ストレスによる腹痛の対処法は?お腹を温めて!病院での治療について
試験や大事な会議や予定がある日にかぎって、お腹が痛くなった経験はありませんか?
最近では、“腸は第二の脳”といわれるように、胃腸は脳とつながっています。
そのため、ストレスを感じたときに腹痛が起こりやすいとされています。
この記事では、「ストレスによる腹痛」の原因と改善方法をご紹介します。
ストレスによって腹痛が起きるしくみ
1.胃腸はストレスの影響を受けやすい器官!
どの臓器もストレスの影響を受けますが、とくに胃腸はストレスの影響を受けやすい器官です。
そのため、緊張したりストレスを感じたりする状況になると腹痛が起こることがあります。
2.胃腸はなぜストレスを受けやすいの?
腸は“第二の脳”ともよばれるように、脳と密接な関係があります。
胃腸がストレスを受けるのは、以下のような流れがあるからです。
ストレスを感じる
↓
脳が刺激される
↓
刺激が自律神経に伝わる
↓
胃腸の動きが活発になる
3.胃炎に注意!ストレスは胃の粘膜を荒れさせる!?
ストレスからくる刺激によって、胃は必要以上の胃酸を分泌してしまいます。すると、胃の粘膜が荒れて痛みを引き起こします。
4.ストレスは免疫力も低下!胃炎のリスクも高まる!?
ストレスを受けている状態では、自律神経のバランスが乱れます。そうすると脳からの信号を的確に出せなくなって、免疫バランスが低下してしまいます。
以下のような流れで、通常よりも胃炎を引き起こしやすくなります。
ストレス
↓
自律神経の乱れ
↓
免疫力低下
↓
発病
自分でできる対処法は?
1. 腹痛が起こったとき・起こる前にできること
腹痛が起きたときの対処法
深呼吸をして、できるだけお腹を温めましょう。リラックスすると、症状がやわらぐことがあります。
すぐトイレに行ける場所or時間を、確保しておく
すぐトイレに行ける場所にいると気持ちに余裕が持てるだけでなく、急な腹痛にも対処できます。緊張する場面や長時間の電車移動などの時は、余裕を持って行動するだけでも症状の緩和につながります。
ふだんからストレスをため込まない!適度な運動がオススメ
ふだんからあまりストレスをため込まないようリフレッシュ法を持っておくことも効果的です。
とくに、適度な運動はストレス解消にもなるだけでなく、腸の動きも正常な状態に近づきます。腸の状態が良いと、多少のストレスを感じても急な腹痛を起こしにくくなるでしょう。
2. 生活習慣を規則正しく整えて予防しよう!
食事で気をつけたいこと
食事では暴飲暴食は避け、香辛料・冷たいもの・アルコール・コーヒーなど、胃腸に負担をかける食品はひかえましょう。
便秘の場合は、食物繊維 と水分の摂取を意識すると効果的です。ストレスによる便秘なので、りんご、バナナ、こんにゃく、わかめなどの海藻類の水溶性食物繊維を多く食べるのがおすすめです。
逆に、不溶性食物繊維(ごぼう、おから、玄米 等)は控えた方が良いです。
軽い運動で腸の働きを整えて
日常的に軽い運動を取り入れることは、ストレスの解消だけでなく、腸の働きを整えることができます。先にも述べたように、腸の状態が良いと、多少のストレスを感じても急な腹痛を起こしにくくなります。負担にならない程度の運動を楽しんでやることが大切です。
休養や睡眠をしっかりとって時間の余裕を
また、しっかりと休養や睡眠をとることも改善につながります。忙しすぎて睡眠が不足するとストレスを感じやすくなります。
時間に余裕を持っていると、ゆっくりとトイレに行く時間も確保できるので気持ちも楽になり腹痛が起きにくくなります。
ストレスによる腹痛から起こる病気って?
ストレスが原因で腹痛の症状を引き起こすおもな病気は大きく分けて3つあります。
1.急性胃腸炎
急性胃腸炎は、短時間で腹痛を起こし、嘔吐や下痢などを急に発症するのが特徴です。
症状がひどい場合には、口から血を吐く(吐血)、肛門から血が出てくる(下血)、発熱などの症状が出ることもあります。
ストレス以外にも、アルコールや薬剤などが原因で発症することもあるでしょう。
2.ストレス性胃炎
症状が出ていても、検査ではわかりにくい病気!?
ストレス性胃炎は、吐き気やみぞおちの痛み、胃酸の逆流などの症状があらわれます。
胃の働きが弱くなっているので、消化力も弱まり消化不良や膨満感などもあるでしょう。
しかし、胃の検査を行っても炎症などの異常が確認されないことが多い病気です。
ストレスや精神的な疲労をため込みすぎることで発症
日常的なストレスや精神的疲労をため続けると、胸やけ・お腹の上のほうがつっぱるような不快感・吐き気などの症状があらわれます。
気分が落ち込みやすくなったり、傷つきやすくなったりすると発症しやすくなります。
3.過敏性腸症候群(IBS)
ストレスによって症状が悪化!検査では異常なし!?
過敏性腸症候群は、腹痛や不快感に下痢や便秘をともなう病気です。
ストレスにより症状が悪化することが特徴で、内視鏡検査や血液検査では異常が見つからないことが多いでしょう。
男性は下痢型・女性は便秘型が多い!
下痢型と便秘型があり、男性は腹痛や不快感を伴う下痢型が多いです。女性はもともと便秘の方も多いので、便秘型の過敏性腸症候群は女性が多い 傾向です。
また、ホルモンの影響が大きく関与していると考えられています。女性ホルモンは腸管の知覚や運動に影響するため、女性は混合型も多くいます。
重大な病気というほどではなくても、電車などトイレのないところに長時間いられないなど生活に支障をきたすこともあります。
病院で受ける治療について
1.何科を受診したらいい?ストレスが原因だとわかったら?
まずは内科へ!検査をおこないましょう
病院で治療を受ける場合はまずは内科を受診します。
腹痛の原因がストレスによるものなのか、ほかの病気ではないかを確認するため、検査をおこないます。
検査で異常がない場合は、心療内科か精神科へ
血液検査や内視鏡による検査をしてもとくに異常が見つからない場合は、ストレスが原因と考えられます。
そうなった場合は、心療内科や精神科を受診しストレスの原因を探る必要があるでしょう。
2.病院での治療法について
治療法には食事療法、運動療法、薬物療法の3つがあります。
食事療法
胃腸に負担のかかる香辛料やアルコール、コーヒーなどの刺激物を避け、食生活を整える指導を受けます。
運動療法
気分転換、ストレス解消を目的として適度な運動をすることで、腸の働きを整えていきます。
薬物療法
上のふたつで改善できない場合は、薬物療法も取り入れていきます。
胃酸の分泌を抑える薬・胃酸を中和する薬・胃の粘膜を保護する薬が処方されるでしょう。
最近では、『過敏性腸症候群』専用の薬も開発され、症状に合わせて処方されるようになってきました。必ず、医師の指示に従って服用しましょう。
まとめ
ストレスによる腹痛は、命にかかわる重大な疾患ではないものの、日常生活に支障をきたすこともあります。便秘や下痢に悩まされたり、腹痛を気にしたりするまでになると、つらいものです。
しかし、規則正しい生活を心掛け、ストレスをため込みすぎないようリフレッシュすることで改善もできる病気です。
あまりにも症状がひどい場合は、無理をせずに病院を受診し医師に相談しましょう。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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