まれていることがあり、例えば風邪薬に含まれる『非ステロイド性抗炎症薬』がこれに当たります。
そのため、胃潰瘍の疑いがある場合は自己判断で市販薬を使用せず、医師や薬剤師によく相談しましょう。
まとめ
この記事では胃潰瘍のときの食事について解説しました。ただし、食事についてはあくまで補足であり、内服治療が重要となります。
胃潰瘍の原因は“ヘリコバクター・ピロリ菌の感染”や“非ステロイド系鎮痛薬やステロイドの服用による粘膜防御機能の低下”が有名です。他にも、ストレスや喫煙、肝硬変、低栄養などが原因となることもあります。
原因を把握し、ピロリ菌の除菌治療や、原因薬剤の中止・減量など、原因に応じた治療や予防が重要となります。
胃潰瘍になったら食事に気を遣うことももちろん大切ですが、それ以上に病院で適切な治療を受けるようにかかりつけ医としっかり相談しましょう。
執筆・監修ドクター
経歴2010年 昭和大学医学部卒業
2010年 昭和大学横浜市北部病院初期研修医
2012年 昭和大学横浜市北部病院総合内科
2014年 帰陽会丹羽病院
2015年 昭和大学横浜市北部病院総合内科助教
2017年 霞ヶ関診療所
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