さるもねらかんせんしょうサルモネラ感染症
サルモネラ感染症(さるもねらかんせんしょう)とは、サルモネラ菌の小腸感染による感染症です。
潜伏期間は6~48時間で、通常は12時間程度とされています。
サルモネラ感染症は、チフス性疾患と非チフス性疾患に分けられます。チフス性疾患は人に強い病原性を占めるものであり、消化器症状はあまり目立ちませんが、高熱が出ることが特徴です。一方、非チフス性疾患は、消化器症状が主症状です。
日本ではサルモネラ感染症というと「非チフス性」をさすことがほとんどです。ここでも、非チフス性疾患を中心に説明します。
- 目次
サルモネラ感染症の症状
主要症状は嘔気(はきけ)、嘔吐(おうと)、下痢、腹痛、発熱です。
特に、下痢は症状が激しく、便は水溶性であることが多いです。
子どもの場合は症状がさまざまです。重くなるとけいれんや意識障害をおこすことがあります。新生児に対しては特に感染性が高く、菌血症をおこすことも多くあります。
症状は3~4日続き、1週間以上続くこともあります。
サルモネラ感染症の診療科目・検査方法
サルモネラ感染症の原因
サルモネラ属の細菌によって引きおこされる感染症です。そのなかでもサルモネラ・エンテリティデスという種類が原因となることが多いです。
ブタやニワトリ、ウシの腸のなかに常にいる常在菌です。
サルモネラ菌に汚染された牛肉や豚肉、鶏肉、鶏卵などにより中毒をおこします。人や爬虫類などのペットから接触感染することもありますが、多くの場合、食中毒によるものです。
食品だけでなく調理器具の衛生管理などもサルモネラ菌が繁殖する原因になります。
7~9月の夏期に流行します。
人から人へも感染するため、手洗いなどの感染予防を十分におこなう必要があります。
サルモネラ感染症の予防・治療方法・治療期間
治療は症状に合わせて対症療法をおこないます。脱水症状が重い場合は、補液にて水分を補給します。
下痢止めや鎮痛剤は通常は使用しません。
抗菌薬も症状が軽ければ使用されない場合があります。敗血症の疑いがあり、腸以外の場所へ感染が広がる腸管外感染症に進展する可能性がある場合などには抗菌薬を使用します。
また、菌血症の場合には、第三世代セフェム系抗菌薬による治療をおこないます。
サルモネラ感染症の治療経過(合併症・後遺症)
症状が落ち着くまで1~4日程度かかります。その後、約半分の患者さんに2~4週間、排菌が確認されます。しかし、症状が再び出ることはありません。
抗菌薬を使用した場合には、排菌が長期間続くこともあります。
脱水の管理のみで自然軽快する例も多くあります。
サルモネラ感染症になりやすい年齢や性別
子どもから高齢者まで、幅広い年代で感染します。
成人の場合はサルモネラ菌を胃酸で死滅させることができるため、あまり感染しません。胃酸の少ない子どもや高齢者などの年代に属する人、胃酸を抑える薬を内服している人は少ない菌数でも感染しやすいでしょう。
性差は特にありません。
執筆・監修ドクター
経歴1998年 埼玉医科大学 卒業
1998年 福岡大学病院 臨床研修
2000年 福岡大学病院 呼吸器科入局
2012年 荒牧内科開業
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