うつる食中毒菌の種類は?感染をふせぐ方法や治るまでの期間について
食中毒は、人から人へうつるることがあります。
気づかないうちに周りの人へうつしてしまった…とならないためにも、正しい知識を身につけ、二次感染の予防につとめましょう。
こちらの記事では、代表的な食中毒の症状や潜伏期間、周りの人にうつさないための心得を解説します。
食中毒について。種類やそれぞれの潜伏期間
1.食中毒とは?原因ごとの種類にわけられる
食べ物が原因でおこる、腹痛や下痢、嘔吐などの症状のこと
『食中毒』とは、飲食物が原因でおこる健康障害のことです。
おもな症状は、『腹痛』や『下痢』、『嘔吐』などで、原因の大半は『ウイルス』や『細菌』です。
原因によってわけられる!食中毒の種類
ウイルスが原因の食中毒を『ウイルス性食中毒』、細菌が原因の食中毒を『細菌性食中毒』といいます。
また、寄生虫や自然界に存在する毒、化学物質が原因で食中毒が発生することもあります。
さらに、細菌性食中毒には2種類がある
細菌性食中毒には『感染型』と『毒素型』があります。
感染型は、食品内で増殖した病原菌を食品と同時に摂取して発生します。
毒素型は、食品の中で病原菌が増殖するときに生じる、特殊な毒素が原因で発生します
2.食中毒はどれくらいで治る?
食中毒の原因物質によって感染期間は異なりますが、おもに1日~7日間だと言われています。
3.食中毒を起こす細菌やウイルスとその潜伏期間
先ほど述べたように、食中毒の原因になる物質はいくつかあります。
その中でも発生件数の多い細菌とウイルスについて、詳しく解説します。
サルモネラ食中毒
潜伏期間は10~42時間です。
症状は腹痛、下痢、発熱、頭痛、嘔気、嘔吐などです。発熱が特徴的で、38℃前後の高熱が出ます。時たま40℃以上になることもあります。
原因となる食品は、生食肉(ささみ、ユッケ、鶏刺しなど)やレバーなどの内臓肉だといわれています。また、加熱調理された惣菜、和え物、豆腐などであっても、衛生管理が不徹底であると、加熱後に調理器具・機材、手指などからサルモネラ菌による汚染を受け、原因食品となることがあります。
カンピロバクタ―食中毒
潜伏期間は通常1~3日で、長いと7日のケースもあります。
症状は下痢、発熱、腹痛、嘔吐などです。乳幼児では、下痢の便に血が混じることも多くあります。サルモネラ症と同じく38℃ほどの発熱があります。
判明している原因食品は、鶏刺しやササミの生食、鶏レバーなど、大半が鶏肉料理です。
腸管出血性大腸菌(O-157など)食中毒
潜伏期間はおおむね2~3日で、長いと8日のケースもあります。
症状は激しい腹痛や嘔吐、水下痢です。子どもや高齢者は病名の通り、便に血が混ざることも多いです。
原因食品は、生肉や加熱不十分な肉料理などです。
黄色ブドウ球菌食中毒
潜伏期間は30分~6時間ほどです。
原因食品はお弁当が最も多いです。それに次ぐのが、おにぎりや寿司などお米を使った料理、和洋菓子などです。
ノロウイルス食中毒
潜伏期間は12~48時間です。
主な症状は嘔気、嘔吐、水下痢です。
原因食品は牡蠣が有名です。実際に2005年ごろまでは、牡蠣に関連する食品がノロウイルス食中毒の大部分を占めていました。
しかし、近年牡蠣が原因の割合が減少しています。一方で、食品従事者の手指などを介してさまざまな食品が原因食品となるケースが増加しています。
4.食中毒から命に危険が及ぶことも…!
また、食中毒が命に危険を及ぼすこともあります。
2016年には食中毒が原因で14人のかたが亡くなっています(厚生労働省 食中毒統計資料より)。
また、2011年には焼き肉チェーン店で食中毒の集団感染が発生し、181人に発症、5人のかたが亡くなったこともあります。
たかが食中毒と甘く見ず、症状があらわれたら病院で診療を受けましょう。同時に、家族や周りの人にうつさないようにも気をつけてください。
人から人へうつる食中毒について
1. O157とノロウイルスは、ほかの人にうつる
ここで解説していく「O157」と「ノロウイルス」の2つの細菌から食中毒になると、人から人へとうつることがあります。
O157は、少量の菌でうつるため、集団感染しやすい
例えば、腸管出血性大腸菌O157は100個以下の少量菌で感染する事から、保育所などで患者から他の人に感染するケースがしばしばみられます。
人の手指やおむつ、手すりなどを介し、集団で感染が起こります。
ノロウイルスは、便や嘔吐物を介してうつる
また、ノロウイルスに感染した人の便には、大量のウイルスが含まれています。ノロウイルスに感染している乳幼児や高齢者のおむつを交換するときは、使い捨ての手袋を使用しましょう。
嘔吐物中にもたくさんのノロウイルスが含まれています。嘔吐物のついた寝具、床、じゅうたんなどから人へとうつります。飛び散った嘔吐物が空気中を舞い上がり、空調機などに入り込んで感染が広がることもあります。
2.周りの人に食中毒をうつさないために
食中毒になったら、周りの人にうつさないよう次の2つに気をつけましょう。
食中毒になったら、調理にかかわらない
食中毒になったら、調理には一切かかわらないようにしましょう。
調理時に菌やウイルスをつけてしまい、食べた人にうつす危険性があります。特に加熱後の調理・盛りつけ作業は危険ですのでやめてください。
手洗いをしっかりして、触ったものからうつらないようにする
それから、手洗いもしっかり行ってください。
手指からうつることもあるので、きちんと手洗いをして、触ったものを介して周りの人にうつることを防ぎます。
3.食中毒にかからないための予防法
食中毒にかからないよう予防するには、次の3つが大切です。
食品に食中毒の病原体を付着させない
手洗いや消毒、野菜の洗浄、ふきんや調理台・包丁などの調理器具の洗浄や消毒をしっかりと行ってください。
食品中で病原体を増やさない
食中毒菌は高温多湿を好みます。
食品についている水分はなるべくふき取ってから、冷蔵庫や冷凍庫で食品を保存しましょう。
加熱・紫外線などで病原体を死滅させる
家庭で調理する際は、加熱をして病原菌を死滅させます。
菌を死滅させるために、O-157、サルモネラ、カンピロバクタ―、腸炎ビブリオなどの細菌は中心温度が75℃で1分以上、ノロウイルスは85~90℃で90秒以上の加熱が必要です。
まとめ
食中毒は命に危険を及ぼすこともある病気です。
もし自分がかかってしまったら、それ以上感染を広げないように注意してください。手洗いをしっかり行い、食品の調理にはかかわらないようにしましょう。
また、きちんと病院へ行って診療を受けることも大切です。食中毒の症状があらわれたら、迷わず病院へ足を運びましょう。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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