下痢の時の食事はどうする?幼児や高齢者が気を付けるべきこととは…
下痢になると、食欲が低下しグッタリすることが多く、食事に気をつかいます。いつもの食事では、更に下痢の症状が悪化することもあり体調変化に気を付けたいものです。
下痢になったときの食事はどのようなものを摂るとよいか、幼児や高齢者など年代別のポイントとともに解説していきます。
下痢の時、食事はどうする?
下痢は水分を多く含む便です。一般的に良いといわれる便は「バナナうんち」と呼ばれ、適度な水分を含み自然な蠕動(ぜんどう)運動によって、いきまずスーッと出る、ある程度形状のある便が理想的です。
しかし、下痢のときは蠕動運動が活発になりすぎるとともに、腸で水分がしっかり吸収できないと便に水分を多く含んだ状態になります。
消化吸収に負担をかけない食事を
下痢のときは、便にいつもより水分が多く含まれるため体内から水分がいつも以上に排出されます。
そのため、水分が不足して水分バランスが悪くなり脱水症状を起こさないために、水分摂取をしっかり行うことが大切になります。また消化吸収に負担をかけない加熱された食事が向いています。
「おかゆ」や「ヨーグルト」はおすすめ
おかゆは水分を多く含み消化吸収にも負担をかけないため、下痢のときには適した食事です。
そこに、失いやすいミネラル分を一緒に摂取すると脱水症状を改善できます。ミネラル分は良質な塩が家にもあり準備しやすいと思います。
おかゆに少量の塩を加えたものを少しずつ食べてみましょう。また腸内環境をよくする目的でヨーグルトもおすすめです。
しかし、ヨーグルトを食べると返っておなかがゆるくなる体質の方もいらっしゃるため自分の体調と相談しながら、選ぶようにしましょう。
摂らないほうがよい食事とは?
反対に摂らないほうがよい食事があります。
食物繊維の多い野菜類やきのこ、海藻類を避け、香辛料や辛いものなど胃腸に刺激のある食品を避けましょう。
炭酸水も胃腸の動きを活発にする働きがあるため下痢のときには避けたい飲み物です。
その他、脂質を多く含む食品もNGです。
脂質は腸の働きを活発にするため、下痢の時は避けた方がよいでしょう。
また、脂質は消化吸収で負担をかけ、消化に必要な胆汁がたくさん分泌されます。この胆汁が腸へ流れ込み、腸内環境を悪化させてしまいます。
これによって、さらに下痢になることも考えられますので、脂質の多い揚げ物や洋菓子などは避けるようにしましょう。
幼児の下痢と食事について
幼児の下痢の場合も、同じように水分不足による脱水症状が一番危険です。ただし、言葉で自分の状況をうまく表現できないことも多く、両親やまわりにいる大人がよく観察することが大切です。
特に、食欲がない、ぐったりしている、水分を摂りたがらない、あまり遊びたがらずじっとしている場合は症状がかなり深刻な場合があります。
必要なときは病院を受診するようにしましょう。食欲に問題がなければ、消化によいおかゆやスープ類、バナナ、ヨーグルトと良質なたんぱく質である卵や白身魚を中心に食べさせます。卵粥や白身魚のスープ煮、バナナヨーグルトなどがおすすめです。
しかし、子どもが食べそうであればあまり気にせず食べさせてあげてよいですが、消化に悪い繊維質のものや脂質の多いものは控えておきましょう。
高齢者の下痢と食事について
消化によいおかゆやうどん、食物繊維の少ない野菜や果物は缶詰を選ぶようにしましょう。
脱水症状になりやすいため、水分補給をこまめに行うことが大切ですが、喉の渇きに気づかなかったり水分を摂りたがらなかったりすることがあります。
水分を摂るように声かけをしたり、症状が悪化するようであれば経口補水液や病院での点滴が必要です。
下痢の時の注意点
薬は飲んだ方がいいの?
つらい下痢には、ドラッグストアや薬局で下痢止めが販売されています。下痢の理由にもよりますが、上手に下痢止めを取り入れましょう。
しかし、食中毒や食あたりが考えられる場合は、菌やウイルスによって下痢が起こっている可能性が高いため、その場合は下痢止めを飲まず下痢とともに菌やウイルスを排出することがよいでしょう。
水分補給について
下痢のときは便中にたくさんの水分が含まれ、排出されてしまいます。そのため、水分が不足しやすく脱水症状になる可能性が高いことが考えられます。
下痢の時におすすめの水分は、常温の水、ぬるま湯、お茶、スポーツドリンク、経口補水液です。
特に、脱水症状が気になる場合は経口補水液を少しずつこまめに飲むことで、排出されたミネラル分を補うことができます。
まとめ
風邪や細菌、ウイルス感染、腸内環境の悪化、ストレスによって下痢が続くことがあります。原因によっては下痢止めを使わず治療することがよいことも考えられます。
また、食欲の有無によって、何が食べられるかもかわってきますので、一人ひとりの症状や状態にあわせて食べられるものを選んでおきたいものです。
一番怖いのは、下痢による脱水症状です。水分補給のほか食事でも摂取することが可能ですので、食事には十分配慮し体調を整えましょう。
執筆者:久野銀座クリニック 岡村信良先生
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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