ひとつのIDでさまざまな施設の順番待ち・予約が可能

EPARKグループ

夜間・休日に電話1本で医師がご自宅へ

急な発熱時など往診(自宅で診察・処方)の無料電話相談を受付しています。

0066-98090-0345523(無料電話相談)

夜間・休日に電話1本で医師ご自宅へ

今すぐ電話する無料電話

かいようせいだいちょうえん潰瘍性大腸炎

更新日:2022/08/10 公開日:2019/10/04 view数:7,673

潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)とは、大腸の粘膜に炎症をおこす病気のことです。

自己免疫機能や遺伝、感染などさまざまな可能性について研究されていますが、はっきりとした原因は解明されていません。

以前は欧米に多い疾患であり、日本国内で25年前に実施された全国疫学調査では患者数約2万人とされていました。しかしその後国内の患者数の増加は著しく、現在は既に20万人を超え、米国に次いで世界で2番目に潰瘍性大腸炎患者数の多い国と報告されています。

発症すると下痢や腹痛がおこるほか、出血することで便に血が混ざることもあります。
そのため、下痢や腹痛を繰り返す場合は潰瘍性大腸炎の可能性があります。多くの患者さんは軽症から中等症程度で適切な治療を受ければ症状が改善し、寛解(よくなっていくこと)します。しかし、治療中断例や一部の重症例では再発を繰り返すこともあります。

また、長期罹患例では大腸がんの合併が増加することも報告されています。長期にわたって治療・管理が必要な疾患であることから、厚生労働省により特定疾患(難病)に指定されています。

目次
  1. 潰瘍性大腸炎の症状
  2. 潰瘍性大腸炎の診療科目・検査方法
  3. 潰瘍性大腸炎の原因
  4. 潰瘍性大腸炎の予防・治療方法・治療期間
  5. 潰瘍性大腸炎の治療経過(合併症・後遺症)
  6. 潰瘍性大腸炎になりやすい年齢や性別

潰瘍性大腸炎の症状

下痢と、血液や粘液の混ざった軟便を繰り返します。また、左下腹部痛をおこすことが多くあります。腹痛は便意に伴って強くなり、排便前後に痛みのピークがあります。
また、炎症は肛門に近い直腸から始まり、結腸まで大腸全体に広がることもあります。

潰瘍性大腸炎は炎症の範囲によって大きく3つの型に分類されます。

直腸のみに炎症がおこる「直腸炎型」、左側大腸まで広がる「左側大腸炎型」、大腸全体に広がる「全大腸炎型」です。ほかにも、右側大腸や特定の区域にのみ広がる場合もありますが、全体の約3%にとどまっています。

また、免疫防御機構の異常応答が腸炎の悪化に関連していると考えられており、一部の患者では炎症が腸管内にとどまらず、関節炎、眼の虹彩炎、膵炎、皮膚症状(結節性紅斑、壊疽性膿皮症)などの腸管外合併症を伴うことも知られています。

潰瘍性大腸炎の診療科目・検査方法

おもに内視鏡検査と細菌検査をおこないます。

内視鏡検査では炎症部位に発赤や浮腫(ふしゅ:むくみのこと)などの症状があり、問題のおきていない粘膜が見当たらないことを確認します。

また、感染性の大腸炎のなかには、潰瘍性大腸炎と同じような症状がみられるものもあるため、除外するためにも必ず細菌検査をおこなう必要があります。

ほかにも血液検査を実施して、貧血や栄養吸収に問題がないか、薬の副作用はないかなどを判定します。CT検査では粘膜は撮影されないためあまりおこなわれませんが、合併症がないかを確認する場合などに使用されることがあります。

重症化すると穿孔(せんこう:穴があくこと)がみられたり、まれに大腸がんになったりすることもあります。症状を抑えることは可能なため、消化器内科を受診して治療にあたることが推奨されます。

潰瘍性大腸炎の原因

原因は解明されていません。自己免疫機能の異常や腸内細菌、遺伝的な要因、食生活などが原因ではないかと考えられています。
欧米では患者さんの約20%に潰瘍性大腸炎や、同じく腸に炎症をおこすクローン病の近親者がいるという報告があります。そのため、原因の遺伝子については世界的に研究されていますが、特定には至っていません。
現在では遺伝的要因に環境的要因がからんで、免疫異常をおこして発症するのではないかという説が有力視されています。

潰瘍性大腸炎の予防・治療方法・治療期間

再燃(再び症状が悪くなること)と寛解を繰り返す疾患であり、自然治癒を期待して経過観察することは基本的にありません。根本的な治療法は確立されていませんが、さまざまな有効薬剤があり、うまく症状を抑えながら、再燃しないように長期間維持することが治療の目標となります。

治療は、投薬が中心です。5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA)による薬物療法をおこないます。5-ASAでは十分な効果が得られない場合は、コルチコステロイドを服用します。ステロイドは副作用を考慮する必要があり、長期間の投与にはリスクがあるため経過観察は必須です。ほかにも免疫調整剤を使用することもあります。

また、薬物療法以外の方法として「白血球除去器」を利用した治療法があります。これは血液中から異常に活性化した白血球を取り除く治療法です。ステロイドで効果が得られなかった患者さんに対しておこなわれます。

重症例においては外科的手術で大腸を全摘出することもまれにあります。その際は小腸を使用して人工肛門に置き換えられます。

潰瘍性大腸炎の治療経過(合併症・後遺症)

9割は継続治療の中で自然寛解するといわれています。潰瘍性大腸炎では長らく症状の改善(出血や下痢の消失)が治療目標とされていました。

しかし、近年では長期予後を改善するには、さらに踏み込んで内視鏡で粘膜の炎症が改善している状態(粘膜治癒状態)までしっかり治療をすることが大事であることがわかってきました。

生命予後も健康な人と変わらないとされています。

一部の重症・劇症例や、大腸癌、大腸異形成の合併例では、外科手術が選択されることがありますが、大腸全摘出となった場合も、通常の生活を送れるようになることがほとんどです。

潰瘍性大腸炎になりやすい年齢や性別

これまで発症年齢のピークは30~40代と報告されてきましたが、近年60‐65歳に第2のピークがあるとの報告がさまざまな人種地域で報告されており、高齢発症の増加が問題になっています。

原因はまだわかっていませんが、過去の喫煙がなんらかの原因になっている可能性を指摘した研究もあります。

執筆・監修ドクター

大田 幹
大田 幹 医師 代々木上原駅前内科クリニック 院長 担当科目 内科/消化器内科/糖尿病内科/アレルギー科/リウマチ科

経歴東北大学医学部 卒業
東京大学大学院 博士課程終了
国際医療福祉大学 元准教授

不正確な情報を報告

不正確な情報を報告

メールアドレス:任意
※メールアドレスをご入力いただいた方には、改善結果をご報告致します。
コメント(オプション):

関連する病気

潰瘍性大腸炎以外の病気に関する情報を探したい方はこちら。

関連カテゴリ

潰瘍性大腸炎に関連するカテゴリはこちら。

関連コラム

「潰瘍性大腸炎」に関するコラムはこちら。