直腸炎の症状や原因について。治療中の食事は?コーヒーは飲んでいい?
直腸炎にかかる人の数は、近年増加しています。直腸炎にかかると、直腸の粘膜に炎症が起こり、下痢や血便などの症状があらわれます。
この記事では、直腸炎の原因や、治療中の食事について解説します。
直腸炎について
1.直腸炎とは
『直腸炎』は、直腸の粘膜が炎症を起こす病気(『炎症疾患』)です。
直腸炎は、感染症が原因のものと、原因の分からない病気『特発性炎症性腸疾患』によるものがあります。直腸炎にかかる人の多くは、感染症が原因です。
2.直腸炎の原因について
直腸炎の原因になる感染症
直腸炎の原因となる感染症には、腸管に感染する『赤痢』や、『カンピロバクター腸炎』、『サルモネラ』などがあります。
また、性行為による感染症が原因で発症することもあります。『梅毒』や『HIV』、『クラミジア』、『淋菌』などが感染すると、直腸炎を発症することがあります。
特に、肛門による性行為をおこなう人に高い確率で発生します。
直腸炎の原因になる特発性炎症性腸疾患
直腸炎の原因となる、特発性炎症性腸疾患には、『クローン病』や『潰瘍(かいよう)性大腸炎』などがあります。
クローン病は、大腸や小腸の粘膜に、慢性の炎症や胃潰瘍を引き起こす病気です。また、潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜がただれたり(『びらん』)、粘膜より深くに傷がついたり(『潰瘍』)する病気です。
そのほか、「直腸脱」や「粘膜脱症候群」などが原因のことも
また、『直腸脱』や『粘膜脱症候群』などの病気が原因になることもあります。『直腸脱』は、直腸が肛門の外へ脱出する病気です。『粘膜脱症候群』は、直腸に潰瘍や、隆起ができる病気です。
直腸炎とストレスとは関係ある?
ストレスや過労などで免疫機能が低下していると、直腸炎を発症することがあります。
3.直腸炎の症状について
直腸炎の主な症状は、『下痢』や、粘液と血液が混じった『粘血便』です。
それに加えて、『体重の減少』や『食欲不振』、『貧血』など、全身に影響する症状があらわれることもあります。
また、クローン病などが原因の場合、原因となる病気の進行度と、直腸炎の症状の強さは比例する可能性があります。
直腸炎の検査や治療
1.直腸炎の検査法
直視鏡を用いて、直腸をみる
直腸炎の検査は、『直腸鏡』という器具を用いて、直腸を直接みます。
直腸炎の原因を把握するさまざまな検査
加えて、直腸炎の原因を把握するための検査には、大腸の内視鏡検査や、便の検査、腹部X腺検査、注腸検査(バリウム検査)、腸の組織をとり、顕微鏡で調べる検査など、さまざまな方法があります。
2.直腸炎の治療法
基本は、抗炎症剤や下痢を止める薬などで治療する
直腸炎の場合、基本的に外科的手術はおこないません。
治療には、炎症を抑える『抗炎症剤』や下痢を止める薬の服用や、必要な栄養素を補充するため、サプリメントを用いることもあります。
感染症が原因の直腸炎
感染症が原因の直腸炎の場合、原因菌に対する治療をおこないます。この場合も、薬物療法のみで治療を終えられることが多いです。
特発性炎症性腸疾患が原因の直腸炎
潰瘍性大腸炎やクローン病が原因の場合は、根治治療が難しく、長期にわたる治療が必要です。また、これらの病気において、薬による治療の効果がみられない場合や、出血がコントロールできない場合など、一部の状況下では、手術が必要になるケースもあります。
3.直腸炎の治療期間
感染症が原因の直腸炎
感染症が原因の場合は、数週間から、場合によっては数か月治療に期間を要することがあります。
特発性炎症性腸疾患が原因の直腸炎
特発性炎症性腸疾患が原因の場合は、先にも解説したように、根治治療が困難です。そのため、継続的に薬物治療をおこなう必要があります。
直腸炎にかかったときの食事について
食事について気を配ることも、直腸炎の治療の一環になります。
1.低脂肪の食事を心がける!
直腸炎にかかったら、低脂肪の食事をとるよう心がけましょう。脂肪の多い食品は、腸に刺激を与えたり、下痢を助長したりする可能性があります。
『りんご』や『味噌』、『豆腐』、『人参』、『番茶』なども、直腸炎にかかったときに、おすすめの食材です。
2.高カロリー、脂分の多い食事はNG!コーヒーも避ける
カロリーが高く、脂分の多い食事はとらないようにしてください。
また、乳製品や、食物繊維の多い、ごぼう、レンコンなども避けましょう。そのほか、刺激物の一味や七味唐辛子、コーヒー、スパイスの効いたカレーなども、おすすめできません。
さいごに 直腸炎の予防について
直腸炎にかかる原因は、病気や感染症などさまざまです。
完全に予防できる、というわけではありませんが、普段の生活を見直すことが大切です。質の良い睡眠をとるようにし、なるべく睡眠不足は避けましょう。
さらに、体を冷やさないようにしたり、休息をとってストレスをためないようにしたりするように心がけると良いですね。喫煙や飲酒も、直腸炎の原因になることがあるため、注意する必要があります。
執筆・監修ドクター
経歴1996年 埼玉医科大学卒業
1997年 埼玉医科大学第一外科入(一般外科、呼吸器外科、心臓血管外科)終了
1999年 戸田中央総合病院心臓血管外科医として就職
2000年 埼玉医科大学心臓血管外科就職
2006年-2012年3月 公立昭和病院心臓血管外科就職
2012年4月 岡村医院、医師として勤務
2012年7月 岡村クリニック開院
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